透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「ゼロ・ダーク・サーティ」

2021-02-13 | E 週末には映画を観よう

 「ゼロ・ダーク・サーティ」を観た。



ビンラディンの居場所を一体どのようにして突き止めたのだろう・・・。困難を極めていたビンラディンの居場所の特定。CIAの女性情報分析官・マヤ(写真)の執念によって、ついに特定された。パキスタンの首都・イスラマバードの近郊、アボッターバード(Abbottabad)という都市で。

映画の終盤、ゼロ・ダーク・サーティ、午前0時30分、特殊部隊を乗せたステルスヘリ2機がビンラディンが潜んでいる要塞のような豪邸に向けて飛び立つ。豪邸突入、ビンラディン射殺。

映画のラスト、主人公・マヤただ一人を乗せて飛び立とうとする輸送機。パイロットの「で、どこへ行く?」という問いかけ、これはマヤに対するものではなく、世界の人々に対する問いかけだろう。ビンラディンの殺害。で、世界はどこに向かうのか? 

この映画の製作にアメリカ政府が「情報」を提供しているとのこと。このような映画をつくり、公開することができるアメリカはやはり凄い。


 


読書雑記

2021-02-12 | A 読書日記



 信濃毎日新聞の芸能面に連載中の「いきものがかり水野良樹の「そして歌を書きながら」」というエッセイ、今日(12日)の「カフェをはしごするぜいたく」は我が意を得たりと思わせる内容だった。

水野さんはデビュー後に名前が売れ、大きなお金が入ったとき**品行方正を気取るつもりはなく、バカで恥ずかしいぜいたくもいくつかしたと思う**と告白。続けて**だが、結局、自分の心持ちを支えるのは派手なことより「毎日気兼ねせずに好きなカフェに行ける」というような、日常が豊かになるぜいたくであったりもする。**と綴る。そして次のように結ぶ。**幸せや豊かさを感じさせてくれるのは、このコーヒーが何げなくここにあってくれるようなことなのかもしれない。** 

そう、幸せは日々の小さな喜びの積み重ねによって得られるものだと思う。


朝カフェ読書で『コミュニティと都市の未来――新しい共生の作法』吉原直樹(ちくま新書2019年第1刷)を読み始めた。しかし・・・。

**産業主義的生産様式や文化が進展していくにつれて、「生きられる共同性」が内包するような時間と空間は社会の後ろに退き、モダンの時間と空間が前面に出てくる。**(61頁)

**生産主義的生産様式に埋め込まれたモダンの時間と空間、つまり「絶対的時間」と「幾何学の連続的空間」は産業主義的生産様式の進展とともに極限にまで達した。**(67頁)

書かれている文章の意味が理解できない。僕にはこのような文章を読み解く能力が全くない、ということを改めて知った。こんな時の対処法について立花 隆氏が『ぼくはこんな本を読んできた』(文藝春秋1996年第3刷)に次のように書いている。**自分の水準に合わないものは、無理して読むな。水準が低すぎるものも、水準が高すぎるものも、読むだけ時間のムダである。時は金なりと考えて、高価な本であっても、読みさしでやめるべし。**(74頁)**読みさしでやめることを決意した本でも、一応終わりまで一ページ、一ページ繰って見よ。意外な発見をすることがある。**(74頁)

このアドバイスに従い、文章をざっと目で追うことにする。


 


辰野町小野の火の見櫓再訪

2021-02-12 | A 火の見櫓っておもしろい


火の見櫓のある風景 好みの道路山水的構図
(再)上伊那郡辰野町小野下雨沢 4無44型 撮影日2021.02.11

この火の見櫓は2014年9月に一度観察している。一度観たらそれでおしまい、ということにはしない。好きな小説を何回も読むことと同じで、何回か観ているうちに初めて気がつくこともあるし、季節や天候、時間帯によっても火の見櫓は雰囲気が変わる。



屋根:存在感のある蕨手と避雷針の飾り
見張り台:4隅の面取り部分の飾りは「開いたハート」を上向きと下向きセットにしているが、このパターンを手すり4面に繰り返している。見張り台直下にも櫓部分と同じ、リング式ターンバックル付き交叉ブレースを設置している。これには構造的な意味合いはなく、装飾的なものだろう。



