■ 昨日(20日)、軽井沢の脇田美術館で行われた建築ワークショップに参加した。美術館の2階の広い展示室を会場に3人のゲストが語り合うという企画。建築史家の松隈 洋さんが進行役となって、吉村順三のもとで脇田山荘を設計した平尾 寛さんの想い出話を建築家の西沢大良さんとともに聞くという趣向だった。
会場には脇田山荘のスケルトン模型が展示されていて、平尾さんが模型を前に設計上工夫したことなどを説明してくださった(下の写真に平尾さんの腕が写っている)。
後方のアトリエを除き、山荘には平行の壁がない、すなわち部屋が矩形ではない。雲のような、日本列島のようなイメージスケッチを吉村順三から渡されて設計が始まったそうだ。棟の位置がなかなか決まらなかったとか。
その後、美術館の隣の脇田山荘の内部を見学した。吉村順三の作品と聞いてまず浮かぶのは軽井沢の山荘とこの脇田山荘。だから普段非公開の山荘内部が見学できたことは幸運だった。
リビングに設えてあるベンチに座り、心地よい空間を体感。簡素でありながら実に豊かな空間。吉村順三の右に出る住宅作家はいないという評価は続く・・・。
今日手元にある設計図集でこの山荘の図面を見たが、棟木の部分に驚きの工夫がしてあることに気がついた。難しい打球をいとも簡単に処理しているように見せるのが野球の「プロ」。吉村順三の設計も同様、数々の工夫をしていながらそれをさりげなく見せている・・・。