昨日は稽古の前に、座長が男性陣だけを集めてミーティング。
座長が話したのは、演技や台詞の言い回しなどと云う、テクニック論ではない
芝居をやる時の『気』の話だった。
芝居をやる時に『気』が無いと、観ている人には何も伝わらない。
どんなに台詞が上手く言えても、舞台からそう云った『気』が伝わらないと
見ている人たちは、次第に飽きてきてつまらなくなってしまう。
一般的に言われる『オーラ』とは、そう云った類の一部なのだろう。
存在感とかも加わって、『気』を感じるのだと考えている。
芝居で云う『気』はその役に如何に成りきるか?が、一番の要素だと思う。
そのためにはまず、自分で『役作り』をして、自分なりのイメージを作る。
今回の僕の役は、戦争で精神的なダメージを受けて、感情を制御出来なくなる
いわゆる「戦争後遺症」を抱える役。
戦争から帰還して10年も経過して居るのに、今でも悪い夢を見続ける。
感情が高まったり、精神的に揺さぶられるとたまに発作が出て震えが来る。
かつては有能な科学者だったのに、その病気のせいでまともな仕事に着けず
戦友だった外科医に看て貰いながら、自立できるまで面倒を見て貰っている。
命がけで戦場から帰還した仲間の絆で守られ、何とか生きている自分の生活から
いつか脱却したいと、もがき苦しむ男・・・・・
と云うのが、僕が作り上げた人物像です。
そして、その「戦争を経験した男」の迫力みたいな空気を出せないかなぁ・・・・・と、
髪形を変えてみたり、軽く見えない歩き方を意識してみたり、暇さえあれば
部屋の姿見に向かって立つ時の姿勢や、目つき、視線のやり方などを写して
自分と向かい合って、背中から炎が立ちあがるような空気を出せないかとか・・・・
本当に阿呆みたいな事を、ずっとやって居る。
でも、そう云った外見はあとから付いてくるもので、本来必要なのは内面。
如何にそういう状況を想像できるか?なんでしょうけど・・・・
こと、戦争に関してはどうしようもない・・・・・
そういう意味で、極限状態に居た人間って言うのが想像できないですね。
でも、何か追いつめられたような精神状態とか、自分のせいで上手く行かない事は
日常の中でも多々有るから、そのイライラとかをイメージしてるんですけれど・・・・
人に何かを伝えるって本当に難しいです。
でも、言葉が通じなくても感じ取れるメッセージがあるように、
芝居も『伝えようとする気持ちの強さ』が大事なのでしょうね。
それが座長の言う『気を伝える』『気を感じる』ことなんじゃないかって思います。