エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

鶴岡への旅 (その2)

2006-10-11 | エッセイ
          【庄内藩校致道館】

 拙ブログ10/9「鶴岡への旅」に関連して、その時のエッセイを2つ

【エッセイ】 「藩校致道館を訪ね教育の根本を思う」 (2005.10)
 山形県鶴岡市にある庄内藩校致道館を見学した。致道館は東北地方に現存する唯一の藩校建築物で、表御門から講堂を望む落ち着いたたたずまいに、少年達の素読の声が聞こえるような気がした。
 講堂には藩校で使用された教科書やその版木などの資料が展示され、深い感動を覚えた。また、「敬天愛人」の大きな額が掛けられ、西郷隆盛と庄内藩の関係に思いを巡らした。 「致道館」は論語の中の「君子ハ学ビテ以テソノ道ヲ致ス」からの命名で、その教育方針は、趣意書によると、自主性を重んじ各自の天性に応じ長所を伸ばすことに主眼がおかれていたようだ。これらの自学自修や個性の伸長は、正に今日の学校教育の指針に通ずるものである。
 会津藩の日新館や米沢藩の興譲館など、江戸時代の藩校教育は、それぞれ独自の気風を生み、すぐれた人材を輩出した。致道館を訪ね、教育の根本とは何かと考えさせられ、改めて”古きを温ね新しきを知る”思いであった。  

【エッセイ】 「県内にも欲しい先人記念館」 (2005.10)
 先日、山形県鶴岡市の鶴ヶ岡城址で大寶館を見学した。大寶館は猪苗代の天鏡閣を思わせる大正初期の擬洋風建築で、現在は郷土人物資料館として無料で公開されている。明治から昭和にかけて各方面でその道を究めた、鶴岡ゆかりの先人を一堂に集め、その足跡を顕彰、紹介していた。いつか、岩手県の盛岡先人記念館を見学し、そこでも郷土の文化人に触れ心から感動した覚えがある。こうした施設が福島県にもあればと思った。
 地産地消というの言葉が使われるが、教育も同じと思う。野口英世を知らない人はいないだろうが、会津の山川健次郎、松江豊寿はどうだろうか。郷土の先人の業績、生き様を、特に子供たちに教えることは、彼らの豊かな人生を送る糧となるに違いない。
 鶴岡が生んだ先人の偉業に触れながら、福島県内にも、個々の記念館、美術館でなく、こういう観点から多くの先人を顕彰し学ぶ施設が欲しいと思った。