透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

420 火の見櫓の影

2013-06-16 | A 火の見櫓っておもしろい

 
420 松本市神林北荒井 撮影日130616

 かなり高い火の見櫓ですが、梯子が櫓の外側に設置されています。踊り場もありません。この梯子を上り下りするのはかなり怖いと思います。

梯子段のピッチを測ると30cmでした。段数が32段でしたから、踊り場の床まで、30×(32+1)=9m90cmと計算できます。その上、屋根のてっぺんまで2m50cmとみると、この火の見櫓の高さはおよそ12.5m。

特徴的なのは柱が屋根の先端にぶつかっていることです。このことにより、ユニークな姿・形になっています。屋根下に半鐘は無く、櫓の途中に移してあります。




道路に火の見櫓の影が落ちていました。このブログの記事で私も影に注目しました。生活道路がずっと続いています。影、これは新たな視点です。


 


44 カフェバロのお客さん

2013-06-16 | C 名刺 今日の1枚



44 昨日(15日)カフェバロのカウンター席で隣り合わせた方。帰り際に名刺を渡して写真を撮っただけで、お名前を伺わなかった。だからイニシャルが分からない・・・。Kさんかな? 常連のお客さんらしいが。

椅子を収集しておられるそうで、13脚だったかな、お持ちだとか。自転車で遠出をしたり、トライアスロンにチャレンジしたり、キャノンの大型カメラを常に持ち歩いていて写真を撮ったりと多趣味な方だった。

このカフェにはいろんな趣味をお持ちのお客さんが結構集まるようだ。そんな人たちからデープな世界の話を聴くのも楽しいものだ。


 


グランドデザイン

2013-06-16 | D 新聞を読んで

 リニア中央新幹線は東京―名古屋間を最速で40分、東京―大阪間を67分で結ぶ計画だという。東京―名古屋間は2027年の開業にに向けて来年にも工事に着手する予定だとか。ちなみに東京―大阪間の開業は2045年の予定。

リニア新幹線が開業しても長野県在住の私は名古屋に出かける場合には松本から特急しなのを利用する。間違いなく。県南の飯田下伊那地域に計画されている中間駅まで車で行って、リニア中央新幹線を利用するよりその方が楽、そしてたぶん早い。

このプロジェクトのグランドデザイン、すなわち在来線や高速道路などを含む新たな交通体系(システム)の全体構想が示されていない。仮に中央自動車道と中間駅が直結され、充分な広さの駐車場が整備されるとすれば、リニア中央新幹線の利用者は増えるかもしれない。だが、そうなるだろうか・・・。

このことに関して参考になる前例がある。

長野自動車道は信州まつもと空港のすぐ近くを通っている。塩尻北インターで枝分かれして空港(地図の左側、白い縦の太線が松本空港の滑走路)に直結されていたら、長野県内の空港利用者数は現状よりもっと多いだろう。


ネット検索で得た地図を切り取って載せた。

だが、そうはならなかった。このことをグランドデザイン、全体構想の欠如と断じよう。この位のことは誰でも構想できるだろう。だがこの構想を具体的に示すマスタープランなど見たことがなかった。

信州まつもと空港と長野自動車道のこの関係がリニア新幹線の県南の中間駅と中央自動車道との間で再現されるだろう。他県の中間駅でも事情は変わらないのではないか。交通体系はバラバラな計画ではダメ、意味が無いのに・・・。

時間短縮を目論むプロジェクトなら、駅まで徒歩で10分もかかるようなところに駐車場をつくるのはナンセンス。駅の構内に駐車場を造らなければ。でもそんな中間駅は構想されてはいない。


このイメージ図に高速道路が繋がっていて、中間階に駐車場が描かれていれば拍手してもよいが・・・。

今現在、東京―名古屋間は新幹線でおよそ100分。リニア新幹線によって所用時間が60分短縮されることになるが、駅からの、駅までの交通体系が変わらない限り時間短縮効果は薄れる。

そもそもこのような交通システムに関する巨大プロジェクトはJR東海だけで完結できるものではない。それとも国土全体の新たな交通インフラ構想が国から示され、具現化されることになるのだろうか・・・。そんなことは到底できないだろう。

