従妹が結婚し、今日はその結婚式に出席して来た。
30代最後に、やっと良い相手と巡り合ってゴールインしたという感じ。
親戚の結婚式と言うと、もう子供の世代の話なんだけれど、
従妹は僕と19歳離れている、見ようによっては親子の年齢差。
僕にはこの従妹には特別の思い入れがある。
この従妹は訳あって、僕が20歳の時に母親と一緒に、僕の家へ逃げてきた。
その時、従妹は男性恐怖症で、男の人の顔を見ると怯えるほどだった。
その当時、僕は高専を卒業したものの、将来は舞台関係の仕事へ就くつもりで、
就職する気もなく、日大芸術学部の放送芸術科へ進むはずだった。
けれど、『学校を出て、4年後に下っ端から始めるなら、叩き上げの方が良い』
と思って、入学直前に進学を取りやめて、知り合いとアマチュア相手の
舞台音響・照明の集団に参加して、金にならない事をやりながら過ごしていた。
丁度、従妹が我が家に転がり込んできた時に、僕は暫く仕事が無くて
家でゴロゴロしているか、パチンコで金を稼いでいるような生活をしていた。
従妹は、僕を見ると怖がって、お袋のそばに張り付いて離れない。
冬で、寒いから炬燵においでと呼んでも、怖がってこなかった。
それで、僕は手袋で指人形を作って、従妹に話しかけてやった。
従妹は、最初こそ恐る恐る近寄ってきたが、人形を通じてお話が出来るようになって
だんだん、僕に対する警戒心が無くなってきた。
相変わらず、僕以外の男(その当時は祖父、親父、弟)が帰宅すると
泣いていた子が、数日後には家族の前では泣かなくなって、笑顔を見せるようになった。
それからは、僕を探しては遊んでもらおうと近寄って来る、本当に可愛い子だった。
朝、僕が起きられなくて布団にうつぶせになっていると、お袋に
『ゆうちゃん、何やってるの?』って、訊くと、お袋は
『ゆうちゃんは、朝のお祈りをしてるんだよ』なんて話すものだから、
それ以降は、僕がそうしてると
『ゆうちゃん、まだお祈りしてるねぇ・・・・』
って、起きて来るのを待っていたそうだ。
ヘッドホンをつけて音楽を聴いていると、またお袋が
『ゆうちゃんはね、お耳に蓋してるの…』なんて言うから
今度はヘッドホンをつけるたびに
『ゆうちゃん、お耳やってるねぇ・・・・』って、お袋と話しながら僕を待っていた。
僕には、妹が居なかった事もあって、この子の事が可愛くて仕方がなかった。
従妹は半年後に、年の近い従弟が居る叔父の所へ世話になるため
亡くなった伯母と親子二人で、我家を出て行ったのだけれど、
それも僕の家で男性に慣れたから出来た事だって、伯母には感謝された。
伯母が亡くなり、従妹は天涯孤独になりそうなので、兄代わりになっていた
悪童の従弟と、僕とで彼女を見てやろうと話していたところに
結婚の話が来て、正直なところ、ほっとした。
それだけ、特別の思いがある従妹の結婚式だったのです。
まだ、いろんなエピソードがあるので、それはまた明日書きましょう。