○ 先日初めて「カーボンフットプリント」という言葉を耳にしました。直訳の「炭素の足跡」だと意味不明ですね。
ある商品の一生、そう製造から廃棄に至る過程で排出する二酸化炭素の重量を各ステップごとに捉えてその総量を商品に表示する、というものだそうです。
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量に注目して、消費者が表示された総量の少ない商品を選択、購入してくれたら・・・。そんな目論見のようです。
でも国内で製造されている、例えば食品を考えてみると、算出方法が分かりませんがメーカーによって製造過程で二酸化炭素の排出量に有意な差があるとは思えません。輸送時に排出される二酸化炭素の排出量には差が出そうですが、輸送先毎に表示を変えるなどということができるのかどうか。
例えば松本でつくっている、「久星のかりんとう」(ふと思い出しました。高校のクラスマッチの賞品が久星の箱入りのかりんとうだったことを)を九州まで輸送して販売する場合と地元松本で販売する場合とでは輸送時の二酸化炭素の排出量が明らかに異なります。この違いが「カーボンフットプリント」に反映されるような算出基準なのかどうか。もっと大雑把かもしれません。
机上の理論としては興味深いと思いますが、実態にうまく適応できるのかどうか・・・。
また、この「カーボンフットプリント」という指標はあくまでも二酸化炭素の排出量を減らすという目的のための手段だと思いますが、指標の算定が目的化してしまうのではないかと気になります。
こんな難しいことを考えなくて、もっとシンプルに、食品ならまず国内での自給率をアップさせよう、更に「地産地消」を推進しようということではいけないのかな、と私は思ってしまうのですが・・・。
成り行きに注目です。
追記
りんごさんのブログでコンビニの深夜営業はやめようという趣旨の記事を読みました。「カーボンフットプリント」はどのような営業形態の店舗で商品が販売されるか、によっても変わるということに気がつきました。でも商品に表示される指標には販売条件の違いによる二酸化炭素排出量の違いなどは当然反映されないですよね。やはり有意な値を表示することは不可能なのでは。
ついでに書くとコンビニなどが全国一律に営業時間を決めているのはいかがなものか、と思っています。24時間営業などという利便性が全国どこでも必要ということはないと思います。
都市は眠らなくなって不健康になったと思います。人にも都市にも充分な睡眠が健康上必要ですよ。
○ そうだった。昨年の夏は村上春樹の長篇小説を読んでいたのだった。長篇を一通り読了するのに約80日かかった。ジュール・ベルヌの小説に倣って「八十日間 村上春樹の旅」と書いておいたような気がする・・・。
昨晩の酔族会でSさんから今「クロニクル」を読んでいると聞いて昨夏の読書を思い出した。昨年の8月、ブログに好きな本を3冊に絞り込むことができなかったので4冊挙げている。赤く表示した4冊。順位はつけていない。
『羊をめぐる冒険』
『ダンス・ダンス・ダンス』
『海辺のカフカ』
『アフターダーク』
あれから一年、今振り返ると、ものがたりとしては「海辺のカフカ」が一番よくできていて、面白いし、読みやすかったと思う。この作家の表現には隠喩的なところが多々あって、読む人によっていろんな解釈ができるところが魅力なのだ。この長篇にもその特徴があるが、素直に解釈して読み進むことができたと記憶している。
昨晩の酒席で村上作品では「アフターダーク」が一番と言った。この小説のどのような点を評してそう言ったのか説明しにくいが、特に印象に残っているのがこの作品だ。
そして一年ぶりに読む村上作品はこれ。