透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

繰り返しの美学

2021-02-21 | B 繰り返しの美学

 建築の構成要素そのもののデザインには特にこれといった特徴が無くても、それを直線的に、そして等間隔にいくつも配置すると、「あ、美しいな」とか、「整っていて気持ちがいいな」とか、そういった感情を抱く。このような経験は私だけの個人的なものではないだろう・・・。シンプルなルールによって、ものが秩序づけられた状態・様子を脳が歓迎しているのだ。建築構成要素を直線状に等間隔に並べるとそこに秩序が生まれ、それを美しいと感じる。このことを「繰り返しの美学」と称して時々ブログに取り上げてきた。

このように書いて国宝の旧開智学校の屋根棟を載せたのが2019年の6月のことだったから、1年半以上間が空いたことになる。



久しぶりに取り上げる繰り返しの美学は長野県生坂村の道の駅「いくさかの郷」のトイレ棟。トイレ棟の全形が分かる写真を撮るべきだったと反省。床面の誘導ブロックの状況からトイレの入口前の通路の様子であること、入口が3か所あることが分かる。

トイレ棟の屋根は切妻形状で通路まで伸ばしている。今回は通路部分の構造フレームに注目する。

木造の場合、伝統的な構法では柱、軒桁、梁の納め方に
京呂組と折置組というふたつの方法がある。在来工法(構法)は柱の上に桁を通し、桁に梁を掛けるのが一般的で、これは京呂組に近い組み方だ(桁と梁の天端の高さ関係に相違がある)。

このトイレ棟の軒回りの構造材の取り合いを見ると、柱と登り梁を一体に組んでできるフレームの間に桁、いやつなぎ梁(とした方が好ましい)を入れている。 きちんと観察してこなかったのはうかつだったが、梁には集成材を使っていたように思う。大断面集成材を構造部材として使う場合には在来木造とは異なり、鉄骨造のフレームと同じ扱いをすることが少なくない。このトイレ棟も同様に扱っているのかもしれない。

このように分析的な観察をすることが目的ではない。柱と梁が一体になったフレームが等間隔に並んでいるなあ、美しいなあ・・・。ただそれだけのこと。


 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。