透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「少年老い易く学成り難し」 

2017-12-03 | A あれこれ

■ 『大王から天皇へ』日本の歴史03 熊谷公男/講談社 の第五章「律令国家への歩み」に出てくる壬申の乱に関する記述を読み返した。先日聴いた関裕二氏の講演「なぜ天武天皇は松本に副都を築こうとしたのか」に壬申の乱が出てきたので、その復習(とかなんとか )。

**大海人方の勝因は、なんといってもその的確で迅速な戦略にあったといってよい。大海人自身が吉野を発つにさきだって、美濃に使者を派遣して徴兵と不破道の閉鎖を命じたことをはじめてとして、大海人方が東国の兵力を一手に動員し、近江方の徴兵を不可能にしたことは、乱の帰趨(きすう)に決定的な意味をもった。**(332頁)

分厚いこの本を漫然と読んでいると「大海人方が東国の兵力を一手に動員し」という下りは読み逃してしまうが、このことについては講演会で配布された資料に**天武天皇が担ぎ上げられるきっかけは、壬申の乱(672)でしたが、この時勝てるなずのない天武(大海人皇子)を応援したのが東国でした。信濃からも兵が向かったようです。これまで、古代史に占める東国の影響力は小さいと信られてきましたが、ヤマト建国時の纏向(まきむく)遺跡に集まった土器は、東国の物が半数を超えていて、ここに、これまで語られることのなかった、古代史の真相が隠されています。(後略)**とある。

古代史はジグソーパズルで少ししかないピースを並べて、その完成図をイメージするようなもの。古代史に関する考え方、古代史観の違いによって、その図はかなり違ったものになる。僕たちは複数の図を併せ見ることで、その違いに気がつき、歴史に興味が湧くことになる。

古代史上最大の内乱であった壬申の乱に松本辺りからも出兵していたなんて。額田王と天智天皇、大海人皇の三人が三角関係にあったなどという俗っぽい話もあって、それが壬申の乱の遠因だなどという説もあるなんて・・・。

**「紫草(むらさき)の 匂へる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも」(あでやかなあなたが憎かったならば、人妻だというのに恋をするでしょうか)** 大海人皇子 『大王から天皇へ』(322頁)

少年老い易く学成り難し 実感!


 


岡谷市の防火貯水槽

2017-12-03 | B 地面の蓋っておもしろい


撮影日171202 岡谷市内にて

 防火貯水槽の蓋には消火ホースから放水しているところを描いたものが多い。色は黄色が多いような気がするが何か規定でもあるのだろうか、それとも単によく目立つという理由だろうか。

岡谷市の同蓋には上部に防火貯水槽、下部に岡谷市と入れてある。市章も入れてあるが、デザイン的にシンプルで市章だとは分からないかもしれない。


 


ブックレビュー 1711

2017-12-03 | A ブックレビュー

 早くも師走。この歳になると光陰矢の如しを実感する。さて、11月のブックレビュー。

  

『城の科学 個性的な天守の「超」技術』萩原さちこ/講談社 ブルーバックス

著者の萩原さちこさんは小学生の時に松本城を訪れて城に目覚めたそうだ。この本では国宝に指定されている姫路城、松本城、松江城などの天守の構造などについて詳細に解説している。掲載されている写真がカラーなのは嬉しい。きちんと撮った写真で構図も的確で好ましい。

最終第9章に松本城の天守そのものにも増築の可能性があることが紹介されている。増築説に明確な証拠はなく、推論の域を出ない説とのことだが、このような説があることは全く知らなかった。

『身体知性 医師が見つけた身体と感情の深いつながり』佐藤友亮/朝日新聞出版 朝日選書

西洋の分析的医学論と東洋の統合的身体論をつなぐということについて論じている。

『維新の構想と展開』日本の歴史20 鈴木淳/講談社

**短期間で近代国家を作り上げた明治新政府。
  そのめざしたもの、手法、担い手は?
  「藩」の遺産をどう清算し、また取り込んだのか。
  新たな政策・制度は、いかにして村々まで伝達・徹底されたのか。
  地方官や戸長の役割と活動に注目し、「上からの変革」と人々の自前の対応に迫る。** 以上カバー裏面の本書紹介文より

江戸時代に熟成されたこの国独自の政治・経済・文化などのシステムの大転換を行った明治維新、このパラダイムシフトには関心があるが、詳論は読みこなすのが難しい。


 


岡谷市のマンホール蓋

2017-12-03 | B 地面の蓋っておもしろい

 
岡谷市内にて 撮影日171202 

 複数のモチーフをデザインしたマンホール蓋が多いが、岡谷市の蓋のモチーフは市の花・ツツジのみ。中央に市章を配し、下に小さく汚水と記している。カラー蓋は汚れがなく、きれいな状態。

火の見櫓をバックに撮った写真を載せることにしているが、頑なに守ることもないだろう。


 


941 岡谷市本町の火の見櫓

2017-12-03 | A 火の見櫓っておもしろい

 昨日(2日)岡谷市内で行われた講演会「まちかどにある近代建築の楽しみ方」に参加した。講演会の後、講師の方と一緒にまちなかに点在している近代建築を見て回った。岡谷はかつて製糸業で栄えたまちで、まちなかには関連施設や繭倉などがまだ残っている(写真)。







941 岡谷市本町1丁目の火の見櫓 4脚4〇型 撮影日171202
JR岡谷駅の近くに立っている火の見櫓 隣は岡谷市消防団第三分団屯所



まち歩きをしていてこの火の見櫓と出会った。参加者は皆、反対側の古い医院を観察し、写真を撮っていたが、私だけがこの火の見櫓にカメラを向けていた。

プロポーションがよく、姿・形の整った火の見櫓だ。残念なことに全体的に発錆している。半鐘も同様。





端正なつくりの屋根の頂部に長めの避雷針がある。そこにくるるんな装飾を付けてある。見張り台の床から突き出した梯子のまわりに安全のために手すりを設置している。



踊り場の様子。ごちゃごちゃしていて分かりにくいが手すり子は丸鋼をv字形に並べて付けている。この写真では分からないが、櫓内に設置してある梯子の桟に異形鉄筋を使っている。櫓の外側に設置してある梯子状のものは、消火ホースをスムーズに引き上げるためのガイドだろう。