透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「信濃が語る古代氏族と天皇」

2015-07-06 | A 読書日記



 先日縄文の美女ふたりに会うために茅野市尖石縄文考古館まで出かけた。その時、他の展示室もざっと見て回り、復元された縄文土器が印象的で写真を撮った。

破片が少ないと欠損部分をどのように復元するかで土器の姿、全体形はずいぶん違ったものになる。古代史について論ずることは、この写真の左手前の復元土器のように、ごくわずかな破片から土器の全体形を推測することと同じだ。少ない史料をどのように解釈するか、そこからどのような推論をするかでその全体像はかなり違ってくる・・・。

このことを押さえた上で、たとえ荒唐無稽な論考だと評されるようなものでも、そこに提示される古代史を楽しみたい。

『信濃が語る古代氏族と天皇 善光寺と諏訪大社の謎』で展開されている信濃(科野)が舞台の古代史に関する論考について、著者は「はじめに」で**古代の信濃は、先見性のある古代氏族や天皇たちが注目するフロンティアだった。本書は、その事実をひとつずつ明らかにすることで、日本古代史の全体を見直し、正史「日本書紀」によって植えつけられた史観を修正しようというものである。**(4頁) と書いている。そう、どんな食材であれ、それをどのように料理するか、ということにおもしろさがあるのだ。

狛犬巡りから古代史という迷宮に迷いこんでしまった・・・。