エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

もう一度「ゆとり教育」を!

2006-10-28 | 教育を考える
 教育基本法の改正論議がさかんだ。行政主導で改正を急いでいるようだが、現行法のどこが問題なのだろうか。法律を変えても教育の本質は変わらず、子どもたちとふれ会う教育現場、中でも家庭、社会がすべてだ。

 今の時代は子どもが生きにくい世の中だと思う。すべてが、刻々変わってきた社会は、大人を含めて日本人を変えた。毎日報道される事件も、政治、経済から、社会生活まで、驚くことがあまりに多い。こうした世の中をどう生きていけばよいのだろうか。

 数年前まで、教育は学歴社会や競争社会を反省し、生きる力を目指しいわゆるゆとり教育がすすめられた。そこで、自ら考え、解決する力、創造的な問題解決能力、情緒、感性等を含めた生きる力を育む教育は一つの解決策であった。しかしその後、学力の低下が言われ、その原因がゆとり教育にあるとして方向転換がなされようとしている。残念でならない。
 
 日本の子どもと教育が深刻な閉塞状況にある今、ある雑誌でフィランドの教育への関心が高まっていることを知った。そこには、真の学力を求めるフィンランドと狭い意味の学力にこだわる日本の違いが述べられていた。(*)
  
方向転換がされたこれまでのゆとり教育こそは、この真の学力、これからの時代に求められる・生きる力、・人間力を育むものであった。
 人間力とは、一人の人間として力強く生きていくための総合的な力、真の学力である。 それは 1.知的能力的な要素。 2.社会対人間関係的要素 3.自己抑制的要素の構成要素からなるといわれる。言われ続けた学力の低下は、一つの要素としての知的な能力でしかない。真の学力、人間力を高めることを目標にする「ゆとり教育」の実践をあらためて訴えたい。

(*) リテラシーと学力 ―フィンランドと日本―  … 松下佳代