透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「仏像の顔 ―形と表情をよむ」

2013-10-05 | A 読書日記



 『仏像の顔』 清水眞澄/岩波新書 

仏像の顔の形や表情は時代とともに変化してきた。飛鳥、白鳳、天平、平安(時代が長いので前期、後期に分けられる)、そして鎌倉。

各時代の代表的な仏像の特に顔を詳細に観察、分析して特徴を捉える。そこにはどんなことが反映しているのか、背後には何があるのか・・・。

**面長の顔は、頬から顎にかけて丸く柔らかい味を帯び、広い額の下に美しいカーブの眉と伏目がちの眼が形よく整えられています。特に細く引かれた切れ長の眼は、上瞼を広くとり、下瞼の輪郭線を明確にせずに、上瞼から段差で表されていて、奥深い慈悲を秘めているように見えます。**(61頁)

これは中宮寺の半跏思惟像の顔について書かれた文章。

**この菩薩半跏思惟像の形姿、特に顔は、飛鳥時代の神秘的な面相から離れて、白鳳時代の、おおらかで自由な感性を追求しているように思えます。**(62頁)

先の引用文で分かるように、顔を詳細に観察し、続けてこのようにまとめている。

11月に京都・奈良を旅行する。いくつかの寺を巡り、仏像を参拝することになるだろう。少しでも、鑑賞眼を身に付けておこうと本書を読み始めた。なかなか興味深い内容だ。