映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」トニーレオン&アンディラウ

2025-01-25 18:54:22 | 映画(中国映画)
映画「ゴールドフィンガー巨大金融詐欺事件(金手指)」を映画館で観てきました。


映画「ゴールドフィンガー巨大金融詐欺事件(金手指)」は香港の2大スターであるトニーレオンとアンディラウ「インファナルアフェア」以来久々に共演する70代から80年代の香港を舞台にした作品だ。監督は「インファナルアフェア」の脚本を手がけたフェリックス・チョン。香港好きの自分からするとこの共演は楽しみにしていた。『インファナル・アフェア』3部作とは真逆の配役である。

1980年代に起きた金融詐欺事件「キャリアン事件(佳寧案)」をモデルにして映画化している。実話の事件の主犯格ジョージ・タン(陳松青)は1970年代にシンガポールから無一文で香港に渡ってきた福建系華人で巨大コングロマリットのキャリアン・グループ(佳寧集団)をぶち上げたという。自分はその事件を知らなかった。

1970年代の香港。マレーシアから香港に来た野心家の男、チン・ヤッイン(程一言)(トニー・レオン)は、徐々に香港に足場を築いていく。1年で100社もの会社を設立し、悪質な違法取引を通じて自社株価をつり上げる。資産100億ドルの嘉文世紀グループ立ち上げに成功して無一文から大富豪に成り上がる。一方、汚職対策独立委員会廉政公暑(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユン(アンディ・ラウ)は、チンの陰謀に目を付け、その後15年間にも及ぶ粘り強い捜査への道のりを歩み始めていた。


期待ほどではなかった。
映画のテンポに頭がついていけない。映像を視線がずっと追っているのであるが、意味がよく理解できない。ちょっと前までマレーシアから来た職にありつけない土木技師だったのに、次から次へと色んなジャンルの会社を設立していく。あれよあれよという間に香港証券取引所に上場して株価がどんどん上がっていく。
「え!これってどういうこと?」

何でこんなにわからないのか?要は普通の日本人の想像を絶する商いをやっているので理解できないことに気づく。

途中まではやりたい放題で巨万の富を築く。でも、最終的には株価もどんどん下がり、主人公のパフォーマンスが虚構だとわかっていく。そして、口止めに殺されていく人たちが多数出てくる。アンディラウ演じる捜査官も家族とともに命を狙われる。きわどい話になっていく。いくつかの解説を読むと、香港では有名な事件で80年代香港バブル崩壊で資産を失いそのトラウマに囚われる人もいるらしい。実際の手口がわかっている香港人にとってはすんなり理解できるので現地でヒットしたのだと思うが、自分にはよくわからない内容だった。


英中の返還交渉が始まったとか、中国銀行がビル建設用に土地を確保したとかのニュースはいかにも時代を象徴する。香港証券取引所番号のつけた赤チョッキを着た取引員が右往左往する姿はその昔ニュースでよく見た光景だ。今や日本と同じく場立ちはいない。香港人にとってはラッキーカラーレッド&ゴールド、金ピカのインテリアも目立つ。ペニンシュラでロケもしてしまう。70代から80年代を再現した街中の感じもいい。


高層ビル群の中の豪華なオフィスでガラス越しに横のビルを見ながら取引をする場面が香港らしくていい感じだ。トニーレオンが数字の11は凶数と言ったり、168は商売繁盛の数字だとするのが数字にこだわる香港人らしい。

香港GDPの対中国比は1994年には24%だったのが2015年には2.9%になったそうだ。香港の没落というより大陸が伸びたということかもしれない。資本主義の殿堂香港の存在感が急激に薄れた。1997年の返還前後まで香港に行くと大陸の人は垢抜けていなかったので、一目で分かった。2000年過ぎたあたりから見分けがつかなくなり、今はどうなんだろう。

パシッと決めた服装に身を包む印象が強いトニーレオンは詐欺師でいつもと違うタイプの役柄だ。アンディラウはいつも通りで違和感がない。サイモンヤムなど香港映画の常連が大勢出てきて今回はエキストラも多そうだ。ストーリーというより昔の香港の雰囲気を味わうのは悪くはない。
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映画「MR JIMMY レッドツェッペリンにすべてを捧げた男」

2025-01-24 18:34:51 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
ドキュメンタリー映画「MR JIMMY レッドツェッペリンにすべてを捧げた男」を映画館で観てきました。


映画「MR JIMMY」は「レッド・ツェッペリン」のギタリスト、ジミー・ペイジになりきることをライフワークとするジミー桜井を追ったドキュメンタリーだ。われわれの世代の男性はみんなジミーペイジへの想いは強い。無器用な自分はギター習得にはすぐさま脱落して聴く専門だけであった。高校の文化祭などでツェッペリンやディープパープルのコピー演奏は定番だった時代だ。

予告編でジミーペイジのコピーをしている男のドキュメンタリーが公開されるのがわかり興味を感じた。何せ本家本元のジミーペイジが自ら来日時に見に来た予告編映像を見てそれだけですごいと思う。とはいえ、よくあるコピーバンドの1つの話だと思ったら大違いだった。こだわりの強い昔ながらの職人気質の日本人の物語だ。ピーター・マイケル・ダウド監督がメガホンをとる。映画制作費でスッカラカンになったそうだ。

