■ 昨日(2日)、中央自動車道の上り線の笹子トンネルでコンクリート製(プレキャストコンクリート板)の天井が広範囲にわたって落下し、走行中の車が下敷きになったり、火災が発生したりで9人が亡くなるという痛ましい事故が起きた。
新聞記事によると同トンネルは1977年の開通以降、大規模な改修工事は行われなかったという。定期的な点検がどの様な方法で行われていたのか分からないが、9月の点検で異常が見つからなかった、いや「見つけられなかった」ということだから、点検方法にも問題があったと考えざるを得ない。
テレビのニュース番組でコンクリート製の天井板を吊っている吊り棒、金物を見たが、1トンを超えるというコンクリート板の重量からして、信いられないような簡便なものだった。コンクリート板の中央でたった1本の吊り棒でしか吊っていない構造も信じられない。クモの糸だって2本から成るというのに。 ←過去ログ
安全性というか、安全率はクモがぶら下がる糸の方が大きいのでは。鋼製の吊り棒は引張り力に対しては強度があるから計算上はもちろんOKなんだろうが。
トンネル本体のコンクリート躯体に、おそらく後施工したアンカーから吊り棒を下げ、その吊り棒にコンクリート板を吊るす構造だと思われるが、劣化した(車の排気ガスのダクトになっていたから、排気ガスの影響もあってコンクリートの劣化も早いはずだ)コンクリートには引き抜き力に抵抗するだけの強度、硬度が既に無いのではないか。
吊り材の腐蝕なども指摘されているが、クリティカルな状況になっていたのはコンクリートの劣化、もしくは後施工アンカーの接着力低下が主因だろう・・・。アンカーボルト周りのコンクリートがコーン状破壊していなければ、接着系アンカーの付着力低下が直接的な原因、ということになろう。
それにお互いのコンクリート板が「共持ち」状態だったとすれば、それが連鎖的な落下の原因であることは明らかだ。
定期的な点検はコンクリート(排気ガスによる中性化で、もろくボロボロになる)や後施工アンカーの劣化を把握できるような内容ではなかったのではないか。外観の目視や吊り金物の打音検査では上記のようなチェックは無理だから。(追記:その後の報道では打音検査すらしていなかったということだから驚く。)
ああ、事故が起きてからでないと、どうにもならないという体質は全く変わっていないようだ・・・。私はおよそ1ヶ月前にこのトンネルを通っている。その時、今回の事故が起こっていたら・・・。
今回の事故から、全国のインフラの徹底的な点検とメンテナンスが必要だと判断し、実行すべきだと思うがどうだろう。
事故で亡くなった方々に謹んでお悔やみを申し上げます。
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