■ JIA(日本建築家協会)の機関誌「JIA MAGAZINE」295号(2013年8月)に槇 文彦さんの「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」というタイトルの論文が掲載されている。
2020年の東京オリンピックのメイン会場となる新国立競技場の計画案というか計画(プログラム)そのものについて再考を求める論文だ。槇さんが最も問題視しているのは、新たな競技場の規模について。大きすぎるというのだ。
計画予定地の神宮外苑の歴史的な文脈からも相応しい規模ではなく、都市景観という観点からも好ましくない、要するにスケールアウトだという指摘。槇さんはオリンピック終了後、巨大な施設の維持管理費が都民に重くのしかかることも憂慮している。ロンドンオリンピックでは賢明にも収容人員の過半を仮設スタンドで対応している(本設2. 5万人、仮設5. 5万人)。
**発表された新国立競技場案のパースが一葉、日本のメディアに公表された時、私の第一印象はその美醜、好悪を超えてスケールの巨大さであった。**(010頁)と槇さんは書いている。
だが、本当のところは、当選したザハ・ハディドという建築家の案のあまりにも異様な外観が初めに気になったのではないか。スケール感がつかめなかった私は、まずその異様な姿がとても気になった。
モダニストで美しい建築を創り続けてきた槇さんが、当選案を美しいと評価しているとは到底思えない。槇さんは理性的にそして注意深く論文を書いてはいる。だが、その異様な姿にこそ失望したのではないか、と私は勝手に推察する。
日本スポーツ振興センターのウェブサイトより
宇宙から突然現れたエイリアンのようだと評したら辛辣に過ぎるだろうか・・・。