新潟県十日町生まれの桜井昭夫はレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジに惹かれる。やがて呉服店の営業マンや旅行会社の添乗員として働きながら、夜は音楽ライブハウスでペイジのギターテクニックを披露する「ジミー桜井」として音楽活動を続けていた。

ある夜、ウワサを聞いた来日中のジミーペイジ本人が桜井の演奏会場を訪れ賞賛される。桜井はサラリーマンの仕事を辞め、家族を置いてロサンゼルスに移住しレッド・ツェッペリンのコピーバンド「Led Zepagain」に加入する。しかし、徹底的にディテールにこだわる桜井の考え方と他のメンバーとの相違が生まれていくのだ。


すばらしいドキュメンタリーだった。感動した!!
単なるコピーバンドだと思ってはいけない。70年代にレッドツェッペリンが行った歴史的ライブでのジミーペイジのギターソロを徹底的にコピーする。原曲は同じでもそのライブによって、ギターのフレーズが違う。しかも、ギターの音源、アンプ、衣装の刺繍なども当時を再現するためにこだわる。それぞれの分野の職人と討論しながらリアルなジミーペイジを再現する。


ロックなどの音楽アーチストのドキュメンタリーは増えて映画館で見る機会も多い。故人の生前演奏映像などやゆかりのある人へのインタビューが中心だ。それ自体おもしろいけど、ここまでこだわりの強いアーチストを追った映像は見たことない。ジミー桜井の情熱に感動する。ジミーペイジが実際に演奏を見にきて喜ぶシーンを見ると感激してしまう。でも、それがこの映画の締めではなかった。そこから海外進出となる訳だ。


レッドツェッペリンの4枚目のアルバムまではロック少年必聴で細かいフレーズまで頭にこびりついている。聴き始めは中学生なので「immigration song」や「Black dog」などポップ調のなじみやすい曲に最初惹かれたが、次第にブルース調の曲に馴染んでいくようになる。1枚目の「Dazed and confused」、3枚目「Since I’ve been loving you」はこの映画でも繰り返し流れていたのもうれしい。

当然ロバートプラントのボーカルも重要で、コピーバンドで一緒に組むアメリカ人とリアルに迫るため徹底的に練習する。ただ、そのこだわりが葛藤と対立を生む。中盤からそういったシーンが増えていく。


ジミー桜井の葛藤が見ていて辛い。しかし最終的にはLed Zeppelinの関係者からものすごいオーダーが来る。それを見て本当によかったと思う。しかも、この映画にあたって破格の条件でリストアップした30曲すべてに使用許可が下りたという。普通で考えると、ものすごく高いもんね。

「映画を観たツェッペリンのメンバーが、音楽を真剣に追求している姿勢を評価してくれたと聞きました」(作品情報より)映画「スクールオブロック」で移民の歌 をジャックブラックのバックで流す時もやっと許可がおりたらしい。本当によかったね。
往年のロックファンには必見の映画である。

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映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」セバスチャン・スタン

2025-01-23 08:22:28 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」を映画館で観てきました。


映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」は2度目の大統領職に就任するドナルドトランプの若き日を描いた作品。レーガン大統領時代の1980年代初頭までさかのぼる。いよいよ大統領就任で今までと真逆な政策も打ち出しているドナルドトランプが敏腕弁護士ロイコーンと出会い、トランプタワーを建設する頃が題材だ。

監督は映画「聖地には蜘蛛が巣を張る」のイラン人監督アリ・アッバシである。イランでの凶悪殺人事件を追う女性ジャーナリストを題材にした作品で自分にはおもしろかった。日本ではマスコミのトランプ嫌いが極端すぎると考える自分だが、とりあえず観てみる。

20代のドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は危機に瀕していた。不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていたのだ。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーン(ジェレミーストロング)と出会う。大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。

そんなコーンが“ナイーブなお坊ちゃん”だったトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授し洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプは数々の大事業を成功させていく。(作品情報 引用)


映画としては普通、若き日にこんなことあったのねとして観るだけ。
この映画は現在のドナルドトランプの原型を映し出す。トランプが上映差し止めに動いたとの宣伝ほどには過激ではなかった。まだ青二才のトランプが管理している賃貸の入居者の部屋に行って督促をするシーンまである。

その後ハイソサエティの人たちの会員制クラブに入会して敏腕弁護士ロイコーンに出会う。ドナルドトランプは卑劣な手段も辞さないロイの教えに従う。きわどい弁護のおかげで訴訟に逆転勝利をして会社の危機を乗り越える。その後、自力でアトランティック・シティーのカジノ買収やトランプ・タワーの建設を成し遂げていく。最初の妻との関係や落ちぶれていくパイロットの兄の死などを取り上げる。ドナルドトランプの兄についての情報は初めて知った。


