映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

蜘蛛巣城  黒澤明

2009-06-11 05:47:54 | 映画(日本 黒澤明)

シェークスピア「マクベス」を題材にした黒澤明監督の時代劇。主君に忠実に仕える領主三船敏郎があるきっかけで主君を殺害し、自ら主君に成り代わろうとする話。能を取り入れたり日本の伝統芸能の匂いを戦国の争いの中にちりばめる傑作。三船敏郎、山田五十鈴両者の円熟の演技がすばらしい。

時は戦国時代、三船敏郎の主君は反対勢力の鎮圧に苦慮していた。そこを助けたのが、三船と同等の領主千秋実の両者である。鎮圧のあと、森の中で「物の怪」老婆の天の声を聞く。それによれば、三船はやがて主君の城である蜘蛛巣城を得ることができると。その話を三船が妻の山田五十鈴に語ると、山田は「この話が主君にばれると、主君はあなたを討とうとするはずだ。」と言う。忠実な武将である三船は戸惑う。猟の途中に三船のところに立ち寄った主君が泊まる際に、山田の指示もあり、主君を殺害する。そして、それを主君の家来の叛乱とまわりにみなさせるが。。。。

この映画のポイントは、三船と山田のやりとりである。山田はむしろ巫女のような予言をして三船を主君殺害に差し向ける。十分間合いをとる。途中長まわしの無言劇がつづく。そこに絡まる能の音楽。二人の演技、美術、音楽とも完璧である。黒澤明の力量が演技指導だけではないことを示す場面が目立つ。その後、亡霊に惑わされる三船と山田の演技もすさまじい。お化け映画じみているところもあるが、すべてが完璧なのでB級スリラーとは感じさせない。
改めて黒澤の手腕と二人が日本映画界屈指の俳優であることを再認識させる傑作だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする