(再)塩尻市洗馬 県道293号沿いに立つ火の見櫓 3脚6〇〇型 撮影日171216
■ 洗馬(せば)という地名は古くからあり、平安末期に活躍した源(木曽)義仲がこの近くで「馬を洗った」ことに因む地名と聞く。実はそれよりかなり前から洗馬の牧と呼ばれいたという。この辺りは有数の駒の産地だったようだ。その地名の場所に立っている火の見櫓。
松本平によくある3脚に6角形の屋根、円形の見張り台というタイプ。
6段の構面のうち、上部4段には平鋼と山形鋼を交叉させたブレースを、下部2段にはリング式ターンバックル付き丸鋼ブレースを入れている。この辺りではあまり多くないブレースの使い分けだろう。
円形の見張り台と踊り場
屋根の下に半鐘とモーターサイレンがある。3本の柱の上端をつなぐ桁材が3角形を構成しているが、その3角形を2分割する水平部材をよく見るとまん中に孔があるのが分かる。元々この位置に半鐘を吊り下げてあり、サイレンを後から設置する際、今の位置に移動したのかもしれない。いや、この場合半鐘を吊るしていたフックはそのままにしておくだろうから、はじめから屋根の中心を外してこのように吊り下げてあったと判断する方が妥当かもしれない。
踊り場の下にも半鐘を吊り下げてある。かなり背の高い火の見櫓だから、上見張り台までの上り下りが大変、ということで後から吊り下げたのだろう。
基礎コンクリートに設置した山形鋼の短材(名称が分からない)と柱脚をリベット接合している(建て方をしてから、あらかじめ設置してあるこの短材と柱脚下端を接合するという施工手順を想定してこのように書いた)。
この火の見櫓は2010年5月に初めて見たが、その時は全形を漫然と見ただけだった。