新たな交通インフラの構築・・・、もはやそんな時代ではない。

それより、既存の交通インフラのメンテナンスをきちんとして、健全な状態を維持することを考えるべきだ。その必要性を笹子トンネルの事故が示しているではないか。


 


KITTE

2013-06-12 | A あれこれ

■ 勤め帰り、西の空に浮かぶ爪の先のような細い月を見た。単眼でも両眼でも月が複数見えてくっきりとひとつに像を結ばない。両目とも視力は裸眼で1.0くらいあるのに・・・。乱視かな。

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先日東京へ出かけた。KITTEにも行きたいと思っていたが、ふたつの展覧会にだいぶ時間を要して行く時間が無かった。


JPタワーと保存された東京中央郵便局 同僚のT君撮影

東京中央郵便局は昭和6年の12月に竣工した。逓信省の技師・吉田鐵郎設計によるこのビルの特徴は装飾を排し、柱と梁の白いグリッドに黒の建具を嵌め込んだシンプルな構成にある。繰り返しの美学なファサードデザイン。


KITTEのアトリウム 同僚のT君撮影 

KITTEは高層棟と保存された中央郵便局の低層棟に囲まれた5層吹き抜けのアトリウムに面して100近くの店舗が軒を連ねる商業施設だ。

アトリウムのトップライトには太陽光発電セル付きのガラスが採用されているが、そのことは写真でも分かる。手元の資料によると、地中熱を利用した床輻射冷暖房も採用されているという。このような最先端技術の導入は大規模なプロジェクトでは今や当たり前。

今度東京に出かけるときは是非行ってこの空間体験をしてみよう。


 


梅雨

2013-06-11 | A あれこれ

■ 日本をいくつかの地域に分ける方法は何通りもあります。目的によっても当然違います。道州制導入に関する議論の際にも日本の地域分けの方法として何パターンも示されました。

「関東甲信越」という括りは地域分けでよく採用されます。関東の1都6県に山梨、長野、新潟の3県を加えた地域です。

今年の梅雨入りに関して、「関東甲信」地方が5月29日、平年より10日早く梅雨入りしたと思われると気象庁から発表されました。ここに越、新潟県が入っていません。新潟県はまだ梅雨入りしていないのです(6月11日現在)。長野県は梅雨入りしたと思われると報じられたもののまとまった降水がありません。

*****

地球に降り注ぐ太陽エネルギーはほぼ一定でしょうから、海から蒸発する水量もほぼ一定のはずです。となると、降水量もほぼ一定のはず。この季節の日本の降水量が少ないのなら、その分どこか違うところに降っているはずだと考えるのが妥当でしょう。

先日、通勤途中の車で聞きましたが、ライン川が増水・氾濫したそうですね。もし、地球的な規模で降水量がバランスしているのだとすれば、日本で降らない分、ライン川流域で降っているのかもしれません。いやそんなに単純ではないでしょうね。

東南アジアくらいの限定的な地域でバランスしているのであれば、今年も中国あたりで洪水が発生しているのかもしれません。あるいは陸地ではなく海により多く降っているのかもしれません・・・。

子どもの頃は梅雨になると毎日しとしと雨が降り続いたと記憶しています。でもそんな梅雨は大人になってから(って何とも曖昧な表現ですが)経験した記憶がありません。

地球温暖化の影響でしょうかね・・・。



 


419 オーソドックスな姿の火の見櫓

2013-06-09 | A 火の見櫓っておもしろい

 
419

 松本市の神林地区は自宅からそう遠くもないのに今まで火の見櫓を探しに出かけたことがありませんでした。先日所用でこの地区の公民館に出かけたところ、その前にこの火の見櫓が立っていました。実はそんな予感がしていたのです。

3角形の櫓、6角形の屋根、6角形の見張り台でオーソドックスな姿・形の火の見櫓です。



火の見櫓の後方にホースタワーが立っていますが、使用後の消火ホースは火の見櫓に架けられています。ホースタワーは使われていないのかもしれません。屋根は少し勾配が急のような気がします。手すりのデザインもごく一般的。半鐘は撤去されています。ということは火の見櫓としての機能は無くなって、ホースの乾燥用として立ち続けているというところでしょう。