⒈日本マスコミのトランプ嫌い
ドナルドトランプは接戦の下馬評を覆して圧倒的な強さで当選した。日本人的感覚では信じられないと思う人が多いようだ。朝日などの左翼系新聞やリベラルという名で金儲けしている評論家が出るサンデープロジェクトなどのTVが悪口を言うのは仕方ない。直近では日経新聞の論調にもトランプ嫌いがにじみ出る。映画の宣伝文句も似たようなネガティヴ系の話が目立つ。実際にはイメージが先行している気もする。

⒉大統領就任式のメンバーにビックリ
大統領歴任者夫妻が列席するのはカーター大統領国葬と同じで別に驚かない。Facebook、Amazon、Googleのおなじみ3人のTOPにイーロンマスクが前の方で並んでいる映像には驚く。AppleのCEOもいたようだ。テック企業のオールスターメンバーが勢ぞろいすることってないでしょう。大統領就任にあたり多額の献金があったニュースは知っていたが、今回の揃い踏みにはビックリだ。日本からはソフトバンクの孫正義も出席していて、トランプ承認のもと兆単位のAI系の投資を米国ですることで今日のソフトバンクの株は10%以上の急騰だ。

この映像を見て、ホッとしたのは日本人投資家たちだろう。NISAで今年投資する一般投資家からは、オールカントリーを含む外国投信へのウェイトが90%を超えるらしい。オールカントリーであっても米国株のウェイトは60%程度と高い。今回大統領就任式に出席した企業の株式は当然その中に入る。AmazonにしてもGoogleにしても当局から制約を受けるニュースが続く。トランプ大統領によってそれが覆されれば万事安泰で株価もこれまで通りじり高が続くだろう。

トランプがUSスチールなどの伝統企業を応援するだけでなくテック企業も応援する意思表示が全世界にされた意義は大きいと感じる。すばらしい!

企業献金で大騒ぎする日本の野党のみなさんと左翼胆っ玉小さいねえ。
日本人が外国に投資するのは日本の資本主義を信頼していないからだ


⒊NHKスペシャルと民主至上主義
1月2日に何気なくNHKでトランプ就任にあたっての特集番組「新トランプ時代」を見た。これがものすごく良かった。NHKだけにトランプ嫌いの面々のコメントが続くと思ったら賛否両論を取り上げていた。番組を見てアメリカでトランプ支持者が多い理由を理解できた。内容的には批判的な立場のコメントと同時に、イーロンマスクが政府の規制を減らす小さい政府を主張している話で展開した。その後で登場したトランプを支持する女性政治学者エミリーフィンリー(フィンレイ)博士のコメントがわかりやすかった。感銘を受けた。「民主至上主義」という著書はすぐさま購入した。

イメージ的に好戦的に思われているドナルドトランプが実は真逆で、民主主義を守るという理由で他国の余計な争いに介入するなというのだ。米国民は誰もが戦争に関わりたくないからトランプを支持する。これまで世界の警察のように介入してきたアメリカと違う立場だというのだ。驚いた。共和党のブッシュ政権のイラク戦も本では批判する。

ウクライナについても、当事者同士の問題なので介入せずが正しいとの立場だ。最初にトランプが当選した後で、いわゆる知識人が当選を批判したこと自体、民主主義の選挙で選ばれた大統領を否定するのがおかしいとの立場だ。異端な意見を排除するインテリへの目がきびしい。久々に腑に落ちた発言だった。

どうも民主党がインテリ党のようになってしまったのが大統領選挙敗因との説もある。フランスのピケティが新著で知識人を「バラモン左翼」と偉そうと指摘する。知識人のうぬぼれは微妙な状況だ。
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映画「満ち足りた家族」ソルギョング&チャンドンゴン

2025-01-21 20:07:05 | 映画(自分好みベスト100)
映画「満ち足りた家族」を映画館で観てきました。


映画「満ち足りた家族」は韓国の人気スターソル・ギョングとチャン・ドンゴンが兄弟役で共演するサスペンスタッチのドラマだ。ホ・ジノがメガホンを持つ。4人並んで食卓を囲む写真からは内容が類推できない。ここのところハズレの韓国映画を観ることが多かった。自分と相性のいいソルギョングがでているので気になり映画館に向かう。想像を超える濃厚でドロドロとした作品だった。

兄ジェワン(ソル・ギョング)は金銭を積まれたら危うい殺人者の弁護も引き受ける敏腕弁護士だ。 再婚した若き美人妻ジス(クローディア・キム)には赤ちゃんが生まれて高校生の娘とともに豪華マンションに住む。一方、弟のジェギュ(チャン・ドンゴン)は良心的な小児科医だ。 老いて認知症気味になった母と同居して年長の妻ヨンギョン(キム・ヒエ)と高校生の息子と共に住んでいる。

兄弟2人は、それぞれの妻を伴って高級レストランの個室でディナーを共にして母親のことなどを相談するが、両親不在の時に兄の娘と弟の息子が夜遊びにでて、酒を飲んでしまう。その時にホームレスの住処で起きた2人の未成年の過ちが両家族の問題になっていく。


