パンフレット(部分)
■ 塩尻の東座で行われたカフェ・シュトラッセ 10年目の映画祭で「オーケストラ!」を観た。
かつてロシアのボリショイオーケストラで主席指揮者だったアンドレは、今は劇場清掃員。彼は30年前、ユダヤ系演奏家たちの排斥を拒絶して解雇されたのだった。ある日彼が掃除中に偶然目にしたのはパリ・シャトレ座からの出演依頼のファクスだった。彼はかつての仲間を集めて偽のボリショイオーケストラを結成してパリで「なりすまし演奏」をしようと考えた・・・。
この映画はラストまでコメディなのか・・・。そう思いながら観ていたが、それは「心震え、感動のラスト」のためのちょっとオーバーな演出だった。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。リハーサルなし、楽器も現地調達。ぶっつけ本番の演奏の始まりはバラバラ。昔の仲間たちはタクシー運転手、ポルノ映画の効果音担当などをしてかろうじて生計をたてているのだからそれは当然。だが彼らは次第に奇跡のハーモニーを奏で出す・・・。ソリストの渾身の演奏が彼らの演奏家魂を甦らせたのだ。
アンドレがソリストに指名した美人バイオリニストはフランスで両親を知らずに育った。何故アンドレは彼女をソリストに指名したのか?演奏中に明らかにされる過去の出来事。見事な演出だ。
素晴らしい演奏、感動のラストに涙、涙だった。
カフェ・シュトラッセのふたりのベストチョイスに拍手、そして感謝。