エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

「文学作品ゆかりの地を訪ねる」(鶴岡への旅 その1)

2006-10-09 | エッセイ


 鶴岡への旅

昨日の午後のNHKテレビで シンポジウム「藤沢周平の世界を語る」を観た。
 あらためて藤沢周平の魅力を再確認することができた。
昨年の今頃、映画「蝉しぐれ」が上映され、あらためて藤沢周平の世界に浸りたい思いで鶴岡を訪ねたことを思い出した。

 ゆっくり鶴岡を観光したかった理由は、いくつかあった。
 その1つ。私のかつての勤務校の先輩K先生は山形の鶴岡の出身であったこと。いつか私が出羽三山を巡った折りに立ち寄り、いたく感動した今井繁三郎美術館)の話をしたところ、彼は早速今井画伯の絵が載っている雑誌「一枚の絵」を貸してくれた。また、戊辰戦争について話をした後には、松ヶ岡開拓記念館のパフレットを頂いたこともあった。
 明治維新後庄内藩士達が刀を鍬に持ち替え松林を切り開いた松ヶ岡開墾場跡と、藩校致道館を見学したかったのだ。
 また、昔からの藤沢文学のファンであり、藤沢周平の、細やかに見つめ表現する情景描写にはいつも感動していた。彼がいくぶん気はずかしいが一番いいと言う「ふるさと庄内」の地に、落ち着いた海坂藩の面影を探してみたかったことも旅行の目的だった。

)拙ブログ 2/14 今井繁三郎美術収蔵館(鶴岡市)
         2/19 色彩の画家・今井繁三郎
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【エッセイ】 「文学作品ゆかりの地を訪ねる」 (2005.10)
山形の鶴岡に藤沢周平の世界、海坂藩の面影を探しに出かけた。
故郷、庄内を細やかに見つめ表現する、彼の情景描写にいつも感動していた。作品の中の庄内平野が目の前に美しく広がり、市内の内川はいつしか城下町、海坂藩の五間川に重なって静かに流れていた。いくつもの藤沢作品の情景や登場人物が浮かんできた。彼が、いくぶん気はずかしいが一番いいという庄内の地は期待を裏切らず、落ち着いた海坂藩の面影を漂わせていた。
 このほど彼の作品「蝉しぐれ」が映画化された。この目で感じた庄内海坂藩の風情を思い浮かべながら、そして、もう一度著作を読み返し、この映画を鑑賞したいと思っている。
 前日は、大石田町や、たおやかに流れる最上川の景色を楽しみ、茂吉や芭蕉の足跡を辿って、いくつもの歌碑を巡った。種々の文学作品ゆかりの地を訪ねることは実に興味深い。しばらくは、「奥の細道」をたどる旅を楽しみたいと思っている。
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秋一色の庭に心安らぐ

2006-10-08 | 日々の生活
            《秋の陽に咲き始めたシオン》

 私には、ささやかな庭の自然が、常に心のやすらぎだ。秋も深まった庭をながめる。目にするすべてが新しい感動の出会いである。
燃えるようなサルビアにはいつもセスジツユムシが止まっている。ひだまりのシオンやシュウメイギクにイチモンジセセリが吸密する。今日は珍しくアカタテハが訪れている。ホトトギスが咲きはじめ、ムラサキシキブ、ナナカマドが色づき宝石のようだ。そして、めっきり動きの遅くなったジョロウグモが、深まりゆく秋にいとおしく感じられる。
 何も言わない植物、昆虫だがそれぞれに精一杯の生命を送っている。こうした一つ一つの、見逃しそうな生き物との静かな対話と感動が、私の自然への畏敬の念を培ってくれたような気がする。
 活発に舞う秋のキチョウに、山野を巡りチョウを求めた青春の遥かな日々がなつかしくよみがえってきた。

ファイルの復元

2006-10-06 | 日々の生活


 大変な1日となった。今日は昨夜からの発熱で気分も悪かった。そのせいではなかろうが、大変なことをしてしまった。ハードディスクに貯まっていた画像を消してしまったのだ。チョウを撮したデジカメの画像データ、約2メガの画像を800枚ほどだ。
 これらは、私にとっては、苦労して撮った貴重な記録であった。
 ハードの中身をCDにコピーしていた。サイズが会わないため、いろいろ調整をしていて、ゴミ箱に捨てたデータをすべて消してしまった。どこをどう間違えたか、コピーしていたはずの、もともとのファイルの中身が消えてしまったのだ。
 昔、DOSの時代、プログラムを組んでいて、1つのキー操作でリストを消してしまった経験が浮かんだ。消えたことが分かった瞬間、それはそれはがっかりした。3年ほど前からの、チョウを撮した写真、2度と撮れないものだ。
 でもどこかに残っているはずと、ネットで復元ソフトを検索してみた。すると、ゴミ箱を空にして消してしまったデータの復元は簡単にできるようだった。でも、見つけたフリーソフトは、ドイツ語や英語で理解できない。日本語版はなかった。仕方ないと思い、家電量販店へ走った。「ファイナルデータ2006・特別復元」というソフトを買ってきた。大枚、11,800円だ。お金に返られないと思った。
早速そのソフトCDで復元を試みた。すごい!。がっかりして一時は諦めかけた貴重なデータ画像が出てきた。嬉しかった。チョウを観ると、撮影したときのことが鮮明に浮かんできた。
 うっかりミスを後悔しながら、かなり貯まった画像データを注意深くCDにコピーした。

