一昨日、「イギリスのEU離脱を讃えたい、それにしてもマスコミの偏向報道」という記事を掲載いたしました。
それに対して30件程のコメントを頂きました。有難う御座いました。
コメントの大部分はこの記事に書かれている私の意見の不備を指摘し、考え直すべきだという厳しいものでした。
そのご指摘の主な内容を整理すると以下のようになると思います。
(1)イギリスがEUを離脱した理由はEUへの経済的負担や多数の移民の流入によって職場を失ったからである。
(2)この移民問題の現実的な脅威は今後増加しそうなシリア難民や中東からの難民によって増大している。
(3)イギリスの離脱に投票した人々は離脱に賛成派の宣伝のお陰で軽く考えて投票した。
(4)民族文化のアイデンティテーなどは現在のヨーロッパの若者は重要視しない。それよりヨーロッパ中で自由に就職したい。
(5)イギリスはそれぞれの歴史が異なるイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなっていて、スコットランドは圧倒的に残留賛成であった。そのことに一切ふれていない今回の記事はイギリスの複雑な国内事情を無視し過ぎている。
(6)各国の自動車に関する特徴は30年ほど前の評価であり現在の状態と大幅に違っている。(この部分は今日の訂正で削除しました。)
以上のご意見を2日間考えましたが全く正しいということに気がつきました。
しかしEU離脱の主な理由は上記のようなものであるとしても、私は少数ながらも「民族文化のアイデンティティ」を守ろうとして離脱へ投票した人がいたと思います。
その人数は決して多くはなかったにしても大変重要な理由ではないかと考えています。この民族文化を守ることの重要性は伝統的な日本文化の維持、発展の重要性を暗示しているのです。
そこでこの私の主張を再度明快に示しながら題目と本文を大きく訂正したいと思います。
訂正の柱は離脱の主な理由は移民問題だと明記しながら、一方で「民族文化のアイデンティティ」を守ることの重要性を強調することの2本の柱です。
それでは以下に題目と本文の訂正を示します。
「イギリスのEU離脱と民族文化のアイデンティティ」
イギリスのEU離脱を国民の半分以上が賛成したのです。
ある方が先日、以下のようなコメントを送ってくださいました。
イギリス人に気概があれば、EU脱退を今後の発展の正解にできるし、努力しなければ不正解になるだけです。EU結成自体大きな賭けで、まだ正解も不正解も出ていないように思います。
この意見は客観的にしかも公平に見ています。将来の歴史も見ないうちからマスコミはイギリスが凋落すると騒ぎたてるのは時期尚早と思います。
ですから私は現時点でEU離脱を讃えたり、逆に非難するのは正しくないと思います。
それではEU離脱の重要な理由とは何でしょうか?
その理由の主なものは、EUへの経済的負担や多数の移民の流入によって職場を失ったからと理解するのが正しいようです。。
しかし離脱に賛成した人の中には少数ながら民族特有の文化を守るためを考えた人々がいた筈です。イギリスの文化を守るためです。
そこで今日は文化的アイデンティティを守ることの重要性について考えてみたいと思います。この問題は伝統的な日本の文化の将来を考える上でも重要な問題なのです。
ある民族にとってその固有の文化を守ることが経済的問題より重要だったとしたら、その民族は称賛すべきです。これは私の個人的な意見です。
以下は私の30年前、40年前の昔の経験です。現在のヨーロッパは変わってしまったとは思いますが、まあ、お読み下さい。
昔、ヨーロッパの旅をなさった方々にはお分かりとおもいます。国ごとに文化が違います。その文化の違いに魅了されたのです。
イギリスはドイツと違います。フランスと違います。イタリアと非常に違います。スウェーデンと違います。
料理の美味しい国はフランスです。イタリアです。ドイツ料理もイギリス料理も尊敬出来ません。
絵画芸術や彫刻はフランスとイタリアです。クラシック音楽の作曲はべートーベンやモーツルトのようにドイツ文化圏です。
産業革命と科学技術の国はイギリスです。これが昔のヨーロッパです。
そしてヨーロッパ人は自国の文化に強烈な誇りを持っていたのです。
昔、ドイツに住んでいた頃に、何度もドイツ人と一緒にビールを飲みました。酔ってくると彼らは自国の文化を自慢し始めます。クラシック音楽と物理学を作ったのはドイツ人だと自慢します。私がイギリスの産業革命を褒めると、イギリスはヨーロッパではないと放言します。
そして宗教改革をしたのはドイツ人だと自慢します。私がカトリックやローマ法王の重要さを指摘すると、イタリアはアフリカの始まりでヨーロッパの辺境だと言います。
酒席の議論ですから論点がどんどんずれて行きます。話になりません。
しかしドイツ人の本音が出て来ます。それで判ったことはヨーロッパ人の強烈な文化的自負心です。
これはドイツに限ったことではありませんでした。フランスに行き、レストランで間違ってドイツ語を話したら大変です。フランス語でまくし立てて、早く注文しろとフランス語のメニューを見せます。
