我々日本人はケネディ大統領の暗殺事件はよく知っていますが、彼が議会に提案した「公民権法」はあまり重要視しない傾向があります。
公共のあらゆる施設や就職のとき黒人を差別してはいけないという法案です。
この法案はアメリカの黒人差別の歴史のなかで革命的な法案です。
ケネディの暗殺後、ジョンソン大統領の時、可決、制定されたのです。この法律は非常に包括的な法律でした。選挙の投票、公共施設の利用、小学校から大学までの教育を平等にし、雇用の分野でも黒人にも白人とまったく同じ権利を与えたのです。
黒人と白人は平等な機会均等が保障されました。もちろんこの陰には暗殺されたキング牧師の公民権獲得運動があったのです。
この法律の1964年の制定以後のアメリカでは、すべての公共の場で供されるサービスや施設や設備が人種によらず平等になったのです。
人種や皮膚の色、そして宗教あるいは出身国を理由とする差別や分離が無くなったのです。人種によらず社会的恩恵を平等に享受する権利を持つようになったのです。
この結果、食堂やバスにおいて「白人用」「黒人用」と座席を分けたりすることは違法となり、即座に差別が撤去されました。
その上、黒人だけでなく、ヒスパニック、先住民、アジア系、太平洋諸島出身者などの少数民族と女性をめぐる差別も表面的は消えて無くなったのです。
余談ながら1960年から62年にわたって留学していた私は「白人用」と「黒人用」と座席を分けたバスに乗っていました。黒人をニグロと呼びアメリカ原住民をインディアンと呼んでいました。その言葉も禁止です。二グロを黒い人、インディアンは原住民と呼ばないと非難されるようになりました。
この公民権法の可決、制定の影響は西ヨーロッパ諸国内の人種差別に対する考え方にも当然、大きな影響を及ぼしたと考えられます。
この公民権法の施行以後のアメリカでは差別用語も当然、廃止されることになりました。差別用語廃止の運動が燎原の火のような勢いでアメリカ大陸にひろがりました。
この影響はかなり遅れて日本に入って来て、マスコミはこぞって差別用語を使わなくなりました。これには従来差別用語を使っていた日本人に混乱した気分を与えたものです。
このアメリカの差別撤廃の本質は人間が遺伝子によって肉体構造や精神構造に特別な差異を持って生まれた人々を差別しないという考え方にあります。
従って生まれつきの身体障碍者が車椅子で公共の交通機関やレストランを、健常者と平等に使えるように施設を改造したのです。すべての出入り口の段差や階段を撤去してスロープに改造したのです。しかし日本ではいまだにあちこちに階段がありスロープのついて無い場所が沢山あります。随分と遅れているのです。
生まれつきの身体障碍者は少数なので「少数マイノリティ」として保護すべしという思想が定着したのです。
そして遺伝子的による生まれつきの精神障碍者も大切にしているのです。
この考え方は不妊の夫婦にも適用されます。どちらかに遺伝子的に不妊症がある場合は人工妊娠がより広く使われるようになったのです。
夫婦の不妊症にはいろいろな原因がありますが、一つだけ例をあげると、今朝の新聞にありましたが、「ロキタンスキー症候群」という不妊症があります。
赤子が母の胎内で受胎後に遺伝子とホルモンの作用で性別がはっきりし、女性としての性差が次第に育って行く過程で、異常が発生し子宮がないまま女性として生まれる場合があります。これを「ロキタンスキー症候群」というそうです。
生まれつきの障害者なので、保護して、条件が良ければ母親などの他の女性から子宮を移植するのが当然です。
今朝の読売新聞によると2000年にサウジアラビアで初めて移植が行われ、スウェーデンでは2014年以後この手術で5人以上の赤子が産まれています。しかるに日本ではこれから子宮移植の手術をするための倫理的な議論を始めるというのですからこれも随分と遅れているのです。
同じような問題に同性婚の問題があります。同性婚をする人を欧米では性的マイノリティとして保護し、差別をしない文化が定着しているのです。同性婚の場合の税金の控除や遺産相続の権利は正常な男女の結婚と全く同じ法律が適用されているのです。
