○ 衣服で体を包む、その延長として原初的な建築を捉えることもできるのではないかと考えています。そう衣服と建築とは同様の機能を持っているというわけです。
このことは確か以前も書きましたから繰り返しになりますが、例えば家族でキャンプに出かけてテントで寝るとしますと、雨風を防ぐという機能はテントが負うものの、寒さを防ぐ(今の季節には考えにくいですが)のはシュラフです。このようにテントと体を包むシュラフを建築的に同義なものと捉えることが可能なのです。「包む」をブログのシリーズに加えた理由もここにありますが「包む」は実に多様です。
というわけで今回の「包む」はレジでおつりを受け取る時の店員の動作について。
片手を水をすくうように出しておつりを受け取ろうとすると、私の手の下に店員が手を添えます。するとおつりを渡す手と共に私の手を上下から包むような形になります。
下に添える手は、私がつり銭を指の間から落としてもカバーできるようにとの配慮でしょうか。あるいは単なるこころ配りの所作といった意味合いなのでしょうか。
ところで例えば国の要人同士が握手をするときもこれと同じような動作、「握手」をさらに手で包むことをよくします。これは友好的な関係であることを強くアピールするためでしょう。
おつりを受け取る際に店員がする先の動作もこの握手の際の動作と似ているために、店員が若い女性だったりするとなんだか「ほわ~ん」というかどうもうまく表現出来ませんが(川上弘美さんはこんなときの表現が上手いです)、中年おじさんとしては要するになんとなくうれしくなってしまうのです。
男の店員がこのような動作をするのかどうか、仮にしてもらったとしても当然うきうき気分にはなりません。こんな時はクールにトレイに載せてもらったほうがいいです。
つり銭を受け取るのが楽しみで決まった時間にコンビニに通っているおとうさんもきっといるにちがいありません。そう好みのタイプの女性がいるときを狙って。 私? 私はnanacoカードを使っています。