韓国映画の久々によくできた傑作だ。
ラストでは思わず映画館の席で驚きの大きな声をあげてしまった。柔道の試合できれいな技で一本決まったような感覚を持つ。良かった。

セレブの食事会的な食卓を囲むスチール写真とは想像もつかないドロドロとした展開になる。韓国映画得意のひねりの効いた脚本は見事だ。

いきなりクルマ同士のトラブルで人が轢き殺される場面が出てくる。いかにも韓国映画らしい強烈な場面だ。主要出演者ではないようだ。結局は金持ちのボンボンが滅茶苦茶な運転をやって逮捕されて、その弁護をソルギョング演じる弁護士が引き受けるということを示すためだ。金の亡者に見せたかったのか。しかも、ソルギョングの妻がずいぶんと若くてセレブっぽい。高校生の娘がいて継母との折り合いは微妙なようだ。複雑な家庭環境だというのを示す。


弟は医師だけど、交通事故に巻き込まれて負傷した女の子の手当てをする。兄が加害者の弁護をして、弟が被害者の担当医師なんて微妙な関係だ。自宅では引きとった夫の母親が痴呆も入っているようだが、ともかく破茶滅茶で嫁の言うことを聞かない。自分の息子に怒られると少し静かになる。嫁の負担が大きい。年下の兄嫁をいびるのは、いかにも韓国らしいネチっこさを繰り返し見せつける。


こんなプロフィールを映画ではそれぞれの子どもたちも含めて掘り下げていく。キャラクターづくりに成功している。しかも、観終わってこの映画のストーリーにピッタリあったキャスティングだなあと感心する。責任感のある医師の弟が善で金のためなら誰でも弁護する兄の方が悪の立場と途中経過までは進む。事件が起きてしばらくした時点でお互い彷徨う。それぞれの妻だけでなく両方の子どももサイコスリラーにも見えるこの映画では全員主人公に近い存在感がある。

どんな話なのかの先入観を持たずに映画館で見て欲しい。


(これからはネタバレに接近)
この映画の主題は、兄の娘と弟の息子が一緒に悪さをしてしまうのだ。具体的にはダンボールで寝ているホームレスの浮浪者を悪酔いして蹴ってしまう。それが行き過ぎで浮浪者は重体だ。2人は逃げて帰る。この行為が防犯カメラに残っていて公表される。2人の行為と気づかれていない。

公表した映像を見て親たちが自分の子供がやった行為だとわかってしまう。警察に自白するべきなのかどうか?子供たちは受験戦争のど真ん中である。事件をめぐる両親4人の葛藤がこの映画のテーマだ。浮浪者は生きるか死ぬかの瀬戸際だ。死んでくれた方がいい。さあどうなる?

そんな心理描写を巧みに誘導する脚本が上手い。しかも俳優がいい。
フルボディのワインにも似た重厚感を感じる傑作だと思う。
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映画「サンライズサンセット」 菅田将暉&井上真央

2025-01-20 08:16:27 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「サンライズサンセット」を映画館で観てきました。


映画「サンライズサンセット」楡周平原作の「サンセット・サンライズ」を菅田将暉主演で映画化。宮藤官九郎が脚本を手がけ、岸善幸監督がメガホンを持つ。東京の企業に勤務する釣り好きの男性が、コロナ禍によるテレワークを機に、三陸海岸の格安物件に移住する。キャストはそれなりに豪華。宮城女川出身の中村雅俊が地元の言葉が使えて楽しそうだ。

新型コロナショックの2020年春、南三陸の町役場に勤める関野百香(井上真央)は空き家プロジェクトの担当に任命される。船頭の義父関野(中村雅俊)と相談して率先して空き家を賃貸にするため4LDK・家賃6万円でネットに募集広告を出す。すぐさま東京勤務で釣り好きの晋作(菅田将暉)がリモートワークで使えると反応して三陸に内見にくる。広くて家具家電付きの家を気に入るが、とりあえずお試し移住となる。
ところが、コロナ禍でよそ者を嫌がる地元民は晋作が住み移ることに反発する。晋作は上司である社長(小日向文世)からこの事例を全国で成功させようと厳命を受けるが、地元民との小競り合いが起きてしまう。

途中緩慢で時間も無駄に長くなり予想ほどにはいいと思わなかった。
詰め込みすぎなのかな?ムダな場面が多いのか、編集が悪いのか?もったいない気もする。何度も行った三陸の海を見れたのはうれしい

三陸の海辺の景色は美しい。ただ、暗黒のコロナショックで日本中が震撼する時期である。神経質な日本人がコロナを恐れて、次から次に行動が制限される。地方では都会からの侵入を拒んだ。みんながマスクを強要されるその時代を皮肉りながらストーリーが進む。もともと過疎化がひどいこのエリアでは空き家が目立つ。外部からの受け入れに関しての町の人々の気持ちは矛盾だらけである。

また、東日本大震災で大きな津波の被害を受けたエリアが舞台である。家主の百香は津波で夫や家族を失っている設定で、一緒に暮らす義父(中村雅俊)とは血が繋がっていない。そんな百香には地元の男たちにファンが多いけど、移住した晋作が徐々に百香に近づいていく設定だ。ヘラヘラした菅田将暉はいつも通りだが今回は特筆すべきところは少なく普通。井上真央は最近出番が少なくなったけどまだまだかわいい


