透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「ライフタペストリー」

2010-11-23 | A あれこれ

 生活のリズムを可視化する。

21日(日曜日)の夕方、テレビ番組「夢の扉」を見た。日立製作所・中央研究所で行われている情報システムに関する研究開発を紹介するという内容だった。

番組で紹介された研究では腕時計型のセンサネット端末を24時間つけて活動し、腕の動き、脈波、皮膚温度を測定・記録して生活の基本的なリズムを把握する。得られた情報を体の活動量によって小から大の5段階に分け、それぞれに色を対応させて、時間軸に沿って表示する。こうして生活のリズムを可視化する。このビジュアルな情報を「ライフタペストリー」と呼ぶ。

テレビの天気情報で全国の気温分布を寒色から暖色の代表色によってビジュアルに表示しているのを見るが、情報の可視化(視覚情報化)という点で「ライフタペストリー」もこれと同じ。

「ライフタペストリー」を見れは、休日は遅くまで寝ている、毎日決まった時間に起床している、仕事中にオフィス内をよく歩いている、デスクワークが多い、といった活動パターンを直感的に把握することができる。

多くの他人のデータと比較すれば個人の活動の傾向はもちろんのこと、性格までが把握できるという。毎日同じパターンを繰り返す人は几帳面、というようなことだろうか。

企業の研究には(最近では大学の研究も)実用性が求められるが、例えばどのような活動パターンの時、仕事のモチベーションが高いか、といったことを自己分析することで、「ライフタペストリー」の仕事上での有効活用が可能だ。医療や老人介護の分野でも活用できよう。

番組では会社内で誰と誰がコミュニケーションしているかをビジュアルに表現する研究も紹介された。そのパターンを見れば組織が健全かどうか判断できるという。こちらは既に実用化され、いつかの企業に採用されているという。

見えない情報をビジュアルに表現してみたい(過去ログ)という好奇心というか、欲求は程度の差こそあれ、誰にでもあるのではないか。紹介された研究の根底にあるのは、この欲求だろう。興味深い番組だった。