映画とライフデザイン

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映画「タルーラ」エレン・ペイジ&アリソン・ジャネイ

2020-08-09 19:10:31 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「タルーラ」は2016年のNetflix映画

ジュノ」「ローラーステートダイアリー」で愛くるしい姿を見せてくれたエレンペイジの今度の役柄は、赤ちゃんを図らずも持ち去ってしまう誘拐犯人役である。ふとしたはずみで赤ちゃんのベビーシッターになった女の子が、子どもをそっちのけにして男遊びをする母親に呆れて、そのまま赤ちゃんを連れ去ってしまうのだ。


タルーラ(エレン・ペイジ)は恋人のニコとワゴン車に乗って全米各地を回りながら暮らしていた。2年もこんな生活をしているので、ニコがいったんニューヨークの母親の元へ帰りたいと告げる。それが原因でケンカしてしまい、朝目覚めるとニコが飛び出してしまっていた。きっと実家に帰っているはずだと、タルーラはニューヨークに向かいニコの実家に寄ってみる。玄関口で2年戻っていないよと母親のマーゴ(アリソン・ジャネイ)から門前払いをくらう。

無一文のタルーラはホテルに飛び込み、客室の入り口に置いてあるルームサービスの食べ物をつまみ食いしていた。その時ふと扉を開けたキャロラインはタルーラをホテルの従業員に間違えて声をかける。部屋にはキャロラインの娘の1歳の女の子がいた。部屋は散らかり放題でタミーは子育てが苦手な様子、今夜ベビーシッターをやってくれないかとチップを渡され、派手な服に身を包んだタミーは男に会いに出ていく。


夜になり、タミーは泥酔状態で帰ってきてそのままぶっ倒れる。そんなアバズレで無責任な母親に腹を立て、タルーラは赤ちゃんを連れて自分のワゴン車に戻る。

朝になり、キャロラインが目を覚ますと娘のマディソンがいない。部屋中探してもいないので慌てて警察を呼ぶ。タルーラは赤ちゃんとワゴン車で一晩過ごしたあとそのままホテルの部屋に赤ちゃん連れて戻ろうとした。ところが、フロントに警察が来ているのを一瞥して、ヤバイとホテルを飛び出す。

行く宛のないタルーラは再度ニコの実家に向かう。赤ちゃんを抱きながら、マーゴにこの子はニコと私の子だというと、驚いて2人を部屋に入れてくれた。


どんな経緯でこれまでニコと生活していた一部始終をマーゴから聞かれる。本当の子ではないとは言えない。最初は一晩だけ泊まる約束だったが、気がつくと3人で暮らすようになるのであるが。。。


⒈家庭環境に恵まれないタルーラと不幸なインテリの恋人の母親マーゴ
タルーラはワゴン車住まいという定住地を持たない路上生活を恋人ニコと続けている。いきなり「何で金がないのに遊ぶんだ」と罵られタルーラが博打場から飛び出す姿が映し出される。親にはちゃんと育てられていない。たくさん買ってきたレモンを台所のジューサーでレモネードを作り、自分のワゴン車の手前でニューヨーカーたちに売り飛ばしている。生活力だけは旺盛だ。


一方でマーゴは大学院出のインテリ、家庭関係に関する著作物も多い。管理人もいるニューヨークのアパートに住んでいる。高価な家具や絨毯の調度品が備わった素敵な部屋だ。夫とは学生時代からの付き合いだったが、離婚届をつき付けられてガッカリ、夫はゲイで男性の恋人がいるようだ。息子は飛び出したきり帰ってこないし、1人暮らしの慰めになる可愛がっていた小さい亀も死んでしまう。決して幸せではない。

そんな対照的な2人には、行方不明の息子が作った赤ちゃんを媒介にした関係ができる。タルーラは育ちの悪いのが見え見えで、マーゴから見ると、信じられない言動ばかりで呆れてしまう。マーゴがこの絵がきにいらないといっていたのを覚えていて、タルーラが部屋に飾っている高価な絵を描き直しているのをみてビックリ仰天だ。

それでも、何となく気があい暮らしていく。しかし、世間では赤ちゃんが誘拐される話がテレビや新聞で騒がれるようになり、タルーラはバレてしまわないかと焦る。


⒉赤ちゃんがいながらも男に走る母親タミー
男を挑発するようなバストを強調する派手な服を着て、夜の男との密会のことばかりで頭が一杯である。育児書通りにしているのに、この子が言うことを聞かないと一歳の女の子を責める。何、それ!呆れかえるような女だ。アタマはいかにも弱そう。こういう女は日本でもどっかにいるだろうなあ。


⒊変幻自在のエレン・ペイジとアリソン・ジャネイ
エレン・ペイジが10代で妊娠してしまう役を演じてアカデミー賞候補になった「ジュノ」からもうずいぶん経つんだよね。なんとブログアップ100作目だったんだ。「ローラーステートダイアリー」の爽快感は自分のスポーツ映画のベスト3に入る。この映画撮っているときはまだ20代だったと思うけど、序盤戦ではワゴン車の中で彼氏とメイクラブをしてバストトップを見せる。まったく豊満じゃないけどいいね。

ゴージャスでボリュームたっぷりの美人女優が多い米国映画界で、小さくて華奢でこういう底辺の女の子の役までできてしまうエレンペイジの存在はある意味貴重だ。末永い活躍ができる女優になると思う。


アリソン・ジャネイはどちらかというと、インテリって感じの風貌だよね。大学教授といってもおかしくないくらいの。そういうインテリなのに心に影を持つというこの役にはぴったりである。「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」では恐ろしい母親の役でアカデミー助演女優賞を受賞したけど、彼女エミー賞はいやってほど受賞しているね。

「アイ、トーニャ」はアップし損ねたけど、脅威のスケーターであるトーニャの母さん役は実にうまかった。今回は割とまともな常識人である。社会の底辺にいる車上生活者といわゆる知識人のコントラストが、格差社会を象徴するようでこの映画のテーマの一つだけど、意外に交われるんじゃないという感じだ。
コメント
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