好かないのが地元民がたむろう酒場での地元民の閉鎖的態度だ。わざとだと思うけど、竹原ピストルも池脇千鶴も面倒だなと思わせる言葉を連発する。それにしても池脇千鶴は太ったね。脚本の宮藤官九郎はこういうのが東北人の悪いところだというセリフも出す。でも、わかっていても竹原ピストルの店主が営む居酒屋の雰囲気にはどうものれない。「サバカン」の時は良かったけどなあ。

移住先の隣家に住む白川和子の使い方はうまかった。往年の日活ロマンポルノでの団地妻で名を上げた時代を知っている人も少ないだろう。本当におばあさんになったけど、映画にはこういう年寄り役も必要だ。「恋のいばら」「春画先生」にもでてきて独特の味を出す。ここではパチンコ好きのおばあさんで、パチンコを打ちながらあの世に行ってしまい、その家が空き家になり1つの物語になる。

先日身体に発疹があり病院に行って待合室で座っていたら、隣にいたおばあさんがものを落としたので「おばさん落ちたよ」と言って顔を見たら反応がない。目がうつろで意識がない。その時の症状と白川和子が意識を失う場面とまったく同じだった。結局救急車で運ばれて行ったが、人間が死ぬのはこんな感じなんだと思った。


中村雅俊がノッテいる。地元だもんね。女川町生まれの石巻高校出身で漁師たちが身近にいた環境で育ったのでうれしかったんじゃないかな。ネットを見て小日向文世が付き人だったのを初めて知る。船上のパフォーマンスはいつもと違う海の男だ。自分は東北金華山に3回行けば一生カネに困らないと言われて実際に実行した。鮎川港から金華山にいくのが通常だが、震災前に女川町から船で行ったこともある。その時に女川の海辺にある中村雅俊記念館にも行った。それも津波で流されてしまったのは悲しい。
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映画「敵」 長塚京三

2025-01-19 16:56:18 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「敵」を映画館で観てきました。


映画「敵」筒井康隆の原作を吉田大作監督が長塚京三主演で作ったモノクロ作品だ。妻に先立たれた一人暮らしの77歳の元大学教授の日常を描いている。瀧内公美と紅白歌合戦の審査員までやった河合優実が登場する。2人とも何度もブログで取り上げたので気になってしまう。老人の日々の衣食住を丹念にカメラが追っていく。

渡辺儀助(長塚京三)は仏文の元大学教授で戦後間もなく建てられた広い古家に住む。妻(黒沢あすか)に先立たれて一人暮らしだ。まめに自分で料理をつくる。麺類が好きだ。書斎にはたくさんの本があり、軽い連載とときおりある講演依頼だけ受けている。修繕が必要な築年数なので、教え子が時折直してくれる。
教え子の女性鷹司靖子(瀧内公美)が相談を兼ねて尋ねてくると親身になって話をするし、デザイナーの湯島(松尾貴史)と立ち寄ったバーで働く仏文科の女子学生(河合優実)の境遇に関心を持つ。ひとときの安らぎだ。
そんな渡辺のパソコンにある時から「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくるようになり気になってしまう。


元教授のマメな日常を描くと同時に、ある時点から現実と虚実が交差して戸惑う老人をカメラが追う。
自分も徐々に年齢を重ねると主人公の動静が人ごととは思えない筒井康隆は63歳の時にこの小説を書いたという。映画の途中まで、朝起きてから食事をつくって食べて余暇を過ごすところまで日常の生活を淡々と追っていく。電話連絡があるのは雑誌社の編集者からのようだ。人付き合いは多くない。預貯金があと何年持つかを計算しながら生活する。住むのは縁側のある古い日本家屋だ。子供がいない。見栄はなさそうだ。ぜいたくもしない。でも、教え子が来ることがわかるとワインを用意して準備万端だ。仏文の大学生がつくバーにもいく。そのくらいの金は問題ない。遺言書も用意している。


思ったよりも紆余屈折は少ないと思ったら、最終局面に向かって精神状態が安定しない状態を映し出していく。映像は現実と悪夢を交差させる。瀧内公美が来てごちそうとワインを振る舞うが、現実の場面かどうかをはっきりさせないシーンが続く。私としたいならハッキリ言ってくれればよかったのに。1人で私を思い浮かべてしているの?と言われてしまい苦笑する。黒沢あすか演じる亡くなった妻と主人公との幻のやりとりも増えていく。私以外の誰も愛さないと言ったじゃないかと虚実の元妻に責められる。もしかして、自分ももう少し歳をとるとこんな風に妄想に悩まされるのかと気になってしまう。


やはり30代半ばの瀧内公美がよく見える。この年齢って特に魅力的だ。主人公を頼りにする教え子の設定だ。元部下の女性がこんな感じで接してきたらどうなっちゃうんだろうと要らぬ妄想を自分が思い浮かべる。いけない、いけない。バーでバイトする女子学生河合優実とモリエールなどのフランス人作家の話をしている時が楽しそうだ。自分もそんな文学談義がしたくなる。でも、結局は主人公は騙されてしまう。


