映画「聖なるイチジクの種」を映画館で観てきました。
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映画「聖なるイチジクの種」は第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したイラン映画。イラン人監督モハマド・ラスロフは、自作映画でイラン政府を批判したとして8年の禁固刑とむち打ちの有罪判決が下って、国外脱出している。これまで観たイラン映画のレベルはいずれも高い。ただ、政府批判により国内で映画が作れなくなった映画人も多い。映画に出演する美人だらけのイラン人女性も複雑だろう。気になる作品だ。
イランはシーア派のイスラム国家で対外的に反アメリカの立場と理解しているが、国内でも反政府のデモがあるという。その政治的背景はわからない。事前情報は少ないままに映画館に向かう。映画を見終わって国家からの過剰な反対派への仕打ちがあると理解できたが正直よくわかってはいない。
2022年のイランでは1人の若い女性の不審死を機に市民や学生による反政府デモが激化していた。20年強裁判所で働くイマン(ミシャク・ザラ)は悲願の昇進を果たして判事となる。妻や2人の娘は喜ぶ。判事になったイマンの仕事は反政府のデモに加わり逮捕された若者を国家の指示により極刑とすることだ。長女は反政府運動をしている友人が酷い暴力を振るわれて、その影響を受けている。イマンは護身用に銃を支給されていた。
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イマンは寝室の引き出しに銃を置いていたが、突然なくなる。部屋中探しても見つからず、妻と娘2人が銃を隠したのではと疑う。銃の紛失は処罰を受けて今後の出世にも響き、家族内が疑心暗鬼の状況になってくる。
いつもながら、イラン映画は重い。
俳優の演技レベルは高い。かなりむずかしいセリフや演技を要求されて応えている。実際のデモの場面も映像に織り交ぜる。途中までの展開から予期せぬ形で崩壊する家庭を映し出す。途中からの変貌が何でここまでのことになってしまうのか訳がわからない。サイコスリラーのようだ。
この映画の主題は、判事である家の世帯主イマンの銃がなくなることであるが、そこに至るまでの上映時間は1時間20分程度ある。ちょうど半分だ。それまでは、せっかく昇進したのに、やることは反政府デモに加わった若者を罰することでやりきれないが職務を履行するイマンの姿と、長女レズワンの友人が抗議活動に参加して負傷したのを家で介抱する場面だ。病院に行ってしまえば逮捕だ。友人は逃げ回るしかない。
家族で食卓を囲んだ時にTVのニュースで抗議運動の場面が出ると、反対派をかばう発言をする長女に対して父親が怒る。言い合いだ。そんな余韻がある翌日に銃がなくなる。銃をなくすと、これまで20年強築き上げた信用も無くなるし、ヘタをすると懲役刑だ。家にいた3人の誰が犯人なのか?家族内に大きな亀裂が生まれる。
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しかも、反対派に対して重い刑を与えてきた父親イマンがマークされるようになり、自宅の住所がネット上で特定されて不審者に追われるようになる。イマンの精神状態もおかしくなり、いったん家族でイマンの故郷へ行くのだ。その途中でも不審なクルマに追われる。この辺りからはグチャグチャになってくる。
最終局面からはサイコスリラーに変貌していく。この映画ってどう結末をつけるのか予測がつかなくなる。結局監督は国家に属する人物に対して悪い結果を生ませるようにしたかったのであろう。ただ、個人的には銃を隠した理由がいまだに「何でそんなことをするの?」という思いが強くモヤモヤした後味の悪い映画となってしまった。
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映画「聖なるイチジクの種」は第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したイラン映画。イラン人監督モハマド・ラスロフは、自作映画でイラン政府を批判したとして8年の禁固刑とむち打ちの有罪判決が下って、国外脱出している。これまで観たイラン映画のレベルはいずれも高い。ただ、政府批判により国内で映画が作れなくなった映画人も多い。映画に出演する美人だらけのイラン人女性も複雑だろう。気になる作品だ。
イランはシーア派のイスラム国家で対外的に反アメリカの立場と理解しているが、国内でも反政府のデモがあるという。その政治的背景はわからない。事前情報は少ないままに映画館に向かう。映画を見終わって国家からの過剰な反対派への仕打ちがあると理解できたが正直よくわかってはいない。
2022年のイランでは1人の若い女性の不審死を機に市民や学生による反政府デモが激化していた。20年強裁判所で働くイマン(ミシャク・ザラ)は悲願の昇進を果たして判事となる。妻や2人の娘は喜ぶ。判事になったイマンの仕事は反政府のデモに加わり逮捕された若者を国家の指示により極刑とすることだ。長女は反政府運動をしている友人が酷い暴力を振るわれて、その影響を受けている。イマンは護身用に銃を支給されていた。
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イマンは寝室の引き出しに銃を置いていたが、突然なくなる。部屋中探しても見つからず、妻と娘2人が銃を隠したのではと疑う。銃の紛失は処罰を受けて今後の出世にも響き、家族内が疑心暗鬼の状況になってくる。
いつもながら、イラン映画は重い。
俳優の演技レベルは高い。かなりむずかしいセリフや演技を要求されて応えている。実際のデモの場面も映像に織り交ぜる。途中までの展開から予期せぬ形で崩壊する家庭を映し出す。途中からの変貌が何でここまでのことになってしまうのか訳がわからない。サイコスリラーのようだ。
この映画の主題は、判事である家の世帯主イマンの銃がなくなることであるが、そこに至るまでの上映時間は1時間20分程度ある。ちょうど半分だ。それまでは、せっかく昇進したのに、やることは反政府デモに加わった若者を罰することでやりきれないが職務を履行するイマンの姿と、長女レズワンの友人が抗議活動に参加して負傷したのを家で介抱する場面だ。病院に行ってしまえば逮捕だ。友人は逃げ回るしかない。
家族で食卓を囲んだ時にTVのニュースで抗議運動の場面が出ると、反対派をかばう発言をする長女に対して父親が怒る。言い合いだ。そんな余韻がある翌日に銃がなくなる。銃をなくすと、これまで20年強築き上げた信用も無くなるし、ヘタをすると懲役刑だ。家にいた3人の誰が犯人なのか?家族内に大きな亀裂が生まれる。
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しかも、反対派に対して重い刑を与えてきた父親イマンがマークされるようになり、自宅の住所がネット上で特定されて不審者に追われるようになる。イマンの精神状態もおかしくなり、いったん家族でイマンの故郷へ行くのだ。その途中でも不審なクルマに追われる。この辺りからはグチャグチャになってくる。
最終局面からはサイコスリラーに変貌していく。この映画ってどう結末をつけるのか予測がつかなくなる。結局監督は国家に属する人物に対して悪い結果を生ませるようにしたかったのであろう。ただ、個人的には銃を隠した理由がいまだに「何でそんなことをするの?」という思いが強くモヤモヤした後味の悪い映画となってしまった。
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