■ 今年最後、12月のブックレビュー。12月に読んだ本は次の5冊。
『脳の意識 機械の意識 脳神経科学の挑戦』渡辺正峰/中公新書
**未来のどこかの時点において、意識の移植が確立し、機械の中で第二の人生を送ることが可能になるのはほぼ間違いないと私は考えている。** 著者はまえがきにこのように書いている。
意識の機械への移植などというSF映画が描くようなことが実現できるのだろうか、仮に実現できたとして、機械の中で送る第二の人生って何だろう、それは人生と呼べるようなものなのだろうか・・・。
『峠しぐれ』葉室 麟/双葉文庫
『「超」入門! 論理トレーニング』横山雅彦/ちくま新書
著者は本書でクレーム(主張・意見)、データ(事実)、ワラント(根拠)という3つの言葉により、論理的思考について説明しているが、それぞれの言葉を必ずしも定義通りに使っているわけではない。
論理的に考える、論理的に話す、論理的に書く、ということを常に意識しなければならないことは自覚している。本書によってこのことを再認識した。「論証責任」という言葉は覚えておきたい。
『壬申の乱 天皇誕生の神話と史実』遠山美都男/中公新書
**天智は、世代・年齢重視の王位継承から特殊な血統をもった皇子による王位継承への転換を構想し、それを実現するために自分と大海人の血を引く皇子の誕生を願っていたのではないかと考えられる。**(11頁)
大海人は天智の娘を4人もめとっている。大海人と天智は兄弟だから、大海人は姪と結婚したということ。だから、大海人は天智の構想を受けれていたことになる。ではなぜ、天智は大海人皇子を疎外し、大友皇子を後継としたのか、我が子可愛さ故?
なぜ壬申の乱で大海人は大友に勝利できたのか?
知識に乏しい私には内容は難しいが、論理展開は分かりやすい。機会があれば再読したい1冊。
『壬申の乱 清張通史5』 松本清張/講談社文庫