映画とライフデザイン

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映画「さようなら、コダクローム」 エド・ハリス&ジェイソン・サダイキス

2020-08-08 17:34:16 | 映画(自分好みベスト100)
映画「さようなら、コダクローム」は2017年のNetflix映画


好きなんだなあ、この映画。もしかして今年見た92作の中でいちばん好きかもしれない。

「さようなら、コダクローム」は、余命短いプロカメラマンがしばらく疎遠になっていた息子に再会して、すでに閉鎖が決まっているカンザスにあるコダックフィルムの現像所へ車に同乗して向かうロードムービーである。悪役といえばこの人という位の名悪役エドハリスが、往年の名カメラマンを演じ、息子で多忙な音楽プロデューサーをジェイソンサダイキス、随行する看護師をエリザベス・オルセンが演じる。

人気の所属バンドが他社へ移籍することになり、音楽プロデューサーのマット(ジェイソンサダイキス)は窮地に立たされていた。社長に呼びされて、スペアセブンスという人気バンドを2週間以内にスカウトしてくると約束した。

そんな時、マットの父親ベン(エドハリス)の看護師だというゾーイ(エリザベスオルセン)がマットを訪ねてくる。ベンは肝臓ガンで余命3ヶ月程度だという。ベンが撮影した大切なコダクロームのフィルムがあり、カンザスにある閉鎖が決まっているコダックの現像所へ車で行き、現像してもらい展覧会を開きたいと言っているというのだ。それも、ぜひマットに連れていってもらいたいと。


10年は疎遠にしていたベンの要望は、人気バンドのスカウトもあって、マットには到底受け入れられない。当然のごとく拒否するが、その後にベンの元マネジャーのラリーが現れ、再度お願いする。ところが、ラリーから人気バンドのマネージャーが元部下で顔がきくと聞き、スカウトのアポの後にカンザスに向かうスケジュールなら行けるとマットは判断する。そして、オープンカーにマット、ベンに加えてゾーイの3人が同乗してカンザスに向かう。


車に乗っていきなり、ベンがナビの音声がウザいと車の外に放り出し、逆にマットはこんな歌は聞きたくないとカセットを車の外へ投げる。前途多難の旅だが、まずはベンの弟夫妻の家に向かう。もともと兄弟の仲はよくなかった。家庭を顧みないで海外の仕事に向かうベンの代わりに叔父さん夫婦がマットの面倒をみた時期があった。マットにとっては懐かしい居場所である。最初は旧交を温めたが、ベンが好き勝手言い始めてからは険悪なムードに一転する。

そして、マットがスカウトしようとするロックバンドのコンサートがおこなわれるシカゴに着く。父親のベンはバンドのメンバーたちに会う前にある秘策をマットに授けていたのであるが。。。

セリフにも出てくるが、サイモンとガーファンクルからポールサイモンがソロ活動を始めてすぐ「コダクローム」という名曲を歌った。日本でも流行ったし、ノリのいい素敵な曲だった。

デジタル世代にはまったく無縁の存在になってしまったが、イーストマン・コダック社という存在は偉大だった。日本を代表する富士写真フィルムとさくらカラーとはまた違う独特の色あいで写真が仕上がった。そもそもコダック社はデジタル化の先駆者だったのに、しがらみで参入が中途半端になって結局倒産してしまう。残念である。


⒈エドハリス
毒気が強いエドハリスのセリフがいい感じだ。忙しい中わざわざ連れていってくれる息子に媚びるわけではない。妻はとっくにいない。この車ではデジタルは禁止だなんて言って、ナビを放り出す。フィルムカメラじゃなくてデジタルで撮ればいいじゃないと言うと、「作りモノのオッパイに触りたいかい、ニセモノはニセモノだ。」なんてのたまう。


久々に会った弟夫婦に対しても、最初は普通に接していたが、奥さんが昔浮気をしていたことをほのめかすような話をして一気に険悪なムードに導いてしまう。俺は今まで撮った数十万枚の写真全部覚えているぞと息子に言うと、息子は俺の誕生日は覚えているかと聞く。
果たして覚えているのか?

⒉音楽プロデューサーとしての任務
カメラマンのベンも音楽が好きでドラムを叩く。音楽好きだけ親子共通だ。叔父さんの家にはマットがよく聴いた昔のレコードがたくさん残っていて、看護師のゾーイと音楽談義をかわす。そこでグラハムナッシュが好きなんてセリフが出るのがたまらない。クロスビースティルスナッシュ&ヤングの中じゃグラハムナッシュを自分が好きだからだ。「ティーチ・ユア・チルドレン」が懐かしい

担当していた人気バンドが自社レーベルから移籍したことで立場がない。別の人気バンドをスカウトして汚名挽回しなくちゃと思っている。逆転のトークを事前にロールプレイした方がいいんじゃないかと、父親のベンがいう。父親から「あいつら褒めなれているから、むしろ逆にダメな点を指摘した方がいいんじゃない」とアドバイスを受ける。


そして、コンサートホールへ行き、ベンの元マネジャーのツテで楽屋でバンドメンバーに会う。マットのレーベルへの評価は決してよくない。そこで、父親の指示通り、「1枚目のアルバムはよかったけど、2枚目は望んでやったかどうかは別としてダンストラックなんか入っているのは違うんじゃない、本来の姿に戻らないと」なんて話をする。バンドメンバーの表情も変わっていく。
さて、この後うまくいくのだろうか??映画を見てのお楽しみ。

⒊予想を裏切る展開の数々
アクの強いエドハリスを主演にもってきているだけあって、セリフも気が利いている。ロードムービーというのは、行く先々で起こる意外な出来事がポイントになるが、いくつか予想外の展開に進む。弟の家での昔話の騒動も普通だったらありえないことだし、バンドのスカウト話も思っている方向と違う。その上でベンとゾーイにもいさかいが起き、そこから最後まで連続してハプニングだらけだ。

ここでは予想を裏切る脚本の巧みさが際立つ。最後に向けては、こう来るか!とうなる展開に気持ちが安らぐ。やっぱりいい映画である。
コメント
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