屋根と櫓上端との接合部:ずいぶん入念に接合している。屋根の補強材の入れ方も分かる。

この写真だと半鐘をどのように吊り下げているのか分からない。もっと的確なアングルがあったと思う。撮り急いではいけない(反省)。消火ホースを干すために掛けるフックはこのくらいの位置にあると作業しやすいだろう。このフックの取り付け高さから、この火の見櫓の屋根てっぺんまでの総高を約12メートルと見た。



外付け梯子と踊り場の取り合い:整ったフォルム。左側は消防団詰所(屯所)の外付け階段から櫓の踊り場に掛けられた梯子。



「辰野町第十七分団」という切文字が取り付けられている。2014年にこの火の見櫓を見た時は切り文字には注目していなかったようだ。



柱あれど脚は無し。基礎から突き出した短材と柱材の下端を接合している、という理解でよいのだろうか・・・。このような方法にすると建て方がやり易くなったのだろうか。


 


1266 辰野町上島の火の見櫓

2021-02-11 | A 火の見櫓っておもしろい


1266 上伊那郡辰野町上島 4脚44型 撮影日2021.02.11

 辰野町上島、国道153号沿いの西側にある集落内の狭い生活道路脇に立つ火の見櫓。道路脇という立地の火の見櫓は8割を超える。



櫓の上方への逓減の様子が実に良く、美形。だが、残念ながら脚部に難がある。正面以外は櫓の構造がそのまま地面まで達していて脚が無いのだから。脚が無いのにタイプ分けでは「4脚」としているのはいかがなものか・・・。4無44型とでも表記するか。これは櫓は4角形、脚は無し、屋根と見張り台は4角形の意味。







踊り場に吊り下げられていた半鐘は撤去され、ヘの字形の屋根(切妻屋根)だけが残されている。腕木と屋根棟が直交しているが、この向きは珍しい、と思う。


 


テレビ番組で紹介された火の見櫓

2021-02-11 | A 火の見櫓っておもしろい


長野放送「みんなの信州」2019.07.08

 長野放送(NBS)の取材を受けた2019年の7月3日、4日は『あ、火の見櫓!』はまだ校正の段階だった。同月8日の放送では秋に出版予定と紹介された。今年、2021年の1月11日に今度は信州のローカル本特集で紹介したいということで信越放送(SBC)の取材を受け、同月18日に放送された。私の本が編集段階と出版後を長野放送から信越放送に引き継がれるようにして紹介されるという幸運に恵まれたのだった。




信越放送「ずくだせテレビ」2021.01.18

信越放送の番組では本の紹介と上伊那郡辰野町の火の見櫓を北川原アナに説明する様子などが20分近く放送された。上掲の火の見櫓(辰野町小野雨沢)は2011年の8月に見ていて、ブログにも載せているが、きちんと(「きちんと」は私のキーワード)見ていないことに取材中に気がついた。それで今日(11日)改めて観察してきた。火の見櫓巡りを始めた2010年の翌年のことだから、まだ観察眼が「きちんと」備わっていなかったのだろう。

以下観察記 

まずは遠景、火の見櫓のある風景を見る。火の見櫓が立っていると凡庸な風景が魅力的になるから不思議。火の見櫓は地域人たちが地域を大切に思い愛する地域愛の象徴であり、地域のランドマークでもある。風景の構図は道路が一点透視図のように奥行き方向に伸び、家屋や樹木が道路沿いに連なる「道路山水」が私の好みだが、下の2カットの構図はそうはなっていない。


(再)撮影日2021.02.11





火の見櫓のある風景を見た後、火の見櫓に近づいてその全形を見る。まず型(タイプ)の確認。この火の見櫓は3脚66型だ。櫓は下方に向かってなだらかなカーブを描き、末広がりになっている。末広がりというのは櫓の美的条件として外せない。お手本は東京タワーだ。次に火の見櫓を構成する要素を見る。まず屋根と見張り台。




