映画とライフデザイン

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映画「立派な子どもの育て方」トニ・コレット&マシュー・グッド

2020-08-12 07:59:02 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「立派な子どもの育て方」は2017年のカナダ映画


Netflixに面白そうな題材がある。人間の成長に大きく影響するのは遺伝的要素か?訓練努力か?現在の日本でも常に議論が交わされている。2人の科学者は、生まれたばかりの子どもが親の気質と反対の才能を伸ばせるかの実験を試みる。そのために2人養子をとり、自分の子供とともに3人の子育てにトライアルするという話である。

映画「立派な子どもの育て方」はカナダ映画でトニ・コレット以外はメジャーな俳優はでていない。この手の類の本はずいぶん読んでいて、題材が気になるのでつい見てしまう。見る前にはこの企みが成功するかどうかまったく予測がつかなかったが、思春期に入る頃に自我が目覚めた彼らを意図通りに育てるのに難儀してしまう。

それぞれの家系が科学者の血筋というキャサリン(トニ・コレット)とベン(マシュー・グッド)の科学者夫婦が、自分の子供ルークを科学者でなく芸術家に、あまり頭がよくない家系の娘マヤを勉強のできる女の子に、怒りっぽい男の子モーリスを平穏な子に育てようとする計画を考えた。富豪で科学財団を作っているガーツ(マイケルスマイリー)にプレゼンすると、大ノリで2人のスポンサーになってくれる。

2人はベンの祖父が持っている山奥の別荘にこもって、元ソ連の射撃選手で児童教育が専門のサムとともに子育てすることにした。赤ちゃんの時から全員にクラッシック音楽を聴かせ、学校の教育課程の内容は2人が教えて、それに加えてそれぞれの将来に向けての個別教育をしてきた。


12 年が経ち、スポンサーのガーツが成果を確かめに視察にやってきた。それなりの進歩はあっても、一歩抜けた才能を示す子はいなかった。ガーツとしてはこの先不安だ。元々の契約書には、うまくいかなかった時には、これまでかかった費用は全部ベンとキャサリンもちと記載があった。キャサリンとベンは徐々に焦ってくる。ガーツからは、ポルトガルで同じような試みをして成功している事例があると聞く。その一方で3人揃って反抗期に入っていうことも聞かなくなったのであるが。。。


1.根拠になる実験
白ネズミと戯れるのが好きな幼児に、白ネズミに触るたびに音を立てるようにする。次第にさわらなくなり、最終的にまったく見向きもしないようになる1920年の実験結果がある。それをもとに、育つ環境を整えて、特別な才能教育で元来の資質と違うように育てようとするのだ。


2.家庭崩壊の兆し
スポンサーのガーツが焦らせることを言うもんだから、自由に育ってきたのに、TVを取り上げたり、大好きな雑誌は高尚な読み物に変えたりして子どもたちは窮屈で仕方ない。しまいには3人揃って爆発してしまうのであるが。。。


3.遺伝か?その後の努力か?
この映画の結末がどうなるのかはお楽しみ。

でも、言えるのは無理は通用しないといった感じか。数年前から作家の橘玲は新書「言ってはいけない」などで、どんなに自己啓発したとしても、遺伝でかなりの素質は決まっているわけだから、そうは簡単にはうまくいかないなんてことを言っている。橘玲のネタ本は慶應義塾大学の安藤寿康教授の本でこれは自分も読んだ。この一方で遺伝だけで説明がつかないとする書物も多い。論文の題材にもなる名著アンダース・エリクソン「超一流になるのは才能か努力か?」なんて本は努力派、デイヴィッド・シェンク「天才を考察する」では才能と環境は相互作用としている。これは偏りない本である。








⒋遺伝子の強さ
昔から競馬馬の血統の良し悪しをやたら言うのに、人間はその後の努力で変わってくるといった話にずっと抵抗を持っている。橘玲がいくつかの本でいくら頑張っても無理なものは無理だということをはっきり言ってくれたのはいいことだと思う。犯罪者の子どもが同じようになってしまう議論もあるが、ここではやめよう。


単に頭脳の遺伝ということだけをとってみる。自分の同僚に2人東大出がいる。2人とも御三家と言われる別々の名門高校の出身である。片方の息子は日本の最高学府のしかも偏差値の頂点に入学、オヤジはどこの学校へ行ったか語りたがらなかったが、類推で聞いていくと結末はそうだった。普通は自慢しまくるがここのところは違う。もう一方の娘は東大理系と同等あるいはそれ以上と言われる国立医学部を出て医者になっている。この事実を見せつけられた時に、やっぱり遺伝なんだなあと思った。

自分も受験勉強それなりにやったけど、このあたりのレベルにはかすりもしなかった。ただ、2人とも世のサラリーマンの中ではいい方だけど、頂点ではない。賢くそつのない仕事をする。でもサラリーマンのトップになるのは容易ではない。それを悟ったのか、子どもを医学部に進めた。逆にそうさせることをできるのが優性遺伝のたまものだと感じる。
コメント
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