美脚です。


追記 大橋鐵工所


花金なんてもう言わないか・・・

2013-06-08 | A あれこれ

  

 群馬県の富岡製糸場に出かけたのは5月のことだった。 その時一緒だった友人3人と昨晩(7日)食事会(いや飲み会)をした。

Mさんの提案で中町(蔵が多く残る通りとして観光客にもよく知られている)の草庵にする。待ち合わせした駅前から電話して席を確保。店までは徒歩で10分足らず。

料理を「おまかせ」でオーダー。ガラスの酒器で冷酒をいただく。供された料理では焼き魚が特に美味かった。

話題は次回の日帰り旅行の行き先。今までに遠くは恵那市の日本大正村や郡上八幡、比較的近場では小布施や馬籠宿などに出かけた。今度は酒田がいいとMさん。酒田の土門拳記念館に行ったのはもう20年以上も前のことだ。Mさん 山形県は遠いよ、日帰りは無理じゃないかなと私。

「女子」との飲み会は健全なもの。2次会替わりにミスタードーナツってミスドって略すんだっけか、そこでドーナツとコーヒーで暫し歓談。

次回は暑気払いかな。日帰り旅行の行き先を決めないと・・・。



 


「信長の城」

2013-06-08 | A 読書日記



『信長の城』 千田嘉博/岩波新書

先週末(6月1日)、東京に出かけたが、往復の列車内で読もうと当日の早朝買い求めた。時間に余裕がなかったので、さっと書棚をながめて、買い求めたのがこの本。

城の発掘成果や絵画・地図、航空写真、文学史料(例えば宣教師が記した日記)などを統合して城の構造を読み解く。あとがきによると、著者は中学一年生の夏休みに姫路城を望遠して以来、城好きになったという。現在は城郭考古学を専攻する大学教授。

**信長の城は、大名と家臣との屋敷地の配置に大きな格差をつけて、一貫して城のかたちに階層性を反映させようとしました。それは小牧山城より岐阜城に色濃く、安土城ではさらに徹底しました。こうした大名を中心とした権力の階層的な編成をかたちに反映した求心的な城の出現を、城から見た中世と近世の違いと評価できます。**(262頁)  この辺りが本書のポイントだろうか。

さっと手にした本をさっと読んだ。 


 


正麟寺

2013-06-08 | A あれこれ


山門前から本堂方向を見る

 松本市蟻ヶ崎の曹洞宗の寺、正麟寺を初めて訪ねた。

この山門をくぐり、先にある鐘楼門をくぐり本堂(屋根が見えている)に至る。三棟をきっちり直線軸にのせていないことが分かる。意図的にずらして配置したとみるべき。



この寺は二つの祖国の狭間で数奇な運命に翻弄された女性、川島芳子の墓があることでも知られている。墓前にて合掌。



本堂を背にして鐘楼門を見る。なかなか美しいプロポーション。梁や扇垂木の先端、白い小口が印象的だ。

ところで6月10日は時の記念日だが、松本時計博物館の呼び掛けにより、この日に松本・大北地方の39の寺院で鐘を鳴らすという。朝6時と夕方6時の2回とのことだが、その時この鐘も打ち鳴らされるのだろうか。この寺は勤務先から近い。散歩がてら出かけてみよう。


 


418 ユニーク!

2013-06-08 | A 火の見櫓っておもしろい

 Y君から「この頃火の見櫓の記事が少ないですね」と言われた。確かに。どうもマンネリ気味でごく一般的な火の見櫓を見かけても以前のようにワクワクしなくなってしまった。いかんなぁ。常に新鮮な気持ちで接しないと・・・。

でも久しぶりに変わった姿・形の火の見櫓を松本市内、神林下神で見かけて興奮した。

櫓がなんだかヘン。遠くにこの火の見櫓が見えたときそう思った。近づいて見ると・・・、櫓の上方への絞り方がぎこちないし、ブレースの入れ方も変わっている。

 
418  松本市神林下神



4角形の櫓に8角形の屋根を載せるのは別に珍しくもないが、8角形の見張り台は珍しい。4角形の床は面積を確保するために柱から外側に張り出すことになるが、それをしたくなかったのだろう。