*)この種の復元だけであれば、2、000円くらいのソフトもあった。遅かりし。


ヨウシュヤマゴボウで染める

2006-10-04 | 日々の生活


ヨウシュヤマゴボウの実が熟した。
鳥が運んできたのだろう。今年初めて門柱をでた路傍に芽を出し、みるみる間に成長した。8月はじめ花が咲き、実を付けた。みどりの果実はやがて色づき、今、黒紫色に熟し見事だ。
 一度この果汁で絵を描いてみたいと思っていた。一房採ってきて紙の上でつぶしたら、鮮やかな紫色に染まった。いくつもつぶしてみたが、それぞれに黒いつやのある堅い種が出てきた。数えると、いずれも10個の種が入っていた。
 水で薄めると紫というよりピンクで、茎の色と同じ。色からして、とりあえず一房のヨウシュヤマゴボウを描き、染めてみた。
北アメリカ原産の帰化植物、多年草。何となく雰囲気でそう思えたが、ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で有毒成分は,トリテルペノイドサポニン。若葉など食べると軽度の中毒症状が出るそうだ。根も有毒だが、果実は無毒で、鳥が運ぶのもうなずける。
 ツユクサの汁を友禅染の下絵に使っているが、量的にもこのヤマゴボウの染料は使えると思った。酢に入れてみたら若干濁ったので、色素成分は塩基性かも知れない。おそらく光の堅牢性もないだろう。アメリカでは「インクベリー」と呼ばれ、赤インクに使われたようだ。
きれいに紅葉するらしい。しばらく観察してみたい。

田の土手に美しい雑草

2006-10-03 | 自然観察
 今朝も犬と散歩に出た。刈り取りの終えた田に昨夜来の雨水がたまり、アキアカネが連結して打産卵を繰り返していた。静かにコオロギが鳴く畦を進むと、無数のバッタが飛び跳ねる。そして、畦の土手に生える花の色がすばらしく、その色合いの美しさに目を見張った。
 コントラストが実にきれいだ。赤いイヌタデ、ツユクサの青、ミチバタガラシの黄色、咲き始めた橙色のアメリカセンダングサと、まるで寄せ植え野草の盆栽の世界だ。
 両手の平ほどの畦道に、実に沢山の野草が生えていてあらためて驚かされた。
 この狭い畦に、仲良く、整然と、活き活き共生する草々は、シロツメクサ、ヒメクグ、ミソソバ、ヒメジソ、スギナ、キンエノコロ、メシヒバ、カキドオシ、カタバミと、確認できただけでも10種を超えた。雨に洗われた小さな自然の美しさにしばし見入った。
 最近では土の道が少なくなった。ほとんどがアスファルトの街中だが、我が家から市道までは市内では珍しい舗装なしの砂利道、路傍の雑草がこころの安らぎだ。
 最近、その道に子どもたちがしばしばカマキリ採りに来ている。この道の草むらには、小さな秋の虫が精一杯に生きている。貴重な土の道を思った。

キンモクセイは2度咲く

2006-10-02 | 自然観察
     《1番花が枯れ、雨に濡れ咲き始めたキンモクセイの2番花 10/2》

9/20の拙ブログ「キンモクセイの香り」に
 「今日、庭にほのかな秋の香りが匂った。急に膨らんだキンモクセイの薄黄色の1番花が咲き始めた。・・・・」と書いた。そのコメントにキンモクセイは、2度咲くのかと質問を受けた。
 私は、毎年見ていることなので、当然と思っていたが、その後注意して観察し、折々に写真で記録してみた。
 9月中旬に1番花が、香り豊かに咲き始めてから約2週間になる。色あせた花びらが散り始め、昨夜の雨で、ほとんどひなびた花が散ってしまった。それに替わって、数日前から膨らみはじめた新しいつぼみが、今朝、雨に濡れながら、ほのかに甘い香りを放ちながら咲き始めた。やはり、2度咲くのだ。
 でも、つぼみは思ったより少なく、1番花の3分の1くらいだろうか。またしばらく庭に香り秋を楽しませてくれる。

《色あせた1番花の下に、膨らんだ2番花のつぼみ 9/27》


《約1ヶ月香り豊かに咲いた1番花  9/20》