土曜日大学の部活のOB会が母校の食堂であった。現役1年生から80歳まで多数出席していた。ちょうど自分よりひとまわり上の先輩とこの主人公が同世代だ。ビジネス界で活躍された先輩たちも卒業以来OB会であっているが、横で見ていて年々歳をとっていくのがよくわかる。現実と虚実が交差しているようには見えなかったが、少しづつ老いが進展しているようだ。自分は恐れず老いを受け入れたい。
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映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」エカ・チャヴレイシュヴィリ

2025-01-15 20:00:06 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」を映画館で観てきました。


映画「ブラックバード、ブラックベリー、私は私」ジョージア映画。ジョージアの女性作家タムタ・メラシュヴィリの原作小説を同国の女性監督エレネ・ナヴェリアニが映画化した。東京やパリオリンピックの柔道でジョージアという国の名前を聞いて最初は知らないなと思ったけど、旧ソ連のグルジアである。あえて地図を見るとトルコの北側で黒海に面する場所に位置する。多分一生行くことはないだろう。

スルーの予定が日経新聞の映画評で日経編集委員古賀茂樹5つ星をつけている。過去の古賀氏の5つ星映画はいずれも自分には相性が良かった。好感度を持った書き方をしても星3つが多い古賀氏にはめずらしいので気になる。フェミニスト映画に見えるけど違うという古賀氏の言葉を信じて映画館に向かう。

ジョージアの小さな村で日用雑貨店を営み、静かに暮らしている独身の中年女性48歳のエテロ(エカ・チャヴレイシュヴィリ)は、ある日ブラックベリー摘みの最中、ブラッグバードに見とれて崖から足を踏み外し転落してしまう。何とかひとりで崖から這い上がったエテロが見下ろすと、村人たちが自分の遺体を濁流の川から引き揚げていた。
自分の店に戻ると、配達員のムルマンが洗剤を持って来て商品を棚に並べていた。エテロはムルマンの首筋をじっと見つめて胸にすり寄り、脱いで男にまたがった。彼女はそのまま人生で初めて男性と肉体関係を持ったのだ。そして、その時を境に彼女の運命が変わる。


アキカウリスマキ監督の映画が持つ素朴な肌合いなのに女性の大胆さに驚く
意外な結末には思わず声を上げてしまう。

室内のインテリアのブルー、イエロー、グリーンの使い方がフィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品に類似している。一部のおしゃべり女は別として無表情で朴訥な人が多い。ジョージアの田舎の素朴なムードがいい。

最近の48歳の一般日本女性にはきれいな人が多い。見慣れているので、この主人公エテロを見ていると50代はおろか60代にも見えてしまう。しかも太めである。映画に登場するジョージアの若い女性は美形だらけで意図的に対照感をだすとまで思えてしまう。

クチの悪い村の女性たちから更年期だよとからかわれる。エテロは母親を若くして亡くして、父と兄と暮らしていた。今は小さな日用雑貨店を営んでいる。昭和ならともかく今や日本ではほとんどないお店だ。こんな品揃えで利益が出るんだろうかと余計な心配までしてしまう。


日本にも大勢いる人の噂やカゲ口を趣味にして生きているご婦人たちから一歩距離を置いてマイペースに暮らす。いい感じだ。そんなエテロが死に損なった臨死体験から突如性に目覚めて身近な配達員に色気を出す。妻がいて孫までいて幸せそうな男に家族がいることなんてどうでもいい。ただひたすら性的に積極的になるのだ。自慰のシーンもある。女性陣が感想を寄せる映画解説ではまったく想像もしなかった展開である。

日本では脱ぎっぷりの悪い女優陣が目立つ一方で、先日のスイスを舞台にした「山逢いのホテル」もそうだったが、欧州では熟女たちのヌードが目立つ。お世辞にもそそられることはない乳首やヘアも露わにしたヌードで、相手の男はポコチンの竿まで出してしまうとはビックリだ。性的に目覚めるのを映像で示したかったのであろう。配達員のムルマンとはひっそりと逢引きを重ねていくが、あることで転機を迎える。同時に女性特有の疾患にかかった症状が出て今後の人生について考えてしまうのだ。

いったいエテロがどうなってしまうのか心配した途端に「え!」となってしまう。観客の中には予測できる人がいたかもしれないが、ヘタなミステリー映画よりも自分は驚いた
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映画「孤独のグルメ」 松重豊

2025-01-12 18:47:43 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「孤独のグルメ」を映画館で観てきました。


映画「孤独のグルメ」はTVでおなじみの「孤独のグルメ」を松重豊が主演のみならず監督脚本も担当する映画作品だ。「孤独のグルメ」で紹介されたお店に行くのは自分の楽しみのひとつで、娘も引き連れていくことも多い。比較的中華系が多いけど、先日も麻婆豆腐や羽付餃子がおいしい池袋の四川料理屋「楊」に娘と一緒に行くと、「孤独のグルメ」のポスターが貼ってあった。そろそろ公開だなと待っていた。ただ、TVを毎回見る人はご存知だが、松重豊がお店に入る前はとってつけたようなストーリーだ。いったいどうやって映画化するんだろうなあと思っていた。

