透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「残りの時間」

2021-02-07 | A あれこれ

 NHKのラジオ深夜便を聴き始めたのはいつ頃だろう・・・。何年か前から、同番組の午前3時台の「にっぽんの歌こころの歌」、続いて4時台の「明日へのことば」をかなりの頻度で聴いている。

2月4日には、普段聴かない時間帯だが、午前0時台の「ミッドナイトトーク」を聴いた。ゲストは小説家の平野啓一郎さんだった。平野さんは3年に小説1編のペースが理想、75歳くらいまでバリバリ小説を書いていられたらいいなあ、と語っていた。平野さんは75歳まで残り30年だから(注:平野さんは1975年の6月生まれ)、10作しか書けないと続け、書くべきことを絞り込まないといけないなあと思っている、とこの話を結んだ。平野さんは40代にして早くも人生の残り時間を意識しているのだ。

夜中にベッドでこの話を聴いて考えた。

受験数学で「結論からお迎えにいく」という勉強法があったなあ・・・。同様に(と考えれば飛躍しすぎだろうが)、現在の生活のありようを未来(将来)から考えると、違った日常風景が見えてくるよなあ。現在だけの状況で判断するのとは異なる結論になることが生活の様々な事柄で少なからずあると思うなあ。イソップ物語の「アリとキリギリス」が示す寓意もこのことに関することじゃないか。

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いつまで仕事を続けるか、ということも残り時間を意識するのとしないのとでは結論が違うのではないか・・・。もっともこの問題は仕事に関する考え方、仕事観によっても違うだろう。例えば舞台の上で死ねたら本望と考えている俳優もいるのだから。

私は普段人生の残りの時間を意識することはない。だが、残り時間を意識し、何ができるか、何を成すべきか、考えなければいけない年齢になってきている・・・。