屋根の下で柱を横架材で繋ぎ、そこに斜材を入れているが、これも一般的ではない。滑車を付けている持ち出し梁というか腕木の取り付け方も用心深い。



中間の踊り場の手すりは櫓の構造の一部を成している。



脚部の構成も変わっている。櫓の姿・形が美しくはないがユニーク、個性的。オリジナル志向の鍛冶屋さんの作かもしれない。惹かれるなぁ・・・。


 


足りないものは・・・

2013-06-06 | A 読書日記



■ 平年より10日もはやく梅雨入りしたと聞いていましたが、雨、降りませんね。何日間か降り続いてその後降らない日が続くことを「梅雨の中休み」と言いますが、今年のように梅雨入り後から雨の降らない日が続くことを「梅雨のずる休み」と言うそうです。数日前、NHKラジオの早朝番組で気象予報士の伊藤 みゆきさんが言ってました。先輩予報士から聞いたとか。新聞で天気図を見ると梅雨前線が日本列島からかなり離れた太平洋上にあります。これでは降らないでしょう。

*****

さて本題。

書店でこんな帯のついた新書を手にしました。「あなたに足りないものは・・・」 いろいろあります。本に関して言えば経済学に関する本を読むことはまずないです。従ってここに取り上げたこともないと思います。そう、経済学は全く関心の無い領域です。もちろん経済に無関心、というわけにはいかないのですが・・・。



ということで買い求めたのが『経済学的思考のセンス』大竹文雄/中公新書です。上の帯はこの本についていました。

Ⅰイイ男は結婚しているのか?
Ⅱ賞金とプロゴルファーのやる気
Ⅲ年金未納は若者の逆襲である
Ⅳ所得格差と再分配

Ⅳはそうでもないですが、他の各章のタイトルを見る限り、なかなかおもしろそうです。また、カバーの折り返しの紹介文は**経済学の本質をわかりやすく解き明かす。**と結ばれています。

『信長の城』 千田嘉博/岩波新書を読み終えたら、この本を読みたいと思います。

「今年は何でも読んでやろう」です。


 


 


左右対称を好まない・・・

2013-06-03 | C 狛犬



 東京国立博物館で開催されていた「国宝 大神社展」。展示は第1章から第6章までの構成になっていて、この獅子・狛犬は「第6章 神々の姿」に展示されていました。滋賀県の若松神社の平安時代のお宝です。ポストカード(写真)を会場のショップで買い求めました。

右の角がないのが獅子で、左の角があるのが狛犬です。獅子・狛犬をまとめて狛犬ということが多いそうですが、日本に伝わったときは左右同じ形だったとウィキペディアにあります。それがいつの間にか左右非対称に変化したんですね。伽藍配置も下図の通り、左右対称形で伝わったのですが、いつの間にか左右非対称に変化しています。中国の古い都・長安の都市計画も左右対称でした。それを手本にした平城京の左右対称の構成も次第にくずれてしまったんですよね。




日本最古の本格寺院といわれる飛鳥寺の伽藍配置(上)と法隆寺西院の伽藍配置(下)
「日本名建築写真選集4 法隆寺」新潮社より

左右対称を好まない日本人の心性が狛犬も伽藍配置も都市の構成も左右非対称、アンシンメトリーに変えてしまったというわけなんですが、それでは一体なぜ日本人は左右対称を好まないのでしょうか・・・。

なるほど!な理由をでっちあげなければ・・・。

日本は国土が狭くて、ただ地平線が続くだけの「左右対称の風景」が無い。自然を愛するこの国の人たちは、自然に無いような形を好まないから、と友人が唱えた仮説をとりあえず挙げておきます。



週末東京 

2013-06-03 | A あれこれ

  

□ 「レオナルド・ダ・ビンチ展」@東京都美術館

ルネッサンス期の絵画の描法にレオナルドが与えた影響の大きさを示す 「レオナルド以前」、「レオナルドとその時代」、「レオナルド以降」とレオナルド自身が描いた素描、メモなどの展示。レオナルドが左手で書いた細かな鏡文字、両手で描いた素描などに感動。「おお、これが自筆のスケッチか・・・」