輸入雑貨商を営む井之頭五郎(松重豊)は、かつての恋人の娘である松尾千秋()からの頼みを受けパリを訪れる。千秋と共に彼女の祖父・一郎(塩見三省)を訪ねると、五島列島出身の祖父から「子供のころに飲んでいたスープをもう一度飲みたい」と、そのスープの食材探しを依頼される。まず故郷の五島列島を訪れた五郎は役場や手がかりになる場所をまわって食材探しを始める。


予想以上に楽しめた。巧みにまとめた松重豊に感動。
ドキュメンタリーともとれる毎回のストーリーの良いとこどりをするのかと思っていたら違う。正直言ってストーリー展開はあまりに都合よく出来過ぎだが、松重豊へのご祝儀と思ってTV版を楽しむ観客たちは許してしまうだろう。ここでストーリーの都合のいい流れに観客は任せてもらいたい思いだ。

パリのエッフェル塔や凱旋門をバックにした松重豊が映るのも見慣れずに奇妙に感じる。でも市中でお腹が空いて高級フレンチというよりお手頃そうなビストロを見つけてしまうのがいい感じだ。外から客がロールキャベツを食べているのを見つけて入って食べるオニオンスープもおいしそう。その後に出てくるビーフブルギニヨンが絶品だと感じる。いつもながらの松重豊の独白で食感がわかる。

いきなりここでグイッと寄せられる。日本の洋食屋ではこのメニュー名で見ることは滅多にない。牛肉のワイン煮で出される。TVでは毎回じっくり松重豊が食べる姿を追うが、映画なので的確な長さにとどめる。長身の杏と並んでもバランスがとれる松重豊はさすがに背が高い


瓦屋根の家が立ち並ぶ五島列島で食材探しをする。郷土の海産物の名前が次から次に出てくる。いかにも土地の食堂「みかんや」に入ってチャンポンを食べるのがいい。具がたっぷりでおいしそう。個人的には天草で食べたチャンポンが人生でいちばん好きだけど、長崎の街中は本場だけに良かった。


この後、誰が見ても不自然な展開となる。ツッコミどころ多数でもそんなのは許してしまっていい。クレジットの2番目に内田有紀がいるけど、なんと出会うのが韓国だ。内田有紀のまわりはみんな韓国人女性というのも予想外の展開である。そこでも、松重豊は葉っぱに鶏やエビを包んで韓国料理をおいしそうに食べる。そして、韓国の港近辺にある食堂に入ってのパフォーマンスもいい。ネット情報では、「孤独のグルメ」韓国でも人気だそうだ。しっかりと韓国での興行収入を狙うところは抜け目がない。


松重豊のインタビュー記事で伊丹十三「タンポポ」に影響を受けたと語っているのを映画を見終えた後に読んだ。ラーメン屋を舞台にした「シェーン」だ。ここから先のストーリー展開は控えるが、オダギリジョーはコロナ禍で経営不振となったラーメン屋店主だ。フレンチシェフ出身であえてラーメン屋をやったけど、今や細々とチャーハンだけしかつくらない。

その店によくくる客が磯村勇斗で、実は「孤独のグルメ」に似せたグルメ番組のプロデューサーだというオチまである。松重豊に対応する俳優が遠藤賢一だ。最後は同じようなエンディングをたどる。思いのほか良かった。
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映画「エマニュエル」オードレイ・ディヴァン&ノエミ・メルラン

2025-01-10 20:50:31 | 映画(フランス映画 )
映画「エマニュエル」を映画館で観てきました。


映画「エマニュエル」はフランスの人気女優ノエミ・メルランがエマニュエルを演じる香港を舞台にしたフランス映画だ。自分が青年時代にシルビアクリステル演じる「エマニュエル夫人」の衝撃映像を観ているし続編も観た。女性の性の目覚めがテーマでタイのロケ映像が脳裏に残る。今回は「あのこと」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したフランスの女性監督オードレイ・ディヴァンというのも気になる。2022年公開の作品では文句なしの5つ星作品で望まぬ妊娠をした女の子を追うカメラワークが良かった。

主演のノエミ・メルラン「燃ゆる女の肖像」から脱ぎっぷりがよくずっと追っていて「パリ13区」では黒人男性とのきわどい絡みもあった。しかも、「マルホランドドライブ」でやさしいバストトップを見せてくれ主演作も多かったナオミワッツがでて自分が好きな香港ロケとなると初日から行くしかない。


ホテルの品質調査の仕事をするエマニュエル(ノエミ・メルラン)はオーナーから依頼を受け、香港の高級ホテルに滞在しながら査察をすることになった。ランキングが落ちたことが許せないオーナーは経営陣のマーゴ(ナオミ・ワッツ)を懲戒解雇できる理由を見つけるようアラ探しを命じる。しかし、サービスも設備もほぼ完璧である。ホテルの監視室の従業員(アンソニー・ウォン)から監視映像を見せてもらい裏側を調べはじめて怪しげな常連宿泊客と交流を重ねるようになる。

