■ 昨日(21日)の昼間かなり読書に時間を割いて、髪結い伊三次捕物余話「今日を刻む時計」 宇江佐真理/文春文庫を読み終えた。
収録されている6編とも事件がもちろん起きるけれど、恋愛小説のような趣があった。最後の「我らが胸の鼓動」で不破龍之進が結婚したのだ。結婚に至る過程が各編に描かれている。
相手の徳江(結婚後きいという名前に変える)は父親が火事場で亡くなり、母親が徳江と弟を置き去りにしてどこかへ行ってしまった、という不幸な過去をもつ女性。
小平太という名前の弟が**夜になるといつもかあちゃん、かあちゃんと言って泣いた。腹が減ったと言っては泣いた。**(10巻目の「心に吹く風」に収録されている「気をつけてお帰り」10頁)などという件(くだり)を読んで、なんだか切なくてこちらも涙が出てしまった・・・。親戚に引き取られた後の姉弟の暮らしぶりも「気をつけてお帰り」に描かれている。
伊三次とお文さんのふたりの子どもが成長していく様子や龍之進ときいがどんな暮らしをしてくことになるのかが気になる。
10巻目の「心に吹く風」を読み急ぐ・・・。