鶴岡への旅
昨日の午後のNHKテレビで シンポジウム「藤沢周平の世界を語る」を観た。
あらためて藤沢周平の魅力を再確認することができた。
昨年の今頃、映画「蝉しぐれ」が上映され、あらためて藤沢周平の世界に浸りたい思いで鶴岡を訪ねたことを思い出した。
ゆっくり鶴岡を観光したかった理由は、いくつかあった。
その1つ。私のかつての勤務校の先輩K先生は山形の鶴岡の出身であったこと。いつか私が出羽三山を巡った折りに立ち寄り、いたく感動した今井繁三郎美術館(*)の話をしたところ、彼は早速今井画伯の絵が載っている雑誌「一枚の絵」を貸してくれた。また、戊辰戦争について話をした後には、松ヶ岡開拓記念館のパフレットを頂いたこともあった。
明治維新後庄内藩士達が刀を鍬に持ち替え松林を切り開いた松ヶ岡開墾場跡と、藩校致道館を見学したかったのだ。
また、昔からの藤沢文学のファンであり、藤沢周平の、細やかに見つめ表現する情景描写にはいつも感動していた。彼がいくぶん気はずかしいが一番いいと言う「ふるさと庄内」の地に、落ち着いた海坂藩の面影を探してみたかったことも旅行の目的だった。
(*)拙ブログ 2/14 今井繁三郎美術収蔵館(鶴岡市)
2/19 色彩の画家・今井繁三郎
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【エッセイ】 「文学作品ゆかりの地を訪ねる」 (2005.10)
山形の鶴岡に藤沢周平の世界、海坂藩の面影を探しに出かけた。
故郷、庄内を細やかに見つめ表現する、彼の情景描写にいつも感動していた。作品の中の庄内平野が目の前に美しく広がり、市内の内川はいつしか城下町、海坂藩の五間川に重なって静かに流れていた。いくつもの藤沢作品の情景や登場人物が浮かんできた。彼が、いくぶん気はずかしいが一番いいという庄内の地は期待を裏切らず、落ち着いた海坂藩の面影を漂わせていた。
このほど彼の作品「蝉しぐれ」が映画化された。この目で感じた庄内海坂藩の風情を思い浮かべながら、そして、もう一度著作を読み返し、この映画を鑑賞したいと思っている。
前日は、大石田町や、たおやかに流れる最上川の景色を楽しみ、茂吉や芭蕉の足跡を辿って、いくつもの歌碑を巡った。種々の文学作品ゆかりの地を訪ねることは実に興味深い。しばらくは、「奥の細道」をたどる旅を楽しみたいと思っている。
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