■『TOTO通信』に藤森照信さんが連載している「現代住宅併走」、2020年新春号で藤井厚二設計の太田喜二郎邸を取り上げている。タイトルは「幾何学的数寄屋造」。
藤井厚二の作品では代表作「聴竹居」しか知らないから(なんとも情けない)、藤森さんの解説文を興味深く読んだ。
**藤井は数寄屋造を幾何学という数学で洗い、数寄屋造にまとわりつく手技というか味わいというか、そういう長い歴史のなかで染み込んだ垢のようなものを流し去った。だから、その後の木造モダニズムの源となることができた、と今は考えている。**(46頁)
藤森さんは吉田五十八の数寄屋との比較で、**ふたりの差は空間の背後に幾何学が隠れているかどうかの差にほかならない。**(46頁)と分析している。
藤森さんは作品の魅力を簡潔に言い切る。慧眼はさすがだ。
火の見もいいけど建築もね。