■ (←フェルメールブルーのつもり) NHK BSプレミアムの朝の番組「額縁をくぐって物語の中へ」を今までときどき見ていた。残念ながら、昨日(23日)が最終回だったようだ。今までに100点の絵を紹介したという。過去ログ
タイトルが示す通り、番組出演者(池田鉄洋とふせえり)が絵の中に入りこんで、描かれた人物にインタビューしたり、周りの様子を観察したりして、絵を深く理解し、観賞するというおもしろい企画の番組だった。
このところフェルメールの絵を取り上げていたが、昨日はこの絵「音楽の稽古」が紹介された。
以下、メモした内容などを載せておく。
○人物や物を画面の右半分に描き、左半分を空けてあるのは、窓から入る光を効果的に見せるための工夫。(なるほど)
○フェルメールは遠近法を研究していた。遠近法というのは、2次元で3次元的な世界を描くための工夫のことで、この絵は透視図法で描かれている。透視図は建築設計でもよく使われる表現法だ。
○窓の上の梁、床(大理石は当時、10軒に1軒くらいの割合でしか使われていなかったという。22日に紹介された「手紙を書く女と召使い」で説明があった)と壁の交線、窓の下端、テーブルの左端、これらの線を延長していくと1点に集まる(消失点)が、それがちょうど背中を向けている女性の左腕あたりにくる。これは視線をこの部分に誘導するための工夫。(なるほど!)
○フェルメールの絵は室内の何気ない光景を描いたものが多いが、どれもミステリアスな雰囲気が漂っている。これは日常のそのままを描かず、分かりやすい要素をそぎ落としたことにもよる。この絵ははじめ、女性が右側の男性の方を向いていたが、フェルメールはこのように描き直している(鏡に映っている女性の顔は男性の方をむいたままだ)。このように描くことでふたりの関係を明らかにせず、鑑賞者にふたりの関係をもっと知りたいという気持ちを抱かせている。(鑑賞者の目と心を惹きつける工夫というか、仕掛けがなされている。深い!)
○フェルメールの絵は描かないものを表現するためにある。数々の名言を残したフランスの詩人・作家のジャン・コクトーはこのように評した。
「額縁をくぐって物語の中へ」 7時15分からの15分番組だったが、なかなか充実していた。