**「(前略)せんだっても私の友人で送籍(そうせき)という男が一夜という短編を書きましたが、だれが読んでももうろうとして取り留めがつかないので、当人に合ってとくと主意のあるところをただしてみたのですが、当人もそんなことは知らないよと言って取り合わないのです。全くそのへんが詩人の特色かと思います」「詩人かも知れないがずいぶん妙な男ですね」と主人が言うと、迷亭が「ばかだよ」と単簡に送籍君を打ち留めた。**(222頁)
小説には苦沙弥先生の他に、上の引用箇所のように漱石自身を同名でも登場させている。
『吾輩は猫である』の名無しの猫は漱石の分身、第3者的な視点で漱石自身を客観的に観察してる。このような視点の設定をしたところが漱石のすごいところだろう。
今日(18日) 名古屋で開催されたセミナーに参加した。往復の特急しなので『吾輩は猫である』を読んだ。