屋根下地の様子も見る。反った6角錘の下地はどうなっているのだろう・・・。稜線(下り棟)の下地を軒先から更に伸ばし、くるりんと曲げている。これが蕨手。見張り台の手すりのデザインにも注目する。〇と蔓状の逆ハートはよく目にする飾り。



次に踊り場を見る。外付け梯子から櫓の内部に入るが、そのゲートの両側に切文字で「小ノ村(小野村)」「雨沢分団(沢は右側のつくりの部分が欠損している)」と表示してある。腕木の先に表面がつるりんちょな半鐘が吊り下げてある。屋根下の半鐘の表面にはぽつぽつがついている。このぽつぽつのことを乳というが取材ではぽつぽつとしか説明しなかった。女子アナ相手に乳はまずい。セクハラおじさんにならようにと、理性的な判断が出来て良かった。



脚部。美脚の条件の説明は案外難しい。火の見櫓を女性に見立てて「美脚だな~」と観察することがあるそうです、とスタジオで進行役の女子アナが僕に代わってコメントしていた。よく覚えていないが僕が現地で北川原アナにこのように語ったのだろう。

火の見櫓、この魅力的な世界に出口はない。


 


味噌川ダムカレー

2021-02-10 | F ダムカレー



 久しぶりにダムカレーの竣工検査をした。今日(10日)検査したのは木祖村の味噌川ダムカレー。竣工写真として、上空からダム全景の俯瞰写真を撮った。ドローンを飛ばさなくてもこのような写真が撮れるところが良い。

敷地形状が以前と変わっている。以前は真円だったが(過去ログ)、現在はタマゴ形とでも言ったらいいのかな。色は白で変わっていない。

山賊焼きはロックフィルダムのロックを、キャベツと野菜揚げはダム周辺の豊かな自然を、それからピリ辛こうじはダム管理所、福神漬やらっきょはダム下流の水の流れや発電所を表現していると、掲示されている仕様書で確認した。

敷地は形が変わり面積も広くなったような気がするがライスダムの堤体重量や総貯ルー量は以前と変わらないだろう。ダムの実測は行わず、簡単な目視検査で終わらせた。味に関する検査資格を有していないので検査対象外とする。で、美味かったとだけ検査結果を記しておく。

・施工費:900円(税込)
・施工に要した時間:約13分
・竣工検査(試食)に要した時間:約15分
・施工スタッフ:女性2人 
・施工会社:食事処 げんき(きそむら道の駅)
・所在地:木曽郡木祖村藪原163-1


施工会社の入口の様子 


 


なぜ?

2021-02-09 | D 新聞を読んで



 昨日(8日)の信濃毎日新聞7面(科学面)に上掲の記事が載っていた。記事のリード文には**国内4カ所にある電波望遠鏡を連携させ約20年間にわたって観測を続けた成果で、銀河の中心から太陽系までの距離や、銀河の回転速度などを高い精度で測定した。**とある。

記事には銀河中心から太陽系までの距離は約2万5800光年(誤差プラスマイナス1100光年)、太陽系は銀河中心を軸に回転していて、その速度は毎秒227キロ(誤差プラスマイナス11キロ)とある。227km/s、そうか太陽系ってこんな超高速で回転しているんだ(って地上感覚で捉えることが正しいのかどうか分からないが)・・・。

今読んでいる『巨大ウイルスと第4のドメイン』武村政春(講談社ブルーバックス2015年)はウイルスの振る舞いというミクロな世界のことを扱っている。

広大な宇宙もミクロなウイルスも直接見ることができない。それを人は何とか見ようとする。なぜ造物主はこのような世界を創造したのだろう・・・。


 


「巨大ウイルスと第4のドメイン」

2021-02-08 | A 読書日記

 昨日(7日)の昼過ぎ、久しぶりに松本駅近くの大型書店・丸善に出かけた。たくさんの本に囲まれ、その中から読みたい本を探すのは楽しい。 

『細胞とはなんだろう 「生命が宿る最小単位」のからくり』
『新しいウイルス入門 単なる病原体でなく生物進化の立役者?』
『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』

