■「コンコルドの誤謬」という記事を昔(2009.10.15)書いた。以下、それをもとに書いた新たな記事。
コンコルドは英仏両国で開発した超音速旅客機。開発の途中で採算が合わないと分かったが、巨費を投じたので、いまさらやめればすべてが無駄になるということで続行したプロジェクト。このような誤りを「コンコルドの誤謬」と難しくいう。
「リニア中央新幹線」は既に工事が始まっているが、本当に必要なんだろうか・・・。必要だからつくる、というわけではなくて、技術的に可能だからつくるというだけのことではないのか。
東京―大阪間を1時間ちょっとで結んだとしても、その前後の交通事情が改善されない限り、東海道新幹線を利用する場合と目的地までの所用時間はそれほど変わりないだろうに。このようにトータルな交通システムを考えればその一部を構成するだけのリニア中央新幹線の効果はずっと減るような気がする(*1)。
どう考えてもこのプロジェクトは「コンコルドの誤謬」の代表的な事例といずれいわれるようになるような気がする。いや、この手の誤りは「コンコルドの誤謬」に替わって、「リニア新幹線の誤謬」などといわれるようになったりして・・・。
『東京裏返し』には経済的な成長の時代から成熟の時代に転換した社会おいて、より速くの交通システムからスローモビリティ、具体的には13、14キロの速さのトラムや水上交通の整備への転換が説かれている。
東京裏返しは日本裏返しに通ず。
リニア中央新幹線の東京大阪間が開業するのは20年くらい先の見込み、そのころ今以上に急いで移動する「必要」がある社会になっているだろうか。個々人の仕事や生活に関する考え方も変わっていくだろう。社会も経済優先から生活優先へと変わるだろう。
もっと速く社会からもっとゆっくり社会への転換。「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」 20年後、リニア中央新幹線は時代のニーズに全く合わくなってしまっているかもしれない。
*1 関連記事(過去ログ)