透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

まもりのかたち

2011-07-11 | A あれこれ


 会津若松の蔵



 塩尻の蔵


 高田の蔵


 蔵には火災から収蔵品を守るという一義的な機能があります。ならば、開口部など設けない方がいいのでしょうが、通風や時には採光が必要になるでしょう。で、開口部を用心深く設けることになるんですね。でもその際、雨や雪の浸入は防がなくてはなりません。通風や採光を確保しつつ雨や雪の浸入を防ぐ・・・。相反する条件をクリアするために窓まわりに施された設えには地方によって異なる工夫を見ることができて興味深いです。

まず会津若松の蔵(30年位前に撮った写真です)。目板葺きの庇。この地方の蔵すべてにこのように庇が付けられているわけではありません。いや、むしろごく少数の例かもしれません。

次は塩尻の蔵。妻垂れが付けられています。雨や雪は上方から降ってくるので、妻垂れも有効な方法です。写真を見ると、通常の雨や雪の降り方なら大丈夫、そう思います。長野県内では諏訪地方によく見られる手法です。妻垂れについては既に何回か書きました(過去の記事)。

そして上越市高田の蔵。これはすごい! 上越市内でこのような設えをしてある蔵をいくつも見ました。これなら雨や雪対策はバッチリでしょう。冬は風が強い地域なのかもしれません。

先日、小笠原諸島が世界自然遺産に登録されました。小笠原は生物の固有種が多いそうですね。昔は他の地方との交流に乏しく、情報(建築構法に関する情報)も物(建築材料)も各地方限定に近い、ほとんど「小笠原状態」でした。このことが民家をそれぞれの地方独自に「進化」させてきたことの主たる要因、などと強引に論じてしまいます。

各地各様 民家っておもしろい!