映画とライフデザイン

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岸和田少年愚連隊 岡村&矢部

2009-09-17 21:19:44 | 映画(日本 1989年以降)

大阪の南部岸和田のだんじりまつりの季節となった。荒々しい岸和田の男たちの偶像を描いた作品に岸和田少年愚連隊がある。井筒監督得意の不良少年物である。昭和の匂いがぷんぷんする岸和田の町をロケして、全編ケンカに明け暮れる少年たちを描く。「パッチギ」のような変な思想性がなく楽しく見れる。

時は昭和49年の岸和田。中学3年の岡村隆史と矢部浩之はケンカに明け暮れていた。学校内の勢力争い。他校との仕返しの繰り返しである。一言で言うとそれに尽きるストーリーだ。韓国映画とはまた違う暴力描写だ。中学からケンカに明け暮れ、高校もまともに通わず中退していく。そして裁判所に何度も何度も親と一緒に言い訳しに行く。そういうアウトローの世界を描く。

平成のはじめに大阪に転勤した。何もわからないところへの異動は不安だった。しかも、最初の担当エリアが堺より南の大阪南部であった。南海電車沿線の高石、泉大津、貝塚、岸和田、泉佐野といった地名はどれもこれもはじめて聞く地名であった。岸和田は大阪難波と和歌山のだいたい中間くらいのところだ。野球の清原の出身地でもある。そこでいろんな人と知り合った。この映画に出てくる人たちと同じ匂いを持った人たちだ。どちらかというとサラリーマン社会でなく、勉強一生懸命やって、それで偉くなってという人たちよりも、難しいことは言わず、だんじり祭りに命を描け、この町が大好きで、楽しく生きている人たちが多かった。その方が人間幸せなのかもしれない。映画の登場人物をみると、いかにも大阪南部と思われる人たちが多くうれしくなった。

1975年と最初画面に出てくるので、途中もしかして時代考証が間違っているのでは?と思ってしまった。キャロルのコンサートのチケットの話が出てくるからだ。キャロルは75年の春に解散したはずなのに、だんじりが終わった75年秋が舞台設定のこの映画ではおかしいな?と思った。でも最後の最後になって74年の秋からスタートする話だというのがわかった。繰り返し流れるアンルイスの「グッバイマイラブ」は74年の夏のはずだった。それでも突っ張り男たちのファッションは、あの当時はやったブランドワンポイントを基調にしたそれだし、大河内奈々子もあの当時に一番男に好かれそうな雰囲気を出していた。

井筒監督はやられたらやり返すツッパリ話が得意だ。「パッチギ」は一世を風靡した在日朝鮮学校と日本の高校生との戦いをうまく描いていた。ただ、最初の「パッチギ」はまともだったが、続作ではあまりに思想性が強すぎて非常にいやな感じがした。井筒監督に誤った思想が植えついている気がした。この映画はそういうのがない。もっと思想なんて持たずにシンプルにやってくれればいいのにと思ってしまうのは私だけだろうか??

コメント
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