映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

人生万歳  ウディアレン

2011-08-08 09:23:51 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
「人生万歳!」はウディアレンの40本目の監督作品だ。
すでに75歳となり引退してもおかしくないわけだが、イーストウッドにしてもアレンにしても70歳過ぎてからの制作本数はエスカレートしている印象がある。今回は欧州から本拠地マンハッタンに戻り、ホームグラウンドで思う存分に撮る。
アレン本人は出ていないが主人公の物理学者を演じるラリー・デヴィッドはどう見てもウディアレンの分身としか言いようにない。いつもながらのウディアレン映画に華を飾る若手女優は「レスラー」で美少女ぶりが際立っていたエヴァン・レイチェルウッドだ。


舞台はマンハッタン、主人公ことラリー・デヴィッドは、元ノーベル賞候補の落ちぶれた初老の物理学者だ。ハゲで気難しいオヤジの主人公がウディアレンになりきって、友人たちとオープンエアのカフェでしゃべりまくるシーンからスタートする。偏屈で妻にも愛想尽かされた。
ある夜、アパートに帰ろうとした主人公は、突如若い女性ことエヴァン・レイチェルウッドに声をかけられる。一瞬誰かにはめられたのかと疑った主人公だった。でも空腹の彼女を気の毒に思った主人公は彼女を部屋に入れる。南部の田舎町から家出してきたという21歳の彼女を数晩だけという約束で泊めてやる。

主人公は世間知らずのエヴァにあきれたが、一緒にいるうちに情が移り結婚することになる。アンバランスな新婚生活は一瞬うまくいっているように思われた。ところが、夫婦仲がうまくいかず南部在住のエヴァンの母親ことパトリシア・クラークソンがマンハッタンの娘の元を訪れる。年の離れた夫を見て卒倒する母だが、裕福だった南部の家も株の失敗で手放し帰るところがない。やむを得ず母親も同居することになるが。。。。

欧州でのいくつかの作品では、美しいロケ地を選んで映画を楽しんできた印象があるウディアレンだった。久々の本拠地マンハッタンでも彼なりのロケハンティングを考えていた。
いかにもマンハッタンぽい街角にあるカフェで、自分の分身に思う存分ウディ節を話させ映画をスタートする。田舎娘を自由の女神が見えるマンハッタンの先端バッテリーパークに連れて行ったあとは、おもにチャイナタウン付近を登場させる。パトリシアクラークソンが男と見る映画が日本映画だったり、エヴァンが買い物に行くのは「ユニクロ」だったりする。興味深いところだ。
「ユニクロ」の柳井社長もウディ映画のロケ地に選ばれ、ほくそ笑んでいるのではないか?巨万の富を得た彼には金に変えられない名誉だよね。若いエヴァンが初老の夫に買ってあげたズボンはどうみてもユニクロタッチなのは見ていて自分も笑えてきた。


映画の展開は「アニーホール」や「マンハッタン」のころと大きくは変わっていない。第三者に語らせてはいるが、トークも変わっていない。2人を並べて歩かせて、カメラを引きながら撮影して機関銃のように好きなように語らせる映像は毎度の得意技だ。古い「インテリア」でも「バルセロナ」でも変わらない。いつもながら同じタッチの映像が出るのは妙な安心感がある。


「もしこれからウッディ・アレンの映画がめったに見られなくなったとしたら、どんなに寂しいことだろうか。」と思っている人も多いようだ。でも主役である「ウディの分身」にいいように語らせていたウディ節が冴えわたる限りまだまだつづくだろう。マッチポイントから続いたスカーレットヨハンソンとのコンビを若いエヴァン・レイチェルウッドにかえて今後も若いエキスを注入するなら99歳の新藤兼人監督並みに続くかもしれない。


コメント
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