透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

209 池田町正科の火の見櫓

2011-11-03 | A 火の見櫓っておもしろい


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オーソドックスなタイプで形やプロポーションが洗練されていて美しい火の見櫓と、類例を見たことのない珍しい形の火の見櫓。見て感動する火の見櫓はこのふたつに大別できます。今回紹介する火の見櫓は後者、今まで見たことのない形の火の見櫓です。

カフェ バロのミニミニ講座「火の見櫓っておもしろい」に参加していただいた安曇野市のヤグラー・のぶさんのブログ(←クリック)でこの火の見櫓を知りました。所在地は大町市に境を接する池田町の正科地区。近くに国宝の仁科神明宮があります。

2階建の消防団詰所をまたぐ鉄骨の櫓に3角櫓に6角屋根・見張り台の火の見櫓をちょこんと載せています。実に思い切った構成です。火の見櫓をなぜステージの端に寄せたのか、その理由は分かりませんが、中央にあるよりこの位置の方が美しいでしょう。

近所の方から、20年くらい前にはじめからこの形で建設されたとお聞きしました。なぜなのかよくわかりません。隣はゲートボール場で、火の見櫓を建てるスペースくらいありそうですから・・・。最近塗装をしたそうです。これが錆びた火の見櫓だったら、美しくもなく、がっかりしたと思います。

後方の高い山々が冠雪したらまた出かけたいと思います。

いや~、火の見櫓って本当におもしろいです。


追記140427 撤去されるかもしれない。
追記160606 既に撤去されている。


『「いき」の構造』岩波文庫

2011-11-03 | A 読書日記




 九鬼周造の『「いき」の構造』をしばらく前に講談社学術文庫で読んだが岩波文庫も買い求めた。岩波文庫には「風流に関する一考察」と「情緒の系図」が併収されている。「風流」とか「情緒」といった、「いき」と同様に曖昧な概念についてどのように論じているのか興味がある。ここしばらくは北杜夫の作品を続けて読むことにしているが、その後読んでみたい。

ところで、岩波文庫の解説を多田道太郎氏が書いているが、そのなかに**『「いき」の構造』は一人の女性を論じたものではもちろんない。しかし私は、著者が心の傷の向こうに、描かれていた女性の姿のあったことを、疑うことはできない。**とある。(225頁) 

この部分をよんで私は「やはりそうか」と思った。私もそのように感じて、恋愛論として読むこともできるだろう、と書いたのだった。(過去ログ) 多田氏は九鬼周造が道ならぬ恋に傷ついた母親を見ていること、九鬼自身も友人の妹との恋に傷ついていることを指摘したうえで先のように書いている。 経験を俗な恋愛論ではなく、それをベースに哲学したところが九鬼周造という人の凄いところか・・・。