透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「個人美術館の愉しみ」を読む

2011-11-10 | A 読書日記



 赤瀬川原平さんは多才な方だ。尾辻克彦という筆名で書いた『父が消えた』という小説で芥川賞を受賞しているし、流行語にもなった『老人力』という本も書いている。前衛芸術家としても有名だし、写真集も出している。

また、路上観察学会会員でもあるし、藤森照信さん率いる縄文建築団の一員として藤森建築の施工にも参加している。赤瀬川さんは藤森さんが設計したニラハウスの住人。

『個人美術館の愉しみ』を買い求めた。北杜夫作品を読み続けているが、ちょっと寄り道をする。

個人美術館について、一人の作家だけの美術館と一人の蒐集家による美術館と、二通りの意味を持つとカバー折り返しに説明がある。本書には赤瀬川さんが選んだ個人美術館46館の、美術館そのものについて、作品についての評論が収録されている。東海道新幹線のグリーン車の座席の背に挟んである「ひととき」という雑誌に連載された「個人美術館ものがたり」をまとめたものだという。

美術作品を取り上げた新書は多いが、本書のように図版がすべてカラーで載っているものは少ないのでは(カラー図版342点!)。展示されている作品だけでなく、美術館の外観、内観の写真が載っているのはうれしい。

さあ、読もう。