■ 再読中の小説『木精』が一部ばらけてしまった。糊付けをして補修した。奥付をみると昭和54年12月30日4刷となっている。昭和54年だとピンと来ない、1979年だ。30年以上も前に買い求めた本だから、劣化も仕方がない。でも紙は全く変色していない。
北杜夫は『マンボウ最後の大バクチ』新潮文庫で**以前から私のハードカバーはまったくなく、その代り文庫のところには「北杜夫」という札があって、かなりの文庫だけは並んでいた。ところが次第にその数が減ってきたときには、さすがに寂しくなり心配になってきたものだ。ところがこのたびは、北杜夫なる札もなく文庫すら一冊もないというのを発見し、ザンネンという思いよりなんだか愉快になってしまったものだ。(中略)私という生命自体もその作品もはかなく消え去ってしまうであろう。**118頁 と書いている。
そう、確かに以前は北杜夫の文庫本はかなり並んでいた。でも今では数冊しか並んでいない。新潮社は文庫の『幽霊』や『木精』を絶版にはしないと思うが、繰り返し読んだ想い出の本、読了後は書棚にそっと戻しておこう・・・。