民家 昔の記録 対馬の民家 撮影日19810928
■ 福岡で行われた学会に出席した後、対馬に飛んだのは1981年9月のことだった。台風が接近していて小型飛行機が大きく揺れ続け、シートベルトを外さなかったことを覚えている。
対馬は九州と朝鮮半島との中間に位置し、古くは海上交通の要所だった。集落内に石置き屋根の板倉が点在していたが、柱のモジュールなどが他の地方とは違っていた。朝鮮半島の影響を受けているのかもしれない。上の写真は米や麦の他に衣類なども保管する倉を写したもの。石を葺いた屋根は珍しくはないが、これほど大きな石板を載せた屋根を他所で見たことはない。棟には何層にも細長く加工した石板を重ね、周到に雨仕舞をしている。対馬は多雨の島だ。
これは民家の妻面を写したもの。 雨囲い(妻だれ)で妻壁を覆っている。よく見ると母屋や棟木の小口を板で塞いでいることがわかる。多雨地域の雨対策。民家は地産地消、その地方の材料を使い、その地方の気候に合わせた設えをしてあるから、地方によって姿・形は様々。これこそ民家巡りが楽しい理由。