ならばと英語を使うと態度が柔らかになりますが、フランス語を使います。彼らは私の使う単純なドイツ語も英語も判るのです。しかしフランス語しか使いません。彼らはフランス語を自慢に思っているのです。
あるフランスの友人にうっかりドイツを褒めました。そうしたらフランスの印象派の美術館を見なさいと言います。そしてドイツにはたった一人の画家、デューラーしかいませんと言います。
まあ以上は昔話です。今回の投票でEU離脱に賛成した人々は高齢者だったと報道されています。以上の昔話と何故か関係があるように私には思えるのです。
文化の違いに関心がある人なら、昔のヨーロッパの国々の文化の違いに魅了されると思います。
イギリスがEUに残留していたら伝統的な固有の文化がいずれ消滅するでしょう。そして移民で成立しているアメリカのような文化に変わって行くのです。
マスコミは「移民に反対だからEUから離脱する」という経済的理由だけを報道しています。この報道には大筋において大きな間違いはありません。
しかし少数ながらイギリス文化のアイデンティティの保守の為にEU離脱に投票した人がいる筈です。これは日本の伝統的な文化の将来の運命にとっても重要な問題を提起していると思います。
さて上記ではイギリスの民族文化という総合的な表現を用いました。しかしイギリスはそれぞれの歴史が異なるイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなっています。スコットランドは圧倒的に残留賛成であったのです。
ですから上記でイギリスの民族文化と言うときはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの民族文化を意味するのです。話はもっと複雑なのです。この問題はスコットランドの独立にも関係しています。もっと詳細に考えるべきと思います。
西洋には「人間はパンのみで生きるべきではない」という教えがあります。この格言は日本固有の文化の維持にとっても重要ではないでしょうか?
なお今回の記事では東ヨーロッパの諸国やウクライナやロシアに言及しませんでしたが、私はヨーロッパに含めて考えています。
今日の挿し絵代わりの写真は昨日、都立薬草植物園で撮った花の写真です。花の名前は順々に、キキョウ、ノカンゾウ、アーティチョーク、ヤブカンゾウ、ヤマユリです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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それに対して30件程のコメントを頂きました。有難う御座いました。
コメントの大部分はこの記事に書かれている私の意見の不備を指摘し、考え直すべきだという厳しいものでした。
そのご指摘の主な内容を整理すると以下のようになると思います。
(1)イギリスがEUを離脱した理由はEUへの経済的負担や多数の移民の流入によって職場を失ったからである。
(2)この移民問題の現実的な脅威は今後増加しそうなシリア難民や中東からの難民によって増大している。
(3)イギリスの離脱に投票した人々は離脱に賛成派の宣伝のお陰で軽く考えて投票した。
(4)民族文化のアイデンティテーなどは現在のヨーロッパの若者は重要視しない。それよりヨーロッパ中で自由に就職したい。
(5)イギリスはそれぞれの歴史が異なるイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなっていて、スコットランドは圧倒的に残留賛成であった。そのことに一切ふれていない今回の記事はイギリスの複雑な国内事情を無視し過ぎている。
(6)各国の自動車に関する特徴は30年ほど前の評価であり現在の状態と大幅に違っている。(この部分は今日の訂正で削除しました。)
以上のご意見を2日間考えましたが全く正しいということに気がつきました。
しかしEU離脱の主な理由は上記のようなものであるとしても、私は少数ながらも「民族文化のアイデンティティ」を守ろうとして離脱へ投票した人がいたと思います。
その人数は決して多くはなかったにしても大変重要な理由ではないかと考えています。この民族文化を守ることの重要性は伝統的な日本文化の維持、発展の重要性を暗示しているのです。
そこでこの私の主張を再度明快に示しながら題目と本文を大きく訂正したいと思います。
訂正の柱は離脱の主な理由は移民問題だと明記しながら、一方で「民族文化のアイデンティティ」を守ることの重要性を強調することの2本の柱です。
それでは以下に題目と本文の訂正を示します。
「イギリスのEU離脱と民族文化のアイデンティティ」
イギリスのEU離脱を国民の半分以上が賛成したのです。
ある方が先日、以下のようなコメントを送ってくださいました。
イギリス人に気概があれば、EU脱退を今後の発展の正解にできるし、努力しなければ不正解になるだけです。EU結成自体大きな賭けで、まだ正解も不正解も出ていないように思います。
この意見は客観的にしかも公平に見ています。将来の歴史も見ないうちからマスコミはイギリスが凋落すると騒ぎたてるのは時期尚早と思います。
ですから私は現時点でEU離脱を讃えたり、逆に非難するのは正しくないと思います。
それではEU離脱の重要な理由とは何でしょうか?