正月から武村政春教授の著書を続けて3冊読んできた。今日買い求めた『巨大ウイルスと第4のドメイン 生命進化論のパラダイムシフト』(講談社ブルーバックス2015年第1刷)も武村教授の著書。

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本の帯に**※ドメイン=生物の最上位の分類。全ての生物は「真核生物」「細菌」「古細菌」の3つのドメインのいずれかに属する。**とあり、示されている図(写真)には第4のドメインとして「巨大ウイルス」が加えられている。分類は研究というか学問の基本の「き」、ここに新たなドメインが加えられることになるということはとても大きな出来事だということ。

武村教授の文章に慣れてきたところで、この本を今日から読むことにする。


 


「残りの時間」

2021-02-07 | A あれこれ

 NHKのラジオ深夜便を聴き始めたのはいつ頃だろう・・・。何年か前から、同番組の午前3時台の「にっぽんの歌こころの歌」、続いて4時台の「明日へのことば」をかなりの頻度で聴いている。

2月4日には、普段聴かない時間帯だが、午前0時台の「ミッドナイトトーク」を聴いた。ゲストは小説家の平野啓一郎さんだった。平野さんは3年に小説1編のペースが理想、75歳くらいまでバリバリ小説を書いていられたらいいなあ、と語っていた。平野さんは75歳まで残り30年だから(注:平野さんは1975年の6月生まれ)、10作しか書けないと続け、書くべきことを絞り込まないといけないなあと思っている、とこの話を結んだ。平野さんは40代にして早くも人生の残り時間を意識しているのだ。

夜中にベッドでこの話を聴いて考えた。

受験数学で「結論からお迎えにいく」という勉強法があったなあ・・・。同様に(と考えれば飛躍しすぎだろうが)、現在の生活のありようを未来(将来)から考えると、違った日常風景が見えてくるよなあ。現在だけの状況で判断するのとは異なる結論になることが生活の様々な事柄で少なからずあると思うなあ。イソップ物語の「アリとキリギリス」が示す寓意もこのことに関することじゃないか。

*****

いつまで仕事を続けるか、ということも残り時間を意識するのとしないのとでは結論が違うのではないか・・・。もっともこの問題は仕事に関する考え方、仕事観によっても違うだろう。例えば舞台の上で死ねたら本望と考えている俳優もいるのだから。

私は普段人生の残りの時間を意識することはない。だが、残り時間を意識し、何ができるか、何を成すべきか、考えなければいけない年齢になってきている・・・。


 


不要不急

2021-02-05 | A 読書日記

 

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 コロナ禍、「不要不急」の外出は控えるようにということだが、不要かどうかは一律に決められるものではなく、人によって違う。日常生活の一部になっていて欠かせない、となるとそれは不要ではなく必要ということ。人はパンのみにて生きるにあらず ということばがあるが、私の場合、朝カフェ読書は日常生活に欠かせないひと時になっていて、「不要」というわけにはいかない。およそ1カ月控えて分かった。まあ、勝手な言い分かもしれないが・・・。

今朝(4日)も朝カフェ読書で『生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像』武村政春(講談社ブルーバックス2020年第4刷発行)を読んだ。


新型コロナウイルス感染対策としてアルコール消毒をするのは、コロナウイルスのエンベロープを壊して感染力を無力化するためだと知った。


エンベロープウイルス ノン・エンベロープウイルス


名は体を・・・

2021-02-04 | A 読書日記

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 数日前にネット検索でこの本を見つけ、古書店に注文していた。今日(4日)郵送されてきた。

書名はズバリ『火の見櫓』。目次を見てびっくり。老人の戯言 蟻 漢字から 名物 人間 気働き・・・。

名は体を表す。このことばは「名前はその物や人の実体をよく表す 」ということを意味する。だが、このことばが全く当て嵌まらないこともある、ということをこの本で改めて知った。

まあ、これも何かの縁、収録されているエッセイを隙間時間に読むことにしよう。


 


「見えぬけれどもあるんだよ」

2021-02-03 | A 読書日記

 カプシドってなんだっけ? リボソームって? 