次、東京国立博物館へ。レストラン「ゆりの木」で昼食。食前に熊野古道麦酒を飲む。なかなか美味い。

  

□ 「大神社展」@東京国立博物館平成館(会期は0602まで)。

全国各地の神社のお宝大集合。60点近くの国宝(*1)をはじめ、最高の技術でつくられた名品の数々。あの北条政子が奉納した梅蒔絵手箱(国宝)、金銅製雛機(ひなはた、織機のミニチュア 国宝)、古事記上巻の書写(室町時代 重要文化財)、春日神鹿御正体(かすがしんろくみしょうたい 南北朝時代 重要文化財)、唐鞍(鎌倉時代 国宝)、それから足利尊氏寄進状(南北朝時代 重要文化財)・・・。平安時代の獅子・狛犬(滋賀・若松神社)も。

多くの神像の展示。仏像との違いを表現するのに苦労したんだろうな、と思う。やはり神像は人前に姿を見せない方がいいなあ。この国にはすごいお宝がいっぱいあるんだ(*1 前期、後期を合わせると77点の国宝が展示された)。感動。こんな機会はもう無いかもしれない・・・。

「レオナルド・ダ・ビンチ展」は知性の展示、「大神社展」は技術の展示。



10時過ぎから観始めて、両展を観終えたのは6時過ぎだった。疲れた・・・。国立西洋美術館で開催中の「ラファエロ展」はあきらめて東京駅へ。


持ち帰ったリーフレットの写真を転載しました。

□ 内藤 廣が店舗の内装設計をした「TORAYA TOKYO」。

人工大理石のストライプ状のモダンな白壁が古いレンガの素材感を際立たせている。新旧の対比が美しい。やはり時間を蓄積できるレンガはいい。また行こう。

その後、新宿へ移動。「響」で夕食。店内が騒々しかったのは残念。

村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』に**つくるは自分がこのまま列車に乗り込み、今から松本に向かうところを想像した。**(355頁)**塩尻まで中央線を進み、それから松本までは篠ノ井線を走る。列車が松本に着くのは真夜中の五分前だ。**(354頁)と描かれている最終の特急あずさで帰路についた。


 


― 火の見櫓ってアート

2013-06-02 | A 火の見櫓っておもしろい


山形村下竹田の今は無き火の見櫓 撮影 201104

■ 火の見櫓観賞、いや火の見櫓はアートですから鑑賞とすべきでしょうか。

鑑賞のポイントは櫓のプロポーションと脚の美しさです。桜を纏っていますが櫓の形はよく分かります。実になめらかな曲線を描いて上方に向かって細くなっています。

逓減率(最下段の横架材と見張り台直下の横架材の長さの比としました)を調べると約0.4。多重塔(三重塔、五重塔)ではこの逓減率の値がどのくらいのときにどんな印象になるかという研究がなされています。工学的な研究では定量化、数値化が欠かせませんから。

火の見櫓について櫓の高さ・逓減率と見た目の印象との関係について明らかにしようと思うなら、何人かに聞き取り調査をする必要があるでしょう。そうすればある傾向が見つかるでしょう。

次に脚の形に注目します。トラスが脚の先まできちんと伸びています。脚上部(って股間部のことですが)のアーチも大きさが適当でお手本のような美脚です。ウォーキングでもラジオ体操でも欠かさず続けることが大切なんですが、これは何に対しても当て嵌まることでしょう。火の見櫓鑑賞も例外ではありません。評価は共に★★★★★です。

この火の見櫓は文句なしに美しいです。あえて難を挙げるとすれば屋根の反りがきついことと、軒先の鼻かくし(建築用語)のひらひらでしょうか。私はもっと渋く、地味な方が好きです。

残念なことにこの火の見櫓も桜の木も今年4月に撤去・処分されてしまいました。田舎の風景とて魅力をつくるのは「歴史の重層性」、古いものと新しいものとの秩序ある調和だと考えていますから、この火の見櫓の撤去・処分は残念なことと言わなければなりません。