その理由の主なものは、EUへの経済的負担や多数の移民の流入によって職場を失ったからと理解するのが正しいようです。。
しかし離脱に賛成した人の中には少数ながら民族特有の文化を守るためを考えた人々がいた筈です。イギリスの文化を守るためです。
そこで今日は文化的アイデンティティを守ることの重要性について考えてみたいと思います。この問題は伝統的な日本の文化の将来を考える上でも重要な問題なのです。
ある民族にとってその固有の文化を守ることが経済的問題より重要だったとしたら、その民族は称賛すべきです。これは私の個人的な意見です。
以下は私の30年前、40年前の昔の経験です。現在のヨーロッパは変わってしまったとは思いますが、まあ、お読み下さい。
昔、ヨーロッパの旅をなさった方々にはお分かりとおもいます。国ごとに文化が違います。その文化の違いに魅了されたのです。
イギリスはドイツと違います。フランスと違います。イタリアと非常に違います。スウェーデンと違います。
料理の美味しい国はフランスです。イタリアです。ドイツ料理もイギリス料理も尊敬出来ません。
絵画芸術や彫刻はフランスとイタリアです。クラシック音楽の作曲はべートーベンやモーツルトのようにドイツ文化圏です。
産業革命と科学技術の国はイギリスです。これが昔のヨーロッパです。
そしてヨーロッパ人は自国の文化に強烈な誇りを持っていたのです。
昔、ドイツに住んでいた頃に、何度もドイツ人と一緒にビールを飲みました。酔ってくると彼らは自国の文化を自慢し始めます。クラシック音楽と物理学を作ったのはドイツ人だと自慢します。私がイギリスの産業革命を褒めると、イギリスはヨーロッパではないと放言します。
そして宗教改革をしたのはドイツ人だと自慢します。私がカトリックやローマ法王の重要さを指摘すると、イタリアはアフリカの始まりでヨーロッパの辺境だと言います。
酒席の議論ですから論点がどんどんずれて行きます。話になりません。
しかしドイツ人の本音が出て来ます。それで判ったことはヨーロッパ人の強烈な文化的自負心です。
これはドイツに限ったことではありませんでした。フランスに行き、レストランで間違ってドイツ語を話したら大変です。フランス語でまくし立てて、早く注文しろとフランス語のメニューを見せます。
ならばと英語を使うと態度が柔らかになりますが、フランス語を使います。彼らは私の使う単純なドイツ語も英語も判るのです。しかしフランス語しか使いません。彼らはフランス語を自慢に思っているのです。
あるフランスの友人にうっかりドイツを褒めました。そうしたらフランスの印象派の美術館を見なさいと言います。そしてドイツにはたった一人の画家、デューラーしかいませんと言います。
まあ以上は昔話です。今回の投票でEU離脱に賛成した人々は高齢者だったと報道されています。以上の昔話と何故か関係があるように私には思えるのです。
文化の違いに関心がある人なら、昔のヨーロッパの国々の文化の違いに魅了されると思います。
イギリスがEUに残留していたら伝統的な固有の文化がいずれ消滅するでしょう。そして移民で成立しているアメリカのような文化に変わって行くのです。
マスコミは「移民に反対だからEUから離脱する」という経済的理由だけを報道しています。この報道には大筋において大きな間違いはありません。
しかし少数ながらイギリス文化のアイデンティティの保守の為にEU離脱に投票した人がいる筈です。これは日本の伝統的な文化の将来の運命にとっても重要な問題を提起していると思います。
さて上記ではイギリスの民族文化という総合的な表現を用いました。しかしイギリスはそれぞれの歴史が異なるイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなっています。スコットランドは圧倒的に残留賛成であったのです。
ですから上記でイギリスの民族文化と言うときはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの民族文化を意味するのです。話はもっと複雑なのです。この問題はスコットランドの独立にも関係しています。もっと詳細に考えるべきと思います。
西洋には「人間はパンのみで生きるべきではない」という教えがあります。この格言は日本固有の文化の維持にとっても重要ではないでしょうか?
なお今回の記事では東ヨーロッパの諸国やウクライナやロシアに言及しませんでしたが、私はヨーロッパに含めて考えています。
今日の挿し絵代わりの写真は昨日、都立薬草植物園で撮った花の写真です。花の名前は順々に、キキョウ、ノカンゾウ、アーティチョーク、ヤブカンゾウ、ヤマユリです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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