日本では考えられないことです。
アメリカの公民権法の書き出しから随分と話がそれましたが、もう少しお付き合いください。
私の友人に体は男性だが精神構造は完全に女性だという人がいます。分かり易く言えば「おとこおんな」ですね。京都大学出の知的な人です。知的なばかりでなく人間性が良いのです。尊敬に値する人です。外国で同性婚をして、その国の法律の保護を受けています。
あまりにも感じの良い人なので何故、「おとこおんな」が生まれるかを調べました。
ある方に教えて頂いたことです。「性分化の臨界期である胎生期に、分化した脳に男性ホルモンが作用しなかったことによって、脳の思索機能を持っ部位に異常が起き女性型になった」というご説明を頂きました。
一般に男女の違いは、精神病の問題ではなく医学生理学上の差異であって、生命の緻密で微妙な作用の結果なのです。
私には到底この分野の研究の詳細は理解出来ませんが、欧米では性的マイノリティは、精神病の問題ではなく胎児の、遺伝子と性ホルモンの差異であって、生まれつきの結果だと広く信じられているのです。ご興味のある方は、「脳の性分化」の研究
> http://endocrine.seitai.saitama-u.ac.jp/research_tsukahara1.html もご覧ください。
「おとこおんな」や「おんなおとこ」が生まれつきの少数マイノリティである以上、差別すべきではないと言うのが欧米の社会に定着している考え方なのです。
ことの良し悪しは私は一切議論しません。
しかし人種差別や身体障碍者や性的マイノリティに対する差別は欧米人と日本の意識には大きな相違があるような感じが否めません。
しかし時代の流れに逆らうことも出来ませんから日本人の意識もしだい、次第に変わって行くのでしょう。
今日は少し込み入った話だったので挿し絵代わりの写真は先日、京王フローラル・ガーデンで撮った花の写真をお送りいたします。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
公共のあらゆる施設や就職のとき黒人を差別してはいけないという法案です。
この法案はアメリカの黒人差別の歴史のなかで革命的な法案です。
ケネディの暗殺後、ジョンソン大統領の時、可決、制定されたのです。この法律は非常に包括的な法律でした。選挙の投票、公共施設の利用、小学校から大学までの教育を平等にし、雇用の分野でも黒人にも白人とまったく同じ権利を与えたのです。
黒人と白人は平等な機会均等が保障されました。もちろんこの陰には暗殺されたキング牧師の公民権獲得運動があったのです。
この法律の1964年の制定以後のアメリカでは、すべての公共の場で供されるサービスや施設や設備が人種によらず平等になったのです。
人種や皮膚の色、そして宗教あるいは出身国を理由とする差別や分離が無くなったのです。人種によらず社会的恩恵を平等に享受する権利を持つようになったのです。
この結果、食堂やバスにおいて「白人用」「黒人用」と座席を分けたりすることは違法となり、即座に差別が撤去されました。
その上、黒人だけでなく、ヒスパニック、先住民、アジア系、太平洋諸島出身者などの少数民族と女性をめぐる差別も表面的は消えて無くなったのです。
余談ながら1960年から62年にわたって留学していた私は「白人用」と「黒人用」と座席を分けたバスに乗っていました。黒人をニグロと呼びアメリカ原住民をインディアンと呼んでいました。その言葉も禁止です。二グロを黒い人、インディアンは原住民と呼ばないと非難されるようになりました。
この公民権法の可決、制定の影響は西ヨーロッパ諸国内の人種差別に対する考え方にも当然、大きな影響を及ぼしたと考えられます。
この公民権法の施行以後のアメリカでは差別用語も当然、廃止されることになりました。差別用語廃止の運動が燎原の火のような勢いでアメリカ大陸にひろがりました。
この影響はかなり遅れて日本に入って来て、マスコミはこぞって差別用語を使わなくなりました。これには従来差別用語を使っていた日本人に混乱した気分を与えたものです。
