■ この本は記憶障害や認知障害を専門とする臨床医である著者が**わかるとはどういうことか、すなわち認識の仕組みについて(中略)、専門的な用語や表現をなるべく使わず、誰にもわかってもらえるよう、やさしくまとめたものです。** はじめにより引用(009、010頁)
以下私の理解。
心に思い浮かべることのできる全ての「現象」を心像、メンタルイメージという。この心像には知覚心像と記憶心像とがあって、「わかる」というのは知覚心像が記憶心像と照合できるということ。
視覚や聴覚、嗅覚などの「知覚」によって得られた情報が脳に伝えられると(知覚心像)、脳は記憶している情報、知識(記憶心像)を引っ張り出してきて重ね合わせ、同定を試みる。それが出来た瞬間、脳はわかった!と叫ぶ、じゃなかった、認識する。だからり脳は知らないことは認識できないというわけだ。本書に紹介されているアラビア文字を全く知らない私は、それを単なる模様としか認識できない・・・。
「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」金子みすゞの詩のような、認識の理解。