■ 長野県の地方紙・信濃毎日新聞の3月1日付朝刊の第三社会面に「福島県の今について最も関心のあること」を問うアンケートに関する記事が載っていた。
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全国の地方紙17紙が2月2日~11日に実施したアンケートで45都道府県から2636人の回答が得られたそうだ。アンケートの結果、福島県について関心がある項目では「原発事故の廃炉作業について」が1133人(43%)と最多で、次は「地震、津波からの生活の復興状況」で615人(23%)だったという。
2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故からまもなく11年になるが、やはり一番の関心事は廃炉作業が今どうなっているのか、だ。この結果にはメディアからの発信が減ってきていることも影響していないだろうかと識者のコメントも載っている。確かに新聞などのメディアの「福島第一原発の今」に関する情報発信を目にすることがなくなった。
『「廃炉」という幻想 福島第一原発、本当の物語』吉野 実(光文社新書2022年)を読んでいるが、廃炉なんて無理なんじゃないかと思ってしまう。
**そもそも何をもって廃炉というかの定義すらない。それなのに、政府はなんら科学的根拠も合理性もない「約30年で廃炉」の旗印を降ろさない。
なぜ国と東京電力は、廃炉が「できる」という虚構を広め続けるのか。本書はその虚構と背景、廃炉の本当の未来に迫るものだ。**(はじめに 4頁)
原発がミサイル攻撃のターゲットになったり、テロ集団に乗っ取られたりすることだって(*1)、このご時世「想定外」にはなり得ない。事実ウクライナ情勢について、チェルノブイリ原発をロシア軍が占拠したという情報もある。
「廃炉作業」などというやっかいな問題を抱え込んでしまったものだな、とつくづく思う。
*1
『スピカ 原発占拠』高嶋哲夫/宝島社文庫
日本海沿岸に建設されたばかりの世界最大の原発がテロ集団に占拠される。彼らは原発を暴走させて、放射性ガスの放出を目論んでいる。日本政府にシビアな要求が・・・。