このアメリカの差別撤廃の本質は人間が遺伝子によって肉体構造や精神構造に特別な差異を持って生まれた人々を差別しないという考え方にあります。
従って生まれつきの身体障碍者が車椅子で公共の交通機関やレストランを、健常者と平等に使えるように施設を改造したのです。すべての出入り口の段差や階段を撤去してスロープに改造したのです。しかし日本ではいまだにあちこちに階段がありスロープのついて無い場所が沢山あります。随分と遅れているのです。
生まれつきの身体障碍者は少数なので「少数マイノリティ」として保護すべしという思想が定着したのです。
そして遺伝子的による生まれつきの精神障碍者も大切にしているのです。
この考え方は不妊の夫婦にも適用されます。どちらかに遺伝子的に不妊症がある場合は人工妊娠がより広く使われるようになったのです。
夫婦の不妊症にはいろいろな原因がありますが、一つだけ例をあげると、今朝の新聞にありましたが、「ロキタンスキー症候群」という不妊症があります。
赤子が母の胎内で受胎後に遺伝子とホルモンの作用で性別がはっきりし、女性としての性差が次第に育って行く過程で、異常が発生し子宮がないまま女性として生まれる場合があります。これを「ロキタンスキー症候群」というそうです。
生まれつきの障害者なので、保護して、条件が良ければ母親などの他の女性から子宮を移植するのが当然です。
今朝の読売新聞によると2000年にサウジアラビアで初めて移植が行われ、スウェーデンでは2014年以後この手術で5人以上の赤子が産まれています。しかるに日本ではこれから子宮移植の手術をするための倫理的な議論を始めるというのですからこれも随分と遅れているのです。
同じような問題に同性婚の問題があります。同性婚をする人を欧米では性的マイノリティとして保護し、差別をしない文化が定着しているのです。同性婚の場合の税金の控除や遺産相続の権利は正常な男女の結婚と全く同じ法律が適用されているのです。
日本では考えられないことです。
アメリカの公民権法の書き出しから随分と話がそれましたが、もう少しお付き合いください。
私の友人に体は男性だが精神構造は完全に女性だという人がいます。分かり易く言えば「おとこおんな」ですね。京都大学出の知的な人です。知的なばかりでなく人間性が良いのです。尊敬に値する人です。外国で同性婚をして、その国の法律の保護を受けています。
あまりにも感じの良い人なので何故、「おとこおんな」が生まれるかを調べました。
ある方に教えて頂いたことです。「性分化の臨界期である胎生期に、分化した脳に男性ホルモンが作用しなかったことによって、脳の思索機能を持っ部位に異常が起き女性型になった」というご説明を頂きました。
一般に男女の違いは、精神病の問題ではなく医学生理学上の差異であって、生命の緻密で微妙な作用の結果なのです。
私には到底この分野の研究の詳細は理解出来ませんが、欧米では性的マイノリティは、精神病の問題ではなく胎児の、遺伝子と性ホルモンの差異であって、生まれつきの結果だと広く信じられているのです。ご興味のある方は、「脳の性分化」の研究
> http://endocrine.seitai.saitama-u.ac.jp/research_tsukahara1.html もご覧ください。
「おとこおんな」や「おんなおとこ」が生まれつきの少数マイノリティである以上、差別すべきではないと言うのが欧米の社会に定着している考え方なのです。
ことの良し悪しは私は一切議論しません。
しかし人種差別や身体障碍者や性的マイノリティに対する差別は欧米人と日本の意識には大きな相違があるような感じが否めません。
しかし時代の流れに逆らうことも出来ませんから日本人の意識もしだい、次第に変わって行くのでしょう。
今日は少し込み入った話だったので挿し絵代わりの写真は先日、京王フローラル・ガーデンで撮った花の写真をお送りいたします。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)