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空にいるような軽い気分で・・・

(続々) 男の病 その16 麻酔薬のこと

2016年12月30日 10時27分10秒 | 健康ネタ

ウチの庭にいつの間にかある黄色い千両。おそらくヒヨドリの体内を通って落とされた種から。

全身麻酔が行われ、手術台は頭の方を低く下げた角度を保ったまま、4〜5時間ほどの手術が行われると事前に説明を受けていた。
手術室に何時何分に入り、出てきたのは何時何分で、手術時間は何時何分であったかを医師に聞くというような、時間の記録と管理を正確にやる習慣が、私にも家族にもない(ないと断言してしまったが、手術室に入ったのが9時で、終わったと連絡があったのでお連れしますと病室担当ナースが手術室に入ったのが14時30分だったとのこと)。
おそらく、今まで私たちはとてもルーズに生きてきて、周りに呆れられることが多かったのだろう。
このブログの時間記述も、そこそこ正確に示さないと意味をなさないと判断したものだけは、それなりにかなりの努力をして表しているつもり。
時間だけではなく全てにおいてアバウトになんとなくの直感でやってきたので、それではいけないかもしれないと、備忘録を兼ねてブログを毎日書いているのだ。
それはともかく、全身麻酔が施されるというのは、人生において、あるいは一個の身体にとって大変なことなのだということが、後になってわかってきた。
乳癌での乳房切除手術前日に入院していた病院を抜け出して手術を回避し、別の大病院にセカンド・オピニオンを求めたところ、乳房温存術でいけるということになり、それで全く問題なく20数年(?)が過ぎているという友人がいる。
その話を自分の切除手術の決意をして手続きもした後に聞き、いろいろと自分の癌を調べてみた。
放射線治療、放射線治療でも密封小線源療法、ホルモン療法などのインターネット記事を、流し読み斜め読みしながら、かなり悩んだ。
そうして結局変わらなかったわけだが、『自分の身体のことなんだから・・』と悩んだことは結果として、これでいくしかないという決意を固めることになり良かったのだろう。
私は手術室前で家族と別れ、腕をつかまれて誘導されることもなく、つまづいてよろけることもなく自分の足で手術室に入った。
あーあれがダヴィンチかなどと思いつつ、言われるままに着衣を脱ぎ、渡された手術衣だけを着て台に上がった。
天井はなんの装飾もない白で、あるのはドラマで見る小丸の集合した大丸のライト。
なぜ天井を明るく落ち着いた色にするような工夫がないんだろうと思った。
それが反射して手術に支障をきたすなら、プロジェクションマッピングまではしなくても、プロジェクターで明るい森の中でもイメージさせるのを写したらいい。
私は眠れる森の美女でも見ながら麻酔されたいのだ。
ようやく麻酔まできた。
私の話は長くて困る。
マスクをつけられて笑気ガスで眠るのだと思い込んでいた。
そうしたら手の甲に痛い注射をされての静脈注射だった。
1回目はどうやら失敗して、ナースが私を覗き込むように顔を接近させて「もう一回」と囁いた。
マスクはしていても目尻がちょっと笑っていた。
『ごめんね、センセ失敗しちゃったから、別の場所に、も一回・・ね』と言っている気がした。
「それでは入れます」という麻酔医の声があり、「はい」とは答えたが、天井がふわっと揺れてぼやけ、10秒も持たなかった。
後で聞いた話だが、マイケル・ジャクソンがこれで死んだというプロポフォールだった。
なかなか効かない人もいて、もちろんマイケル・ジャクソンのように常用していたら、だんだん効きが悪くなって、さじ加減が難しいのだろう。
結果、マイケル・ジャクソンは本人がミルクと呼んでいたという白い液体プロポフォールで死んだ。
最近テレビに出ていたが、東京女子医大の2014年の医療事故もプロポフォール。
私は習慣化するほどに何かの薬にハマったことはないし、酒は付き合いでしか飲まないので、抜群に効いたものと思われる。
プロポフォールをインターネットで見ていたら、せん妄という項もあった。
手術室で名を呼んで目覚めさせるのだという話だったが、全く記憶にない。
ただ身動きできない状態で自分のベッドに寝かされて手術室を出た時の医師との会話は、すぐには思い出せなかったけれど、後から自分の言ったことは思い出した。
「はやくトイレに座りたいです」と「脱糞したいです」。
家族の前で担当医(執刀医でもある)が私に「気分はどうですか」と聞き、私ははっきりとした口調でそう答えたとのこと。
そうして、病棟の重症者個室にベッドで運ばれる移動中、エレベーターと床との隙間などで発するガタガタ音が、ひたすら不快だった。
ベッドの車輪にもう一つ何かクッション材をはめるような工夫をして欲しいものだ。
コメント (4)
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