生物を受験科目に選択している受験生には基本的な生物用語だと思うが、生物を選択しなかった私には馴染みのない用語。仮に選択していたとしても、大学受験はン十年も前のことだからすっかり忘れてしまっているだろう・・・。

これらの用語は1月に読んだ『細胞とはなんだろう』『新しいウイルス入門』にも出てきている。だから両書も読み返して確認する。カプシドはウイルスを包むタンパク質でできた殻のこと、リボソームはタンパク質の合成装置のこと。そうだった。

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昨日(2日)、久しぶりの朝カフェ読書で続きを読んだ。ウイルスや細胞に関する本を続けて3冊も読めば、生物用語だって覚えるだろうに・・・。それが老化した僕のCPU、すっかり性能が低下していてなかなか「覚えられない。まあ、別に受験するわけでもないから、気楽に読めばいいさ。


本書には**「目で見えていた」のに見えていなかったのだ。**(33頁)という記述がある。このことについて、ぼくも『あ、火の見櫓!』の「はじめに」で**火の見櫓に関する知識を得て火の見櫓が見えるようになったのです。**と書いた。星座を知らないと夜空を見上げてもただ星がランダムに散らばって見えるだけだ。


見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。 「星とたんぽぽ」金子みすゞ 


火の見櫓講座の記録

2021-02-02 | A 火の見櫓っておもしろい

 私の趣味の火の見櫓巡りについて新聞やラジオ、テレビで何回か紹介していただいた。このことについてはこのブログでまとめてある。過去ログ(新聞・テレビ・ラジオ)


茅野市玉川

火の見櫓講座の記録を整理して載せておく。

①2011.09.03 週末のミニミニ講座@松本市梓川 カフェバロ
②2014.02.16 安曇野まちなかカレッジ@安曇野市穂高 安曇野市商工会穂高支所
③2014.07.04 週末のミニミニ講座(アップグレード版)@松本市梓川 カフェバロ
④2014.12.07   信州大学のゼミ生有志主催による講座@松本市北深志 「となりの、」
⑤2015.10.21   建築士会安曇野支部主催研修会@安曇野市豊科 豊科交流学習センター「きぼう」

⑥2019.12.01 ココブラ信州@安曇野市穂高 碌山公園研成ホール
⑦2019.12.07 サイエンスカフェ@北安曇郡池田町 カフェ風のいろ
⑧2020.10.15 火の見櫓講座@安曇野市豊科 BWCL
⑨2020.11.03 火の見櫓講座@安曇野市豊科 カフェギャラリーお茶の間
⑩2020.11.20 朝日村社会福祉協議会主催 高齢者ふれあい学習@朝日村マルチメディアセンター


※昨年(2020年)に予定されていた2つの講座が新型コロナウイルス感染対策で中止になった。



「生物はウイルスが進化させた」

2021-02-01 | A 読書日記

320

 本書のタイトル「生物はウイルスが進化させた」は何とも唐突だから、「え、本当に?」と反応する人が多いのではないかと思う。私は同じ著者の『新しいウイルス入門 単なる病原体ではなく生物進化の立役者?』(講談社ブルーバックス)を読んでいるのでそのような反応はしなかった。

武村教授の『新しいウイルス入門 単なる病原体ではなく生物進化の立役者?』の刊行は2013年でこれから読む『生物はウイルスが進化させた』は2017年だから、この間に武村教授は「?」が取れて確信に変わってきたのかもしれない。インパクトのある書名を、という編集者の意向があり、その反映、ということではないと思う・・・。

既に読んだ『新しいウイルス入門』には私が傍線を引いた次のような件(くだり)がある。**生物進化にウイルスが関わっていたとする考えは古くからあったが、ウイルスが数多く発見され、またさまざまな生物におけるさまざまなウイルスたちの振る舞いが明らかになるにつれ、その考えにはより確かな信憑性が与えられてきた。(中略)生殖的には全く無関係の他の生物種へと遺伝子が移動する「水平伝播」という現象が知られている。これは生物進化の原動力の一つであり、ウイルスが関与しているらしい。**(151、152頁)

『生物はウイルスが進化させた』も読むなら今、だと思う。