香港を舞台にして視覚的に大満足の映画だった。
香港のどこのホテルかわからないのが残念だが、アジアンテイストのインテリアが素敵なホテルでエマニュエルはビクトリアハーバーが見渡せるスウィートに滞在する。ゴージャスな部屋で、プールサイドのシーンもある。ガラス越しに香港のビルのネオンがきらびやかに映るバーのシーンもいい感じだ。まだまだ香港健在とわかりうれしい。

最後に向けて、エマニュエルが猥雑な香港の裏町に入っていくシーンもいい感じだ。広東語が飛び交う会員制秘密麻雀クラブや多国籍な面々が踊る怪しげなクラブに入ったり、裏町角の屋台のような場所で中華を食べながら強い酒(白酒かなあ?)をエマニュエルが飲み干したりメイクラブするシーンを見ていると香港に行きたくなって居ても立っても居られない気分になる。


1974年の「エマニュエル夫人」ではバンコクの外交官夫人が性に目覚める設定で、アヘンを吸う怪しげなエリアのシーンに展開して行った。性に目覚める意識という面では前作の方が強い。ヘア解禁のずいぶん前でぼかし映像だらけである。約50年前だけにタイも今と比べるとバリバリの発展途上国でまだ怪しさが残っていた。今回は香港の裏街角が映っても都会的なムードが前面に出る。

ノエミメルラン美しい乳首を見せるだけでなくキレイにカットしたアンダーヘアも全開だ。いきなり飛行機内のファーストクラスのトイレでいたしてしまうシーンでスタートしていき、怪しげなプールの常連客ゼルダ(チャチャ・ホアン)が男性客を誘惑して小屋でファックするのを見せつけられて刺激される。ゼルダとオナニーの見せ合いもするのだ。


それにしても、メジャー俳優の一歩手前くらいまでになったノエミメルランも毎回大胆な絡みシーンが多い。最後に向けての絡みは下手なAVよりも視覚的にも聴覚的にも刺激たっぷりだ。ナオミワッツも久々に脱いでくれたらと思ったけど、50代後半だからなあ。


オードレイ・ディヴァン監督は「あのこと」同様にノエミメルランを抜群のカメラワークで追っていた。映画情報の中でのオードレイ・ディヴァンの性に関するコメントはかなり刺激的なので一読をお勧めする。
『あのこと』を撮影した後、私は自分自身にこう言いました。「痛みを描けるなら、悦びも描けるかもしれない」と。女性のオーガズムを適切に表現する方法を見つけるのには時間がかかりましたとの発言はすごい。お見事である。

ただ、ストーリーだけをとると変化球が効かずにイマイチと思う人もいるだろう。自分のように香港を楽しめればいい人物からすれば別に構わない。世間の批評は手厳しいが、周囲の声に流されている印象を持つ。日本人特有の同調性か?
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映画「I like movies アイライクムービーズ」

2025-01-04 08:49:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アイライクムービーズ」映画好きのカナダの高校生を主人公にした青春ストーリー。監督は本作で長編デビューしたチャンドラー・レヴァック。先月のポパイの映画特集で表紙になっていた。この正月見たい映画がない。その中で目を引いたのがこの映画で選択する。うーんまいった。という感じだ。


カナダの田舎町で暮らすローレンス(アイザイア・レティネン)は映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マットと毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。

ローレンスは高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始め、そこで、かつて女優を目指していた店長アラナなどさまざまな人と出会い、不思議な友情を育む。しかし、ローレンスは自分の将来に対する不安から、大事な人を決定的に傷つけてしまい……。(作品情報引用)


期待はずれのイマイチな映画だった。
映画好きでビデオショップでバイトをするとプロフィールはクエンティンタランティーノを想像した。いわゆる映画オタクで映画作品が固有名詞でドンドン出るかと思ったら違う。レンタルビデオショップで別のお客さんがソフトを探しているのに割り込んでオススメはとでしゃばる予告編を見て期待していたのに、結果的にはそんなオタクイメージがなかった。ビデオショップの女店長が好きな映画がジュリアロバーツ主演の「マグノリアの花」なのに見ていないと主人公が言った時点で、思わず「え!マジかい」てな感じだった。主人公のプロフィールも全く共感が持てない。なんだこいつと思いながら退屈な時間を過ごした。

結局のところ,第一志望のニューヨーク大学には入れずに奨学金がもらえる大学に行くことになった。父親が自殺して母子家庭、なので、それはそれでよかったけれども,本人は失望していた。


そんな主人公が大学に入る前に偶然ホットドックを食べに入ったカフェで店長に出会う。その時大学に入ったときこうしたほうがいいよとのアドバイスで「人の話をよく聞け」と言われる。これまでできていなかったのだ。その後大学の寮に入ったシーンで、仲間に質問を連発して実行しているところを見たときには、少しは嫌気が軽減された。

どうも幸先が良くない。年末Netflixで「イカゲーム2」を見た。面白かった。そっちの感想を書いたほうがいいと思うが、人気作品なのでネタバレになってしまうからしばらく経ってからにする。

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