透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

経験的に知っていること

2014-03-14 | A あれこれ

 職場見学だろう、今日の午後1時過ぎに高校2年の女子生徒が職場にきた。訊けば女子生徒は建築設計の仕事がしたいのだという。自分が就きたいと考えている職種の職場を見学してライブな情報を得ることは有意義であろう。

建築学科は美術系の大学にもあるし、工学系の大学(学部)にもあることからも分かるが、建築には芸術的な面と技術的な面があって、その領域が広いから自分のしたいことが見つかると思う、と話した。

あまり硬い話ばかりでも・・・、と思って、予め用意しておいた割り箸を生徒に渡し、「折ってみて」と言った。生徒がラーメンを食べる時のように先の方を持ってパッチンと割ろうとしたので、あわててそうではなくて枝を折るように、と伝えると、割り箸を横にして(□□)、上から加力して折った。割り箸を写真のように縦の状態で折る人はいないだろう。




なぜか・・・。縦にするより横にした方が折れやすいことを経験的に知っているからだ。言い換えれば縦長の断面の方が折れにくい、つまり丈夫だということを。

そうしてから鉄筋コンクリート造の建物の矩計図を見てもらった(木造の矩計図の方が分かりやすかったかもしれないが)。

床を支える梁も「縦長」の四角形だよねと確認してもらう。なぜ断面が横長ではなくて縦長の四角なのか・・・。割り箸と同じで縦長の方が丈夫だから人や家具を載せた床を支える上で有利、ということを理解することは容易だ。「断面二次モーメント」などという難しいことを言いださなくても、経験的に知っていることだから。

ちなみに割り箸を縦にした場合、(正方形をふたつ縦に重ねたような寸法の場合)、横にした場合よりも下方に曲げる力に対する強さは4倍となる。

私の持ち時間は30分だったが、気がつけば1時間も話していた。

女子生徒が建築に対する興味を失わないで、何年か後に建築の世界で活躍してくれることを願う。