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■ 本書のタイトル「生物はウイルスが進化させた」は何とも唐突だから、「え、本当に?」と反応する人が多いのではないかと思う。私は同じ著者の『新しいウイルス入門 単なる病原体ではなく生物進化の立役者?』(講談社ブルーバックス)を読んでいるのでそのような反応はしなかった。
武村教授の『新しいウイルス入門 単なる病原体ではなく生物進化の立役者?』の刊行は2013年でこれから読む『生物はウイルスが進化させた』は2017年だから、この間に武村教授は「?」が取れて確信に変わってきたのかもしれない。インパクトのある書名を、という編集者の意向があり、その反映、ということではないと思う・・・。
既に読んだ『新しいウイルス入門』には私が傍線を引いた次のような件(くだり)がある。**生物進化にウイルスが関わっていたとする考えは古くからあったが、ウイルスが数多く発見され、またさまざまな生物におけるさまざまなウイルスたちの振る舞いが明らかになるにつれ、その考えにはより確かな信憑性が与えられてきた。(中略)生殖的には全く無関係の他の生物種へと遺伝子が移動する「水平伝播」という現象が知られている。これは生物進化の原動力の一つであり、ウイルスが関与しているらしい。**(151、152頁)
『生物はウイルスが進化させた』も読むなら今、だと思う。