透明タペストリー

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「日本人の脳に主語はいらない」

2008-10-25 | A 読書日記



「iPS細胞 世紀の発見が医療を変える」八代嘉美/平凡社新書 読了。

ホットな話題になっている再生医療がテーマ。この手の本は私がいつもしている「隙間」読書、空いている時間に細切れにする読書では理解が難しい(否、じっくり通読しても私にはよく理解できないだろう)。

既にシート状に培養した幹細胞を心筋梗塞を起こした心臓に貼り付けて、心臓の機能を回復させることに成功しているという。ただし、マウスでの実験だが。この心筋再生の技術はヒトへの応用も既に可能だという。

「再生医療の実現化」に各国が巨費を投じて研究を進めている。将来心臓そのものを再生するなんてことが実現するのかもしれない。そのようなことが本当に幸福をもたらすのかどうか、新たに抱え込む問題も多いような気がするが・・・。

先日、脳内出血を起こした妊婦が8ヵ所の病院に診療を断られ、搬送先の病院で出産後に亡くなるという「悲劇」が東京であった。

最先端の医療技術の研究ももちろん必要だとは思う。各国が競って再生医療の研究を進めているという。日本でも重点的に予算を配分することを決めているということだ。

でも、先のような日常的に起こっている医療に関する問題を地道に解決していくことにもっと熱心に取り組んで欲しいと思う。

私自身は最先端の医療が受けられないのは仕方がないことだと思うし、それほどそれを積極的に望む気持ちもない。でも、医師が不在などの理由で日常的に行われている医療行為が受けられなくて死んでしまう・・・これは悲しいな、ホント悲しい。

 さて次は『日本人の脳に主語はいらない』月本 洋/講談社選書メチエ。

**脳科学が明かす日本語の構造**と帯にある。日本語は主語がよく省略される。日本語に主語はないと主張する言語学者と、主語はあると主張する学者との間の論争はまだ決着がついていないという。

著者はこの問題を脳科学の知見によって解決できるという。それを本書で説明しようというのだ。興味深い試みだ。書店でこの本を見つけてフェルメール本をやめて購入した。


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