透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

594 松本市平田西の火の見櫓

2016-03-08 | A 火の見櫓っておもしろい


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 松本市内ではこの辺りの火の見櫓巡りをしていなかった。JR篠ノ井線の平田駅北西の古くからある集落内の狭い生活道路沿いに立つ火の見櫓。見張り台の高さは6メートルほど。

平面形が3角形のスレンダーな櫓。1面が梯子になっていて、残りの2面には丸鋼ブレースが3段設置してある。これは背の低い火の見櫓に時々あるタイプ。

手すりに小形のサイレンが設置してある。この辺りでも半鐘を叩くことが無くなってしまったということか・・・。

屋根は円錐形で飾りはない。頂部には避雷針があったのかもしれない。その痕跡とも思われる突起が付いている。





注目は脚元の構成。ほぼ垂直の柱を補強するために後から外側に開いた脚部を追加設置したのかもしれない。あるいは建設当初からこのようになっていたのかもしれない。


 


髪結い伊三次捕物余話 「さんだらぼっち」

2016-03-08 | A 読書日記

 髪結い伊三次捕物余話シリーズの第4弾、「さんだらぼっち」を読み終えた。このハイペースは何年か前、村上春樹の長編小説を一通り読んだ時以来。さんだらぼっちって何だろう、と思っていたが、米俵の両端に当てる藁の蓋のことで、桟俵法師がなまったもの、という説明が本文中にあった。

お文さんの家が放火で焼けて、伊三次の長屋に移ることになったことを機にふたりは夫婦になる。今までは伊三次が主人公だったこの物語、この巻からは夫婦の物語になった。 この物語は時の流れとともに進む。

収録されている連作5編、その全ての物語で子どもが重要な役割を演じている。

表題作「さんだらぼっち」は実に悲しく、やりきれない物語。旦那の留守に奉公人とただならぬ関係になった奥さんが、そのことを実の娘が旦那に話したことを知り、懐剣で娘の胸を刺して殺してしまう。それを見た旦那が奥さんを斬り捨てる。何とも凄惨な事件。男と女のただならぬ関係は理性を奪う・・・。

「時雨てよ」で、お文さんがおめでた。**「おめでとうさん。養生して元気なお子を産みなさいよ」と産婆のお浜に祝福される。

さて、次は第5弾、「黒く塗れ」。