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■ **みなさんは数多ある本の中から、この本を手に取って下さった。その行為は、みなさんの意志によるものだろうか。それとも、環境から受けた刺激の帰結として、必然的にこの本を手に取ったのだろうか。**
『脳は、なぜあなたをだますのか――知覚心理学入門』妹尾武治(ちくま新書2016年)はこの問いかけで始まる。
ぼくはもちろん自分の意志でこの本を書店で棚から取り出して買い求めた。だが、答えはなんと、後者。環境からの刺激が必然的にこの本を取らせたと考える方が正しいようだと書いてある。意志というものはただの錯覚に過ぎないのだそうだ。釈然としない・・・。
具体的な実験内容はここには書かないが、例えばハトがピカソとモネの絵を判別することができることを明らかにした実験。例えば人は男女を問わず、自分の顔をより魅力的な方向に歪ませて記憶していることを示す実験、等々。いくつも興味深い実験が紹介されている。
どうも脳は「任せておきなさい、悪いようにはしないから」と私を説き伏せて、勝手(?)に振る舞っているようなのだ。
注意資源 二重課題 アンカリング効果